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【CHM】困難なDX・AIプロジェクトを成功に導く6つの条件💡 0018 Core

💡この記事はこんな方に向けて書いています

  • DX・AIを使って、会社を「お客様志向」に変えたい方

  • 複数部門を巻き込む業務改革プロジェクトを任された方

  • 良い改革案はできたのに、なかなか実行されず困っている方

  • プロジェクトリーダーとして、改革を最後まで成功させたい方

私はIBMのコンサルタント時代、および個人事業として独立してから、100件を超える業務改革プロジェクトに関わってきました。

その中には、

「これは大変だ」
「本当に成功するだろうか」

と思ったプロジェクトもあります。

その経験から、

改革案そのものが良いだけでは、プロジェクトは成功しない

ということを学びました。

改革を成功させるためには、プロジェクトを始める段階から、成功するための「条件」を揃えておく必要があります。

私は、それを6つの条件に整理しました。


💡Change Managementとは?

業務改革を行うと、一時的に生産性が低下します。

それはなぜでしょうか?

業務改革では、一時的に生産性が低下します

生産性は 【生産性 = 産出 ÷ 投入】 と考えることができます

改革を始めると、一時的に、

産出が減ります

  • 新しい業務に不慣れで、ミスが発生する

  • 業務が中断する

  • 心配・不安が起こる

  • 「なぜ今の仕事を変える必要があるのか?」という抵抗が起こる

一方、投入は増えます

  • 新しい業務の教育・研修・マニュアル作り

  • 改革プロジェクトへ現場から優秀なメンバーをアサイン

  • プロジェクト経費

  • 情報システムの開発・移行・テスト

つまり改革では、

産出が減り、投入が増える

ため、一時的に生産性が下がります。

Change Managementは、業務改革・変革(Change)によって起きる一時的な生産性の落ち込みと、その期間をできるだけ小さくする(Manage)ことを狙います。


💡プロジェクトを成功させる6つの条件とは?

