【配属73日目】足掛け2ヶ月、ついに「デプロイ(公開)」。厳しいチェックの山が教えてくれた、プロとしての「自分の甘さ」と、越えた先の最高の景色。
1. 導入:配属73日目、2ヶ月越しのロングラン案件が迎えた「結実」
配属から73日目。
9月に入り、僕たちの開発チームはバージョンアップに伴う「来年用の更新作業(大規模更新)」という大嵐の渦中にあります。
連日のように押し寄せるスポット案件の千本ノック(一本打ち)を淡々と、爆速で捌き続けていく日々。
そんな激流のコート(現場)で、今日、ひとつの大きな、そして特別な節目がデプロイされました。
「2ヶ月前から始まっていた案件が、ついにすべての工程を終え、最後の『公開作業(デプロイ)』に入った。」
配属直後、右も左も分からなかった配属13日目頃に僕の手元へやってきた、あのロングランの案件。
他のページが順調に組み上がっていく中で、最後の1ページだけ指示書の到着が遅れ、足掛け2ヶ月という異例の長丁場となったプロジェクトでした。
「今日も案件の処理だ。」
毎朝のようにエディタを立ち上げて呟いてきたこの言葉の裏側で、ずっと僕のローカル環境に残り続けていた「最後の課題(1ページ)」。
それが今、サーバーへアップロードされ、世界中のユーザーが見られる「本番環境(ライブ)」へと解き放たれていく。
画面の向こうで静かにリリース完了の緑色のログが点灯した瞬間、胸の奥から湧き上がってきたのは、単なる解放感ではなく、プロの洗礼を全身で受け止めたあとの、重みのある達成感でした。
2. 最後の1ページと、指示書待ちという「停滞」をハックする思考
この案件が2ヶ月もかかった最大の理由は、最後の1ページにおける「仕様・指示書の遅れ」でした。
Web制作の現場では、クライアント側の都合や情報設計の変更により、デザインや指示書がなかなか手元に落ちてこない「停滞(ステイ)」の期間が発生することがあります。
配属されたばかりの頃の僕なら、「指示書が来ないから作業が進められない」と、ただ指示を待つだけの受動的なスタンスで時間を浪費していたかもしれません。
しかし、専門学校時代に「自走力」を叩き込み、15年のテニス人生で「どんな悪天候やゲームの停滞も自分の思考でハックする」トレーニングを積んできた僕は、この待機期間をただの足踏みにはしませんでした。
先に上がっていたページのBEM設計(命名規則)をもう一度見直し、コンポーネントの再利用性を高めておく
指示書がいつ届いても爆速でマークアップできるよう、CSSの変数(CSS Custom Properties)や余白のルール(Spacing)を事前にリファクタリングしておく
指示書がようやく手元に届いた瞬間、僕は溜め込んでいたエネルギーを一気に開放し、完璧に準備された土台の上に、爆速で最後の1ページを組み上げました。
「与えられた環境や遅れ(外部変数)を言い訳にせず、自分の手元にあるコードをどこまで研ぎ澄ませられるか」。
この粘り強さこそが、2ヶ月という長丁場を完走するための僕の「インフラ」でした。
3. 厳しいチェックの山:プロの基準が突きつけてきた「自分の甘さ」
しかし、この2ヶ月間は、決してスムーズな成功体験ばかりではありませんでした。むしろ、僕にとってのこの2ヶ月は、「自分のプロとしての甘さ」を骨の髄まで痛感させられた、手痛くも貴重な修行の期間だったのです。
この案件の制作プロセスの中では、何度も何度も、厳しい「デザイナーチェック」と「ディレクターチェック」の洗礼を受けました。
「専門学校の課題なら、これで100点満点だったかもしれない」
「自分では『完璧に組めた』と思っていた」
そんな僕の浅はかなプライド(天狗)は、プロの先輩たちの厳しい目の前で、木っ端微塵に砕け散りました。
デザイナーチェックで突きつけられた甘さ
「ここ、デザインカンプより2ピクセル余白が広いよ」
「レスポンシブで画面幅を縮めた時、テキストの改行位置がデザイナーの意図した視線誘導とズレている」
カンプ(見た目)を「ただ真似てコードにする」レベルと、デザイナーが「なぜこの余白を置いたのか」という魂の意図を汲み取って「1を10にするコードへ昇華させる」レベルの違い。
「動けばいい」
「大体合っていればいい」という僕の指先に潜んでいた「雑さ」が、鋭く見抜かれた瞬間でした。
ディレクターチェックで突きつけられた甘さ
「この構造だと、キーボード操作のユーザーがフォーカスを失ってしまう(アクセシビリティの欠如)」
「他人が後から修正する時、このCSSセレクタの詳細度が高すぎて上書きできないよ(BEMの破綻)」
「今、画面で見えている部分」のことしか考えられていなかった視野の狭さ。画面の向こうにいる多様なユーザー(誰一人取り残さない品質)や、未来でこのコードを触る同僚エンジニアへの「優しさ」が足りていなかったという現実。
「自分はまだまだ、プロのスタートラインに立ったばかりの未熟者なんだ」
