2026年6月|支えは、次の一歩になる。
5月は、去年の経験から、
「次はこうしてみよう。」と、経験を活かした月でした。
でも、6月はーー
代かきの前から、水との攻防
6月は、雨から始まった。
6月1日。
雨が降っていたため、夕方に入水を停止。
翌朝、田んぼの水はいい感じに見えた。
ところが昼頃には、元休耕田側の水面が消えていた。
6月3日の代かきに向けて、元休耕田側だけ再び入水を始める。
そして代かき当日の朝。
田んぼを見に行くと、なんとなくおかしい。
畦を巡回すると、水路から聞こえるジャバジャバという音。
……漏れてる。
またかーー
畦内に空いた穴から、渦を巻くようにーー

お風呂の水を抜くときに起こる渦の感じと似ている。
元休耕田で3か所。
通年田で1か所。
穴を塞ぎ、ようやく一安心。
午後からの代かきを迎えた。
初泥付けは、とらこの田んぼ
今年の代かきにやってきたのは、幅4.1mのウイングハロー。

しかも新品。
折りたたまれていたウイングが開いた瞬間。
「うわー!かっこいい!」
もう、その一言だった。
代かきをしてくれる大林さんも初めて扱うウイングハロー。
一緒に来てくれた井口さんに声を掛けながら、細かな微調整を重ねていく。
そして、いよいよ代かき開始。
新品のウイングハローが田んぼの水面に付いた瞬間ーー

感動だった。
そして、早い。
本当に、驚くほど早かった。
元休耕田も、通年田も。
大きなウイングハローが田んぼを進んでいく。

ちょっと水が多いな。と言いながら、
作業をしてくれた大林さんは、いつになく真剣な表情だった。
代かきも、耕起同様、1回で完了。
初泥付けの田んぼに、とらこの田んぼを選んでもらえたことも嬉しかった。
水が止まり、そしてドローン直播へ
翌6月4日。
雨の影響で、上流の水門が停止した。
危なかった。
もし代かきの前に水が止まっていたら、今年も予定通り作業できなかったかもしれない。
水が再び流れてくるのを待ち、6月6日。
今年のドローン直播の日を迎えた。
去年同様、見学会も兼ねて。
今年は、AAJ井口さんの直播オペレーターデビュー。
AAJ社長の椿さんが、去年の振り返りと、今年の取り組みについて話してくださいました。
そして、井口さんの自己紹介ーー
緊張しながらも出てきた言葉は、
「とらこさんのプロジェクトが凄いと思った。それもあって、AAJへの入社も決めた。その田んぼで、直播を出来ることが嬉しい。」
去年頑張ったことが届いていた。
そして、「初めて」を、自分の田んぼで経験してもらえる。
こんな嬉しいことはない。
そして、今年も遠方から数名来てくれた。
その一人が、恩田さんだ。
恩田さんとは、私がドローンを飛ばし始めた頃からInstagramで繋がっていた。
淡路島由良にある「成ヶ島」で、応援撮影会を開催したときに参加してくれ、初めて顔を合わせた。
同じドローンパイロットで、法規制などにも詳しく、よく相談をさせてもらっていた人だ。
今回大阪から参加してくれ、ドローンはもちろん地上撮影もしてくれてYouTubeで自分目線で見た「TORAKOプロジェクト」を紹介してくれた。
いつも自分で、撮影・記録をしていたから、新鮮でカッコよかった。
去年もそうだったけど、
見学会への参加は、Instagramで告知した。
去年と少し変えたのは、見学会の目的を明確にしたこと。
今回は、実際に田んぼを持っている人や、農業を始めたばかりの人、これから農業を始めてみたいと思っている人など、
この現場を見ることが、次の一歩につながるかもしれない人に来てもらいたいと思っていた。
ドローンで作業することで、何が変わるのか。
どれくらい効率が上がるのか。
言葉で説明するより、実際に見てもらう方が早い。
今回、見学に来てくれた人たちは、女性や子供が多かった。
一緒に、空を飛ぶドローンを見上げた。

