渡っていくやつらへ
(蹴道・別世界線ノート 43)
お前がいた日のことを、
たまに、思い出す。
どこか遠くの街に向かって、
何かを証明しようとしてる背中だった。
うまくなりたいのか。
勝ちたいのか。
ただ逃げたくなかったのか ──
その全部だったんだろうな。
あの頃のお前に、
俺は何を渡せてたんだろう。
正解は知らない。
でも、あれは「やり方」だったと思ってる。
渡り方、みたいなもんだ。
折れてもいい。
凹んでもいい。
道を間違えてもいい。
でも、
それでもお前のやり方で、
ちゃんと渡っていけ。
誰かと比べなくていい。
ルールに全部従わなくていい。
ただ、顔を上げて進めばいい。
お前の歩き方が、
いつか、誰かの道になるかもしれない。
伝えるつもりなんかなかった。
でも、書いた。
そして、今も、
渡っていくやつらに、
そっと渡してる。
