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バイクタクシーの風の中で出会った、歴史の面影――スラバヤのホテル・マジャパヒト

ジャワ島東部、スラバヤでのことだ。

ショッピングモール、Tunjungan Plazaのペッパーランチで夕食をすませ、バイクタクシーを呼ぶ。スラバヤ・グベン駅近くのホテルへ戻る途中だった。

バイクタクシーの後部座席から、ふと目に飛び込んできた美しい建物があった。
白亜のコロニアル建築。一目見て惹きつけられた。

その佇まいには、街の喧騒とはどこか別の時間が流れているような気品があった。
近代的なビル群のなかで、毅然と建っている歴史的建造物だと、直感した。

気になって後で調べてみると、そこは「ホテル・マジャパヒト」。
かつて「ヤマトホテル事件」の舞台となり、インドネシア独立戦争の歴史を今に伝える、極めて格式の高い老舗ホテルだという。

そんなことを知ると、もう一度見てみたくなる。
その翌日、実際にホテルを訪れてみた。
夕方に近い時間帯だった。

ロビーのカフェに座ると、スタッフがメニューを持ってきてくれた。
そして、そっと開かれていたのが、なぜかアフタヌーンティーのページだった。

看板メニューへの自信と、誇り高いもてなしの心。
そんなものが、そのさりげない所作からも垣間見えるようで、思わず口元がほころぶ。

「マジャパヒト」という名前は、かつて東ジャワを拠点に広大な海域へ勢力を広げた、マジャパヒト王国に由来するのだろう。

高い天井、ステンドグラス、重厚な建築。

そのクラシカルな空間に身を置いていると、かつて東ジャワを中心に広がった海洋国家と、そこを行き交った人々の歴史に、自然と思いを馳せてしまう。

時刻は、もう夕方6時。
さすがに今からアフタヌーンティーを頼むのはやめておいた。

ふと隣を見ると、白人のカップルが、アフタヌーンティーとガッツリ向き合っている。

夕食の代わりなのだろうか。
それとも、夕食は夜10時くらいから始めるつもりなのだろうか。
そんなことが、ちょっと気になる。

僕は代わりにお茶を注文し、クラシカルな静寂のなかで、ゆっくりと啜る。
それだけだった。
お茶をサーブした後、スタッフもこちらを放置してくれて、居心地がよい。

お茶を飲んだあとに、中庭も少し覗く。
昔、やはりお茶をしに行った、シンガポールのラッフルズホテルを思い出した。



白い建物に囲まれた静かな中庭。
どこか似ている。
白亜の建物と中庭がつくる、外の喧騒から切り離されたような静けさ。

バイクタクシーの風の中から偶然見つけたこの場所に、こうして自分いる。そう思うと、なんとも不思議な気持ちになる。

旅というのは、あらかじめ予定していた場所だけで何かを発見するものではない。

移動の途中で、ほんの一瞬目に入ったものが、後になって旅の記憶のひとつになることもある。

ただそれだけで、この街の深みの一部に触れられたような、どこか誇らしくて心地よい充実感に包まれていた。


#スラバヤ   #ホテル・マジャパヒト #Tunjungan Plaza    #スラバヤ・グベン駅

#ヤマトホテル事件   #インドネシア独立戦争 #アフタヌーンティー

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