少しでも、こんな農業の形があるんだと思ってもらえると嬉しい。
そして今年も無事、種をまくことができた。
水を落として、初めて見えたもの
ドローン直播から2日後。
元休耕田側では、少しずつ水位が下がっていった。
そして6月10日。
発芽を促すため、両方の田んぼで強制落水を始めた。
水を落としていく。
そこで、見えてきたものがあった。
今年の通年田は、なぜか水の濁りがなかなか取れなかった。
去年は水面に景色が映るほど澄んでいたのに、今年は水面下の様子がほとんど分からない。
落水して、ようやく見えた。
ジャンボタニシ。
そして、すでに産み付けられていたピンクの卵。
「なんで、こんなに多いの?」
目につくものから回収を始めた。
一方、元休耕田では鳥が何かをつついていた。
何を食べているんだろう。
近くで見て、初めて気づいた。
もう、発芽していた。

( 6月10日 )
嬉しいはずの発芽。
でも、水が残った場所には鳥が集まり、通年田ではジャンボタニシが集まる。

左:通年田 / 右:元休耕田
原因は違っても、少しずつ苗が育たない場所が見え始めた。
とにかく、水をなくしたかった
この頃の私は、とにかく水面をなくそうとしていた。
水がなければ、ジャンボタニシの動きを抑えられる。
そう考えて、自分で溝を切り始めた。
鍬のような道具を持って、泥をかき分ける。
どこへ水を逃がせばいいのか。
本当なら落とし口へ向けて水を流したい。
でも、大きな水たまりは落とし口とは反対側にあった。
手作業で水の道を作る。

同時に、ジャンボタニシを拾い、ピンクの卵を回収する。
6月12日。
翌13日。
できるところから、少しずつ。
16日頃には、畦際のピンクの卵は少し目立たなくなってきた。
でも、一番大きな水たまりには、まだ大量のピンクが残っていた。
そこは畦から遠い。
発芽したばかりの田んぼへ足を踏み入れることに、私は躊躇していた。
入るしかない
6月18日。
芽が少しずつ伸び、田んぼの中での苗の様子が分かるようになってきた。

( 6月18日 )
そして、ドローンの映像にも映るピンク。
もう、このままにはしておけない。
田んぼに入った。
足が沈む。
歩きにくい。
それでも、大量の卵を回収した。
翌19日も、取り残した卵を取りに入った。
そして見えてきた現実。
すでに発芽した苗の多くが食べられていた。
去年よりも、稲のない場所が増えるかもしれない。
そう感じるほどだった。
今年は、ジャンボタニシの被害が多いと聞いた。
教えてくれた農会長が、農協で販売されている「スクミノン」という薬剤を分けてくれた。
ジャンボタニシが食べることで効果があると教えてもらった。
もう、どうしたらいいのか分からなかった
6月21日。
農会長から分けてもらったスクミノンを、水が残る場所や自分で切った溝へ入れた。
というか、投げ付けたーー
正直、この時は余裕がなかった。
どれくらい使えばいいのか。
これでどれほど変わるのか。
分からない。
でも、何かしなければ。
その気持ちだけだった。
作業をする元気もなくなり、帰ろうとした時。
椿さんが田んぼに立ち寄ってくれた。
近くまで来ていたから、帰りに寄ってみた。
そんな偶然だった。
「実は、本当に大変で……」
田んぼを見ながら、今の状況を話した。
そこで話に出てきたのが、田面ライダーだった。
急遽、田面ライダーで溝切り
翌6月22日。
早朝から椿さんと藤戸さんが、田面ライダーで溝を切ってくれた。
本来、この時期に行う作業ではない。
それでも、これ以上被害を広げないために。
水の道を作り、できるだけジャンボタニシが溝へ集まるようにする。