私が整理した6条件は、H1~H6です。

「H」を付けたのは、

仮説=Hypothesis

として、お客様に提案し、実際のプロジェクトで検証してきたからです。

2024・7・30 改訂版

6条件を知っているだけでは、プロジェクトは動きません。

私は実際のプロジェクトでは、次のように具体化して使ってきました。


✅H1 Topの強力なリーダーシップ

単に、

「事業部長・社長が応援しています」

という意味ではありません。

ここでいうTopとは、

その改革テーマについて、人・予算・組織を動かせる責任者

です。

私は、大きな改革では、

Topの時間を毎月1日相当、プロジェクトに割いていただく

くらいのCommitmentが必要だと考えています。

例えば、

  • お客様へインタビューした結果、改革への強い要請があった

  • 複数の事業・製品群で、開発や生産のプロセスがバラバラになっている

こうした重要な問題が見つかったとき、プロジェクトメンバーだけでは解決できません。

Topに報告し、このような意思決定・強いLeadershipを発揮いただく必要があるのです。

  • 「やる」

  • 「統一する」

  • 「この人員を出す」

  • 「社内に反対意見が出たら、いつでも私に報告して欲しい (私が解決する)」

👉 私が行う方法

  • Steering Committee(意思決定会議)を月1~2回、定例化する

  • プロジェクトスポンサーの時間を、プロジェクト開始時から確保する

  • その期間に発生した懸案事項を決め、何を意思決定いただくかを決める

  • Topに「報告」するだけではなく、その場で意思決定していただく


✅H2 改革推進部隊を専念させる

業務改革を、

「通常業務の空いた時間にやってください」

では、なかなか進みません。

私は、改革対象となる関係業務部門から、

現場をよく知る課長クラスを集めます。

例えばSupply Chain改革なら、

  • 事業企画

  • 販売

  • 製造

  • 物流

  • 資材・調達

  • IT

などです。

そして必ず、

週1~3日をプロジェクト活動に確保していただきます。

当然、現場からは、

「課長クラスを週1~3日も出せない」

という声が出ます。

そこでTopの力が必要になります。

このプロジェクト参加には、以下のような副次価値もあるのです。

  • 異なる部門の課長同士が一緒に仕事をする

  • 自分の部門だけでなく、会社全体を見るようになる

  • 他部門とのCommunicationの輪が広がる

  • その経験が、次期課長・次期部長の育成にもつながります



✅H3 改革後の姿、Visionを早期に決める

「DXを進める」
「AIを導入する」
「新しいシステムを導入する」

だけでは、改革のVisionにはなりません。

重要なのは、

その結果、会社・お客様・仕事がどう変わるのか? 
お客様視点で目指すべき姿をプロジェクトチーム全員で描き、共有する

ことなのです。

私は、

5年後の姿を、数値+状態で定義する

ことを勧めています。

そして、

  • Steering Committeeで承認を得る

  • プロジェクト月次報告会議で関係者と共有する

  • プロジェクト資料の表紙にもVisionを載せる

など、繰り返し目に入るようにします。

目的は、

「経営者が決めたプロジェクト」

ではなく、

「これは自分たちのProjectだ」

と思ってもらうことです。

【HYP】会社の目指す未来を描く「Vision作成法」


💡H4 半年以内に成功体験をつくる

大きな業務改革は、すぐには完成しません。

私の経験では、会社全体を本当に変えるには、5年、10年かかることも考える必要があります。

しかし、半年、一年たっても何も成果が見えなければ、

「本当にこのプロジェクトは成功するのか?」

という空気が出てきます。

そこで私は、

絶対成功する、小さな対象を選びます。

例えば、

  • 一つの商品

  • 一つの地域

  • 一つのお客様

  • 一つの事業

です。

そして、

半年以内に、新しいプロセスによる成功例を作る。

例えば、こんな例をイメージしてください

「数多くある家庭用電化製品の中から一つの商品に絞り、さらに対象販売店を一社に絞って、新しいSupply Chainのプロセスを半年以内に動かす」

Quick Hitの例

成功すれば、

「本当にできた」
「これなら自分たちにもできる」

という実感が生まれ、全社に「やろうぜ!」と言う空気が広まります。

そこから対象を広げます。


💡H5 現場の抵抗には「危機意識」を持ってもらう

改革を進めると、

「今のやり方で問題ない」
「そんなことはできない」
「大きな変更はやりたくない」

という意見が必ず出ます。

私は、それを単純に「抵抗勢力」として排除するのではなく、

なぜ、できないと思っているのか?
なぜ、やりたくないのか?

をまず聞きます。

ここで大切なのは、現場の反対意見を、単なる「抵抗」と決めつけないことです。

例えば、

「そんなの無理だ」

という声が出たら、私は、

「どの部分が一番のボトルネックになりますか?」

と聞きます。

反対意見や不満の中には、プロジェクト側がまだ理解していない現場の問題が含まれていることがあります。

また、効率化や利益という「正論」だけを説明するのではなく、現在の仕事で現場が何に困っているのかを聞くことも重要です。

そのうえで、

  • お客様の声

  • 自社の問題

  • 競合他社の動き

  • 市場の変化

など、事実を示します。

例えば、

「競合企業は、すでにここまで進んでいます」
「何もしなければ、お客様を失う可能性があります」

という事実があれば、それを示します。

「社長がやれと言ったから変わる」のではありません。

本人が、

「今のままではまずい」

と理解することが重要なのです。


💡H6 何度もCommunicationする

会社には、長年続いてきた仕事のやり方があります。

いわば「企業文化」です。

それを、

「来月から変えます」

と一度説明しただけで変えることはできません。

私は、

なぜ今、変わる必要があるのか?

を何度も伝えます。

同時に、

どこを目指すのか?

というH3のVisionも繰り返し伝えます。

例えば、

  • プロジェクト月次報告会議

  • 部門会議

  • Topからのメッセージ

  • プロジェクト資料

など、さまざまな場で繰り返します。

特に重要なのは、

Top自身から「なぜこの改革が必要なのか」を語っていただくこと

です。

H5で危機意識を共有し、
H3で目指す姿を共有し、
H6でそれを何度もCommunicationする。

あきらめてはいけません、人は一度の説明ですぐ変わりません、

文化を変えるのは、何度も何度も「なぜ今、仕事のやり方を変えなければならないか?」コミュニケーションする個のなのです。


💡なぜ、この6条件なのか?

私は、多くの論文や事例を調べ、Change Managementと言う企業改革の方法論も勉強し、IBM自体が8000億円の赤字を出した事例なども使い、大企業への業務改革の成功には、6つの条件が必要と確信しました。

そして、この6条件を仮説として、業務改革を検討されているお客様のトップにお会いした時、必ず、この6条件を備えたプロジェクト計画を提案し、そろえていただくようにしています。

① 現状調査

  • Harvard Business Reviewなどの業務改革成功・失敗事例を調べました

  • IBM自身が大赤字から改革した事例も調べました

  • Change Management Methodologyや、

  • 自分自身が経験した業務改革プロジェクトも材料にしました

② 仮説

そこから、

「業務改革を成功させるには、この6条件が必要ではないか?」

という仮説を作りました。

③ 仮説検証

自分自身がコンサルタントとして担当したプロジェクトに当てはめ、検証しました。

④ 結論

6条件はすべて重要であり、その中でも特に重要な条件があることも分かりました。

なぜ6つの条件?



💡この6条件は、DX・AI時代でも有効なのか?

この6条件をまとめたのは、生成AIが登場するずっと前です。

では、AI時代には古いのでしょうか?