チェックバックの修正指示(朱書き)の山を前にして、僕は自分の甘さに顔が赤くなるほどの悔しさを味わいました。
しかし、「早くやりたいはプロの雑さだった」という研修16日目の教訓をもう一度胸に刻み、僕はいただいたレビューの一言一言を逃さずエディタにメモし、Cursor(AI)を相手に何度も何度もBEM構造と詳細度を書き直す「セルフデバッグ(千本ノック)」を繰り返しました。
4. テニスの「フルセット(ロングマッチ)」と、プロの完遂力(デプロイ)
15年間のソフトテニス人生で、僕は何度も「長時間の激闘(ロングマッチ)」を経験してきました。
猛暑の中、カウント2-2のファイナルゲームまでもつれ込み、体力が底をつき、足が吊りそうになる中で繰り広げられる泥臭いラリー。
そんな極限状態の試合で勝敗を分けるのは、華やかな見せ球(スマッシュ)ではありません。
どれほど息が上がろうとも、最後の1球まで「ラケットの面を固定する地味な基本」を崩さず、狙い澄ましたコースへ球を返し続ける「泥臭い執念」です。
今回の2ヶ月間に及んだ案件も、僕にとっての「フルセットのロングマッチ」でした。
指示書の遅れ、何度も跳ね返されたチェックバック、自分の甘さに対する悔しさ。
途中で投げ出したくなるような瞬間があっても、僕は絶対にコードを投げ出さなかった。1文字、1ピクセルの齟齬を疑い、修正し、泥臭く「1行の丁寧さ」を重ね続けた。
そして今日、最後の1球(コード)が相手コートのインに収まり、審判(ディレクター)から「公開OK」の承認ログが吐き出された。
「2ヶ月間、本当によく投げ出さずに品質を上げてくれたね。最高のページになったよ」
先輩からそう声をかけられた時、僕が2ヶ月間踏ん張ってきたすべての時間が、美しく報われたのを感じました。
プロとは、ただコードが書ける人のことではありません。
どれほど時間がかかろうと、自分の甘さと向き合い、最後の1ピクセルまで品質を担保して「完遂(デプロイ)」できる人のことなのだと、この案件が教えてくれました。
5. 2年前の「放置された絶望」から、自分の手で「リリース(完結)」を迎える喜びへ
メタ観察(Meta-observation)という視点を持って、2年前の自分を振り返ってみます。
2年前、新卒で入ったメーカーでの「配属73日目」。
当時の僕は、冷たい鉄のレールに膝をつき、不条理な異音確認の作業の前で心が完全に折れていました。
C先輩からの「え、今それ聞く?後にしてくんない」という冷たい拒絶に怯え、やり方も分からないままタスクを放置され、助けも求められずに暗闇の中でフリーズしていた僕。
あの頃の僕は、案件を「終わらせる(完遂する)」ことすら許されず、ただ絶望の中で時間をやり過ごすことしかできませんでした。
同じ「配属73日目」を迎えた今、僕が立っている場所はどうでしょう。
2ヶ月間、厳しいプロのフィードバックから逃げずに自分の甘さと向き合い、チームの仲間と「後ろから支え合うダブルス(チーム開発)」を重ね、 最後は自分自身の指先で、画面の向こうの何千、何万というユーザーへ向けて「本番公開(デプロイ)」のボタンを押している。
「僕の手で、ひとつの大きなプロジェクトを終わらせることができた」
2年前、絶望の暗闇でiPadに「助けてください」と書いていたあの日の僕に、胸を張って教えてあげたい。
「お前が泥臭く1万歩を歩き続け、逃げずに学び直したおかげで、今の俺はプロの現場で最高の仕事を完遂できているよ」と。
6. おわりに:甘さをデバッグし、僕はまた次のコートへ立つ
配属73日目の夕暮れ。
2ヶ月間画面に居座り続けた案件のタスクカードが「完了(Done)」の列へと移動し、僕のエディタの画面はすっきりと澄み渡りました。
オフィスを出ると、9月の心地よい秋風が、2ヶ月間の緊張を抱えていた僕の肩を優しく撫でていきました。
1Kの一人暮らしの部屋に帰ったら、たくみの里で彼女と選んだスウェーデン流の休息アロマ「FIKA(フィーカ)」を首元にシュッとひと吹きして、今日という節目を静かに祝おうと思います。
「1万歩歩いた先には、必ず最高の景色が待っている」。
2ヶ月前、配属されたばかりで自分の無力さに打ちのめされていた僕]。
そこから厳しいチェックを幾度となく受け、自分の「甘さ」をデバッグしてきたからこそ、今日、この最高の景色(公開の瞬間)を見ることができました。
でも、これで終わりではありません。
明日はまた新しい案件が始まり、超有名サイトの修正という巨大なコート(挑戦)が僕を待っています。
慢心という「天狗」を常にデバッグしながら。
自分の甘さを隠さず、素直に認め、1行ずつ成長のガソリンに変えていく。
明日もまた、誰よりも早くオフィスに入り、静寂の中でエディタを立ち上げます。誰一人取り残さない品質のサイトを、世界へデプロイするために。誠実な、新しい1行を、誰よりも丁寧に積み上げていきます。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