急な対応だった。
効果がどこまであるのか。
まだ分からない。
でも私は、この対応に心を救われた。
「まだ、頑張れる。」
そう思えた。
できた溝を、水の道にする
6月24日。
溝切り後、初めてまとまった雨が降った。
田面ライダーで切った溝に、水が流れ込み始めた。
でも、問題もあった。
本来の溝切りの時期ではない。
水がない、土が硬い状態で溝を切ってもらった。
水たまりができていた場所付近の土は柔らかく、溝も深く切れていた。
切った溝が、自然に落とし口へ向かって低くなっているわけではなかった。
翌日。
雨が続き、田んぼ一面に再び水面が広がった。
「これはまずい。」
その時、椿さんの言葉を思い出した。
「落とし口、もう少し下げられるんじゃないですか?」
雨の中、落とし口を見る。
一番下にあるコンクリートの板を外してみた。
ザーッ。
一気に水が流れ落ちていった。
「うわ、よかった……」
一番下の板が外れることを知らなかった。
これも、また一つの経験になった。
そこからは、田面ライダーが作ってくれた溝を、さらに自分の足と手でつないでいった。
長靴で泥をかき分ける。
落とし口へ近づくほど、少しずつ深くする。
水が溜まりやすく、足りない場所には、新しい溝も作った。

雨の中。
ジャンボタニシを拾いながら。
ピンクの卵を回収しながら。
できることを、ひとつずつ。
6月28日、見えた変化
ようやく雨が上がった。
田んぼを見に行く。
驚いた。
水持ちのいい通年田。
いつもなら、こんなに早く水面がなくなることはない。
でも、この日は違った。

水は、ほぼ溝の中にだけ残っていた。
「頑張ってよかった。」
久しぶりに、素直にそう思えた。
ジャンボタニシがいなくなったわけではない。
ピンクの卵も、まだ見つかる。
それでも、6月終盤には、一度に回収するジャンボタニシの量は最初の半分ほどになっていた。
ゼロにはならない。
たぶん、この先も続く。
それでも。
今ある苗を守るために、
できることを続けようと思った。
そして、7月へ
6月30日。
青野さんが畦の草刈りに来てくれた。
毎月恒例になりつつある畦の草刈り。
伸びていた草が刈られ、田んぼの景色がまた少し整った。
6月を振り返って
代かき。
ドローン直播。
発芽。
そして、想像以上の被害。
雨の中、何度も田んぼを歩いた6月。
一人では、たぶん気持ちが切れていたと思う。
急な対応に力を貸してくれる人がいた。
田んぼを見に来てくれる人がいた。
だから、また田んぼへ向かえた。
6月は、心が折れそうになりながらも、
手を貸してくれる人たちに救われた1ヶ月でした。
今月の出来事は、「とらこの田んぼ新聞」にもまとめています。

📰 6月号の田んぼ新聞(Instagram)はこちら
▶︎ https://www.instagram.com/p/DaZzG0UFL7v/?igsh=MXhmZ2Y4cDRub2NrYg==
🎥 6月のショート動画まとめはこちら
▶︎ https://youtube.com/playlist?list=PLdgRRxk3UyiM&si=tcvHxSiyNRSuTKw9
挑戦は、まだ続いている。
去年の経験や、今年の判断が正しいとは限らない。
自然が相手なんだ。
その時に必要な行動ができるよう、経験を積む。
明日も、田んぼへ。
そして、
また次の記録で。
関連動画
今回のドローン直播に関わってくれた皆さんの動画も、ぜひご覧ください。
▶︎ AAJ椿社長が語る とらこの田んぼ|2025年の振り返りと2026年への挑戦【号外Vol.01】
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▶︎ とらこの挑戦を見てAAJに入社⁉︎【号外Vol.02】
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▶︎ エンジョイドローン-大阪発-空撮|農業ドローン直播をドローンで撮影
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