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OpenClawがMicrosoftに採用された日


こんにちは、タカヒロです。

6月2日、Microsoftがちょっとびっくりする発表をしました。

「Microsoft Scout」という新製品の発表です。
Scoutは、M365(Microsoft 365)と深く連携した、24時間自律で動くAIエージェント。目を引いたのは、その中身です。ベースになっているのはOpenClawでした。

MicrosoftがOpenClawと手を組んだ。

OpenClawについて20本以上書いてきたぼくは、「ああ、そうきたか」という気持ちで、そのニュースを読みました。


CopilotとScoutの違い

Microsoftはずっと「Copilot」を押してきました。「質問したら答えてくれる」AIです。

ScoutはそのCopilotとは別のカテゴリーに置かれていて、「Autopilot」と呼ばれています。

Copilotは聞かないと動かない。Scoutは聞かなくても動く。会議の調整、資料の準備、進捗の監視、リスクの検知。こういう繰り返し作業を、バックグラウンドで勝手にこなしてくれます。

デスクトップアプリ(Windows 11 / macOS 12以降)では、さらにローカルな操作もできます。

  • ファイルの読み書き・編集(Word・Excel・PowerPoint・コードなど)

  • シェルコマンドの実行

  • ブラウザの自動操作(Playwright)

  • M365のデータ連携

  • スケジュールやトリガーでの自動実行

  • 複数のサブエージェントへのタスク分散

「Work IQ」という仕組みで、使い続けると自分の働き方や好みを覚えていく。時間をかけて自分専用になっていくエージェントです。

ただし現在はFrontierプログラム(早期アクセス)限定。
GitHub Copilotのライセンスが必要で、Intuneの設定とオプトインも必要です。まだ誰でも使えるというわけではありません。


なぜMicrosoftはOpenClawと手を組んだのか

経緯がなかなかおもしろいんです。

MicrosoftのCVP(コーポレートバイスプレジデント)Omar Shahineという人が、自分の旅行の手配や家族へのリマインダーを自動化するために、OpenClawをベースにした個人のチャットボットを作りました。iMessageを窓口に、役割ごとに分けた9つのエージェントが動いている環境。それを社内でデモしたことから始まります。

同じころ、別の社員(Jakob Werner)が「ClawPilot」というプロトタイプを作っていた。こちらはデスクトップアプリ向けのOpenClawベースのツール。社内に公開したら、数週間で数千人がダウンロードした。

この2つが合体して「Project Lobster」として公式プロジェクトになり、最終的にMicrosoft Scoutとして製品化されました。

トップダウンの戦略から始まったわけじゃなく、社員が個人で使っていたものがウケて公式になった。起源は、そこにあるようです。

ちなみにMicrosoftの内部文書によると、ロードマップは「中毒性の高いアプリからエージェントプラットフォームへ」と書いてあったらしいです。どこかがリークしたんですが、戦略としてはそういうことで、正直に書きすぎている気もしました。


Microsoftがセキュリティの壁を片付けた

Microsoftのセキュリティ部門は、OpenClawについてこう言っていました。「標準的な業務端末で直接稼働させるべきではなく、専用の隔離されたVM上でのみ動かすべき」と。

これは正直な評価だと思います。

OpenClawは、外部からのテキストをそのまま解釈して実行する。ホストしているマシンの権限を全部引き継いで動く。プロンプトインジェクション攻撃を受けると、大事なファイルを外に送ったり、インフラを壊したりできてしまう。

実際にOpenClaw周辺では、プロンプトインジェクションによるコスト爆発の報告がいくつか出ています。

ScoutはOpenClawをゼロトラスト実行環境で包む方法でここに答えを出しました。エージェントが動くコンテナを「信頼していない境界」として扱い、外に向かう通信やツール呼び出しを全部、Microsoftのセキュリティ層(Entra ID・Intune・Purview)で仲介する。

+-------------------------------------------+
|            Microsoft Scout                |
|  +-------------------------------------+  |
|  |     Zero-Trust Runtime Container    |  |
|  |  +-------------------------------+  |  |
|  |  | OpenClaw Agent Core (Node.js) |  |  |
|  |  +-------------------------------+  |  |
|  +-------------------------------------+  |
|  Entra ID / Intune / Purview / Defender   |
+-------------------------------------------+

エージェントに独自のEntra IDが割り当てられるので、何をやったかが全部ログに残る。Microsoft Purviewがデータ漏洩をリアルタイムで止める。

さらに、Intuneのポリシーで「社内で勝手に立ち上げられた管理外のOpenClaw」を検知してブロックする仕組みも提供されています。管理外のエージェントは通させない。


TeamsプラグインがOpenClaw本体に入った

もうひとつ、地味に大きい話があります。

Scoutの発表と合わせて、Microsoft Teamsとの接続プラグイン(`@openclaw/msteams`)がOpenClawの公式コアパッケージに標準で同梱されることになりました。

OpenClawはもともと、Discord・Slack・iMessage・WhatsAppなどに接続できるゲートウェイとして作られています。そこにTeamsが公式に入ってくる。MicrosoftはOpenClawのオープンソースリポジトリに対して、ポリシー適合性のチェックモジュールを直接コントリビュートもしています。

企業がOpenClawを使いやすくなる流れを、Microsoftが自分で作っています。


OpenClawで苦労してきた(笑)ぼくはどう思ったか

正直に言うと、「ついにそうなったか」という感じです。

OpenClawがMicrosoftに採用さてるのは、悲しいことじゃないと思っています。むしろ普及するための自然な道筋です。

個人でOpenClawを動かし続けるのは、依然として面倒くさい。アップデートの管理、セキュリティの自己責任、APIキーの管理、ローカルモデルの切り替え。どれも実際にある壁です。

Microsoftがその壁をゼロトラスト実行環境でまるごと引き受けてM365ユーザーに届けるなら、多くの人にとってやっと使えるものになる。それは良いことだと思っています。

個人ユーザーとしての自分には、今のところ直接の影響はありません。ぼくは引き続き自分でOpenClawを動かすし、Claude Codeとの連携もそのままです。

ただ、「OpenClawって何ですか」と聞かれたときに、「Microsoftの製品に使われているやつです」と言えるようになりました。説明が少し楽になりました。


☕️ タカヒロの裏話

Project Lobsterという開発コード名、担当者(Omar Shahine)が個人で作ったチャットボットの愛称から来ているらしいです。社内でそういうノリが公式製品になるまで通るのが、なんかいいなぁと思いました。


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