卒業式と300人のビュッフェ
娘の高校の卒業式に行った。
会場は学校の講堂。
前日、案内の紙がやっと見つかり、見ると、卒業生は350人で、保護者の席は400席と書いてあった。
無理やん。
早く行かないと立ち見?
当日、学校へ行くと、紅白の幕の前は、沢山の人が集まっていた。予想通り、父母と祖母とか、兄弟らしき人とか、どうみても一家庭2、3人は来てそうだ。
会場にいくと、別室でモニター中継あります、と張り紙があった。そりゃありがたいが、できれば生で見たいので急いで講堂に入った。
講堂の端から端まで椅子が並んでいた。横一列で50席ぐらいかな。講堂の前半分は生徒の席、後ろ半分が親。まだ200席ぐらい、席が空いていたので、中の方へ進み、舞台の校章が正面に見えるあたりに席をとった。
夫を席に残し、トイレに行って、帰ってきたら殆ど席が埋まっていた。余裕だなと思ったら、どこの席か分からない。
もう入場します、とアナウンス。
どうしよう😨。
めちゃ焦ってキョロキョロしていたら、先生の1人があそこでは?と言って下さったところに、夫がいた。
着席してすぐ卒業生の入場が始まった。
遠い。きっとあの中にいるのだろうけれど、頭が点ぐらいの大きさ。結局どれがウチの娘か分からなかった。
校歌斉唱や卒業生答辞やらで、毎回350人がざぁっと立つ。その度に、ビッグウェーブのように、視界が波打った。

卒業式後、出席した保護者は中庭で待つことになった。
まだ卒業生が出てこないのに、女子高生の人数が増えていた。よく見ると、明らか他校の制服とか、私服の子達。少し離れたところでは、兄弟や親戚がワイワイと話している。卒業式の時にいなかった人が増えているのだ。
すでに、中庭はぎゅうぎゅう。
皆花束やら大きな袋やらを手に持っている。
卒業生がようやく出てき始めると、あちこちでその花束を手渡したり、写真を撮ったりが始まった。でかいハートのバルーンが刺さってる花束を持っている人が結構多く、その人が振り向くと、バルーンもぶーんと飛んでくる。怖い。
視界がどんどん風船と人の頭で埋まって、さてこれでは携帯電話もメールも気づかないな、と思っていたら、娘が友達と出てきた。今からクラスの子のところを回って、卒業アルバムに寄せ書きしてもらうらしい。
人の隙間を縫って正門のところへいき、娘の写真を撮って、夫と私は先に帰ることにした。

帰ってから、来週末の旅行の話になった。
そのW旅館は、旅行ブームが来た夫が色々探し続けて、見つけたところだった。その1週間前に、オールインクルーシブで、雰囲気が外国っぽいGホテルの、海側の広い和洋室が奇跡的に取れたというのに、人がいっぱいでくつろげない、という理由でキャンセルしたのだった。
どこに行ったって多いのに。
私はまだGホテルに未練があった。W旅館の動画を見ながら話していても、Gホテルの動画で見た広い部屋やビュッフェのサーモンベネディクトが頭に浮かぶ。
そんなことを察することもなく、夫の話は、Gホテルは人気だから人多すぎる、のくだりになった。何回目だよ。
今回行く宿は50室ぐらいだけど、前に言ってたGホテルは300室で、平日でも満室なんだよ。
あーあ、またその話‥あれ?
300室?
その数字で、今日の卒業式を思い出した。
300室中、1人で泊まる人もいるだろうが、各部屋が夫婦や家族とすると、今日の卒業式の出席者数と変わらない。
ビュッフェは2部制だが、半分としても300人はいるだろう。その人達全員が、ワンフロアでビュッフェをうろうろ回るわけだから‥。
ああなるのね。
あの卒業式の時の、講堂の中。
人がどんどんなだれ混み、人も声も風船も膨らんでいく中庭。
人の頭しか見えない、喧騒の中で、好きなものを選んで食べるってことだ。
人が多すぎてくつろげない。
めっちゃわかった。夫の言っていること。
夫は、Gホテルじゃなくて今回のWホテルにしたいと何度も言っていた。
でも、
今まで私は、そうだよねーっていいながら、いやまあ何とかなるでしょと思ってた。
無いわ。あのぎゅうぎゅうの中でビュッフェとか無いわ。
と心底思った。
行きたいところが一致して、やっと家族旅行らしくなってきたよ。
