杣江市綺録【第020篇】死骸を集める清掃員|特記観察対象照会簿:File 01
久瀬 直巳
— 舟入町周辺で反復確認される自称清掃員

基本情報
氏名:久瀬 直巳
分類:対応注意
確認日:2016年11月7日
生年・年齢:四十代後半から五十代前半程度
居住:不詳
立場・所属:自称・夜間清掃員
観察概要
舟入町裏路地、杣江駅南側搬入通路、市営舟入立体駐車場外周を中心に反復確認。
確認時刻は深夜帯に偏る。
接触時の応答は安定しており、態度も穏当。外見および携行物は夜間清掃従事者として不自然ではない。
現地住民の認識としても、明確な不審者というより「夜のうちに片づけている人」に近い扱いを受けている。
目立った威迫や逃走傾向はなく、会話自体は成立する。ただし、説明内容は毎回わずかに異なり、同一の勤務実態には結びつかない。
照合事項
名乗る事業所名、受託元、担当区域の説明に揺れがあり、市内登録事業者との一致は未確認。
一方、対象の出没が集中する範囲では、野鳥の衝突死体、小型哺乳類の轢死体、側溝脇の腐敗個体など、通常であれば断続的に見つかる動物死骸の残置確認が著しく少ない。
隣接区画では同種事例が通常頻度で確認されており、この差は偶然として処理しにくい。
また、死骸発見の通報履歴が残っているにもかかわらず、現地確認時には死骸本体だけでなく、血痕、羽毛、引きずり痕、虫の群れといった残置痕もほぼ消失している例がある。
当該回収または清掃に対応する市側・委託側の記録は、現時点で照合不能。
対象確認後、周辺の可燃ごみや散乱物まで併せて処理済みとなっている例が多く、清掃行為それ自体は実在しているとみられるが、処理対象の選別基準は不明。
対象の行動圏では、死骸の不在だけでなく、汚損の滞留自体が不自然に少ない傾向がある。
所見
現時点で直接加害、侵入、威迫行為は確認されていないため、分類は対応注意に留める。
ただし、対象の行動範囲と動物死骸消失域が高い一致を示しており、通常の夜間清掃従事者として整理するには説明不足が残る。
対象は死骸を収集して新たな呪を生成しているというより、既存の何らかの維持・補修・鎮静処理に必要な素材を回収している可能性が高い。
行動の反復性、範囲の安定性、処理後に残る局所環境の均質さからみて、対象は単独の即興的実践者ではなく、あらかじめ定められた保守手順に従って動いていると考えるのが妥当である。
対象の作業が停止した場合、当該区画において汚損、腐敗、残滓の滞留、あるいは別種の局所異常が表面化する可能性を否定できない。
現時点では、動物死骸の収集を伴う局所維持系呪術への関与を第一仮説として保持する。
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