私は、そうは考えていません。

生成AIを使えば、

  • 情報を集める

  • 大量のデータを整理する

  • 仮説を考える

  • アイデアを出す

  • 資料を作る

といった仕事は、以前より容易になりました。

しかし、

  • 会社として何を変えるのか?

  • 誰をプロジェクトに出すのか?

  • どのVisionを選ぶのか?

  • 部門間の利害をどう調整するのか?

  • 現場の抵抗をどう乗り越えるのか?

  • 誰が責任を持って実行するのか?

という問題は残ります。

「DXで本当に難しいのは、新しい技術を導入することではなく、組織と人の仕事のやり方を変えること」

なんです。

だから私は、

DX・AI時代だからこそ、Change Managementの重要性は高まる

と考えています。


💡では、AIをどう使うのか?

AIは、

6条件を代わりに実行するものではなく、6条件を実行する人を支援する道具

として使います。

例えば、

H1 Topの意思決定

大量の調査結果や選択肢を整理し、Topへの報告準備を支援する。
しかし、最終的に「やる・やらない」を決めるのはTopです。

また、Topが発信する改革メッセージを、営業・生産・ITなど相手部門に合わせた説明文へ言い換えることには、生成AIを使えます。
ただし、何を伝えるかを決め、Top自身が改革の必要性を語ることは、人が行います。

H2 改革推進部隊

会議前の論点整理、情報整理、資料作成などをAIに支援させる。

しかし、各部門の実務を理解し、部門を越えて改革案を作るのはプロジェクトメンバーです。

H3 Vision

複数のVision案を考える際の壁打ちには使える。

しかし、どの姿を会社として目指すのかを決めるのは人です。

H4 早期成果

パイロット候補や評価項目を検討する支援には使える。

しかし、「成功した」と判断するには、実際のお客様・業務・QCDなどの結果を確認する必要があります。

H5 危機意識

市場や競合情報の整理には使える。

しかし、現場を説得する材料は、確認された事実でなければなりません。

H6 Communication

相手別の説明資料や文章案の作成には使えます。
例えば、FAQ、説明資料、部門別Q&Aを生成AIで準備しておけば、同じ改革内容でも、相手に合わせて説明しやすくなります。

しかし、相手の反応を見ながら話し、質問を聞き、不安を理解し、納得してもらうのは人です。つまり、

AIにChange Managementを任せるのではなく、Change Managementを、より速く、深く実行するためにAIを使う。

これが私の考えです。


💡そして、Change Managementだけでは改革は成功しない

Change ManagementはPLSの5つのKnowledge Areaの一つです。

実際の業務改革では、

HYP|仮説検証技法
現状を調べ、改革案・Visionを作る。

CPS|問題解決技法
Visionを阻害する問題を具体化し、原因を突き止め、解決策を作る。

CHM|Change Management
6条件をプロジェクトに組み込み、人と組織を動かす。

PJE|プロジェクト実行力
計画・会議・進捗・懸案事項を管理し、最後まで実行する。

そして必要な場面で、

WIN|Win-Win交渉術
部門間や社外関係者との利害を調整する。

つまり、PLSの5つはバラバラの技法ではありません。

改革を考え、問題を解き、人を動かし、実行するためにつながっています。

0585でも、このつながりを明示していました。


💡実際のプロジェクトではどうだったか?

私がグローバル企業、社員規模30万人の業務改革プロジェクトをコンサルティングしたとき、

正直、

「大変だな」

という気持ちでした。

そこで開き直って、エースのコンサルタント仲間を集めました。

さらに、お客様側にも、

この6条件を揃える覚悟を持っていただく必要がある

と考え、以下のような体制を、社長に直接お願いしました。

大きな改革を実行するために必要な体制・会議体

そして、以下のようなスケジュールを提案しました。

そして、幸い、すべての条件を整えていただきました。


💡まとめ

DX、AI、新しい情報システム。

改革に使える技術は、これからも変わっていくでしょう。

しかし、会社を変えるためには、

H1 Topが本気で時間を使い、意思決定する
H2 現場を知るエースを改革推進部隊に出す
H3 目指すVisionを明確にし、全員で共有する
H4 半年以内に小さくても成功例を作る
H5 「今のままではいけない」と事実で理解してもらう
H6 なぜ変えるのか、どこを目指すのかを何度もCommunicationする

ことが必要です。

そして重要なのは、

この6条件を、プロジェクトが苦しくなってから考えるのではありません。

プロジェクトを始めるときから、6条件を組み込んでおく。

これが、私が100件を超える業務改革プロジェクトを経験して、後輩に残したいChange Managementの実践知です。



■ この記事は、 2024年4月3日に投稿し、
■ 2026/8/14 DX/AI視点を追加しました
■ 2026/9/3 に CHM0609, CHM0577と重複が多いので、この2つの記事から、当記事に追加すべきと思う要点を、追加し、CHM0609, CHM0577をArchiveに移しました。

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