呼吸のない世界 | 第1話 | 呼吸のない世界に、私は切なさを感じる
水槽の中で
泡だけが ぶくぶくと
止まらずに上がっていく。
動いているのに
そこには 生きているものがいない。
魚も 草も いない。
ただ、音と動きだけが
生き物のふりをして
世界を回している。
それを見ていると
胸の奥が 静かに痛む。
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風景を撮るときも
物を撮るときも
この感覚が ふと蘇る。
きれい。
でも、息をしていない。
整った世界ほど、
呼吸が消えていく。
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だから私は
“あいだ”が好きだ。
無機物の中に
人の痕跡がある場所。
コンクリートの隙間に生える草。
使い込まれたカップの取っ手の艶。
そこには、
時間と体温が
確かに染みている。
冷たさとぬくもりの境界線。
静けさの中の鼓動。
その“あいだ”に、
私は世界の真実を見る。
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呼吸のない世界には、
完璧さがある。
でも、
私はその完璧さに
居場所を感じられない。
泡だけが動く水槽を見つめながら、
私は今日も 思う。
——どうかこの世界に、
もう少しだけ、
息づく音が 混ざりますように。
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今日の一語
「静けさの中でしか、私は呼吸の音を聴けない。」
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── 次の余韻は、フォローの先に。
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