ショートショート「迎え火オペラ」※毎週ショートショートnote8/9お題
私は、今日と言う日が嫌いだ。
揺らめく火が、私を小馬鹿にしているような、そんな錯覚さえしてくる。
お盆。
宗派にかかわらず、日本人なら何かしらその影響を受ける。
残酷にも野菜に木の棒を突き刺して飾り、気が狂ったように手を挙げて踊り、そして亡くなったご先祖を迎えてその魂を鎮める。
大人達は忙しくしながらも、束の間の仕事休みに、どこかほっとした顔をしている。
だけど私は、自転車で走っていると、大量の赤トンボが顔に衝突するようになるこの時期が、憂鬱だった。
皆で食卓を囲み、精進料理を食べ終える。
そして、ふと電気が消えて、田んぼの蛙が狂ったように鳴き喚くのを聞いている。
闇夜にいくつかの小さな火が灯り、私の前へと運ばれてくる。
『はっぴばーすでーつーゆー♪』
無駄に声量がでかい、オペラのような家族の歌を、虚無の心で聞き流す。
それから、迎え火のように揺れる火を、盛大なため息でかき消した。
再び電気がつくと、チョココーティングされたホールケーキがあらわになった。
お盆のついでのように扱われる誕生日が嫌いだ。
――オペラケーキだけは、好きだけれども。
こちらの企画に参加させていただきました。
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