逆接の「~に(も)かかわらず」はかな表記で!
更新日:2025/11/05
小論文・作文指導者の〆野が普段の添削・採点指導からよく見かける、中高生の間違えやすい表記を紹介し、世の中高生・受験生に警鐘を鳴らすのが、このシリーズ【間違えやすい表記】。
今日は、「逆接の意味で使う『~に(も)かかわらず』はかな表記で」というお話です。「~にも『関わらず』」としたくなるんですが、これは誤りです。かな表記にします。漢字表記にしないのが一般的なんですね。これは中高生はもちろん、大人でもあまり意識していない人が多いのではないでしょうか。
現に、新聞記者のハンドブック(読売スタイルブック:非売品)にもこうあります。
かかわる(係わる、拘わる)→関わる
*「多少にかかわらず配達する」(=関係なく)
「熱があるにもかかわらず外出する」(=なのに)など「(に・にも)かかわらず」は仮名書き
これは、「かかわる」には「関わる・係わる・拘わる(拘る)」と三つの表記がありますが、基本「関わる」を用いるということです。そして、逆接の意味で使う「『(に・にも)かかわらず』は仮名書き」にします、ということです。
しかし、これはなぜなんでしょうか。その理由を探るべく、今度は国語辞典を引いてみましょう。
かかわらず【(▽拘らず)・(関わらず)】カカハラ-(連語)〔『…に(も)―』の形で〕①〔…である〕のに。「雨にも―」(中略)②関係なく。「晴雨に―」
「かかわらず」と言った場合、二つの意味が考えられます。①の「(…である)のに」といった逆接の接続語として使う場合と②の「関係なく」という意味の場合です。で上記でも明らかなように、漢字表記にすると、①の場合は「拘らず(拘わらず)」、②の場合は「関わらず」です。①と②では意味が違うからです。例文で違いを確認してみましょう。
①「雨にも拘らず、傘もささずにやってきた。」
この「拘る(拘わる)」とは「こだわる」ということ。つまり、雨が降っている状況に「こだわることなく」傘をささずに来た、ということです。
②「晴雨に関わらず、イベントは決行します。」
この「関わる」とは「関係する」ということ。したがって晴れでも雨でも「関係なく」イベントは行われる、ということです。
このように、意味が異なるため①の逆接の意味での「に(も)かかわらず」のときに「関」は使うことができません。漢字にするとしたら「拘」です。ただし、「拘」は常用漢字外です。ですから、この場合はかな表記にするのが一般的です。記者のハンドブックでかな表記を推奨しているのはこういう理由からです。
これに倣って、中高生のみなさんも作文や小論文の中では「~に(も)かかわらず」はかな表記で結構です。「~に(も)拘らず」と表記しなくてもよいです。普段使い慣れていない漢字は誤読を誘発するため、読み手のためにも使うべきではありません。また書き手(自分)側からしても誤字を招くおそれがあります。ここはかな表記でよいです。
というよりも、もしこの二つの「かかわる」が判別しにくいというのなら、いっそのこと全部「かかわる」や「かかわらず」などとかな表記にしてください。間違えるなら、いっそその方がましです。作文や小論文は漢字のテストではありません。「全文ひらがな」は読みづらくなるので絶対に避けるべきですが、無理に漢字を使う必要はありません。
ただ、「拘る(拘わる)」と「関わる」では意味が異なり、逆接の意味の「~に(も)かかわらず」は「関わらず」ではない、ということは、常識として覚えておくとよいでしょう。
(追記)
「係わる」は「関係する」の意味なので、「関わる」と同じ。
(検索では以下の文献にお世話になりました)
読売スタイルブック2020
三省堂国語辞典 第七版
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