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僕はGREY推し。

今からザッと100年程前…。
世界は"第二次世界大戦"の渦中を生きていた。

その一方、洋服における"ミリタリー"の分野において、この時代に生み出されたものの数多くが現代では「名品」と謳われ、命を守る道具として生み出されたはずの衣類たちが、今や多くの人間がその歴史や背景を知らずに、"おしゃれ"として使用する平和な世の中になった。

私は洋服屋として。というより1人の洋服好きとして、現代に生きる我々が袖を通す洋服たちには何かかしらのルーツがあるのでは無いか。と様々な洋服に対し、いつしか自然にアンテナを立てるようになった。

Aというジャケット。
Bというパンツ。
Cというシューズ。

例えば、一見何の関係もないように見えるこれらのアイテムらが、調べていくと製作背景や用途などのルーツが同じだったりすることを知る。

この"ルーツ"を知ると、その日の洋服選びが楽しくなる。

ミリタリーで全身まとめることが意識的に可能になるし、野暮ったい格好を好かないのであれば逆に外すこともできるようになるからだ。

あとは完全に自己満足の世界。

知っているから偉いとか、知らないから恥ずかしいとか、そう言ったことでは無く、前提として"知識"が全てでは無いが、洋服のルーツを知っていくのが洋服そのものの魅力の1つだと思うっていう話。

洋服のどの部分を楽しむかは100人居たら100通りあって然るべきだと私は思う。

洋服としての姿、形を形成する前の段階。
言わば、生地やボタンなどのパーツたちにもルーツが存在する。

"Ventile"と表記されたタグ。

それは100年程前にイギリス軍が命を守る道具、装備として生み出したルーツを持つ、とある生地の総称である。

当時、戦争においての第1戦力は飛行機であったとされ、その影響により空母なる飛行機が離着陸できる大型の船舶が開発される。

しかし我々が想像するものとはかけ離れ、単純に100年前と現代では技術力や性能面で圧倒的な差があるのは明確。

100年程前の当時はカタパルト式なる、投石器やパチンコの様に飛行機を投げ飛ばす様に離陸させ、帰りは海に飛行機を着水させて、パイロットを後で回収するという何とも原始的な方法が採用されていたらしい。

しかし、冬季は海の水温は言わずもがな。
回収を待つ間に低体温症などが原因で兵士らが次々に命を落としていった。

そこでイギリス軍は"Ventile"というコットン100%ながら高密度に織ることによって、防水性、撥水性に富んだ生地を開発したのだった。

着水からわずか数分で命を落とす現実を、衣類(装備)の生地を変えるだけで20分以上もの延命に成功し、イギリス軍に革命をもたらしたのだった。

そしてこれはイギリス軍の…。

では無く、1940年ごろに採用されていたアメリカ軍のレインコートだ。

同じ生地を2枚重ね、それらの生地の間に熱によって溶かしたゴム塗り圧着させ、防水性や防寒性の向上を目的とした所謂ゴム引きと呼ばる製法を用いて作られたコートである。

多くのイギリス軍兵士の命を救った生地。
同時期に採用されていたアメリカ軍のレインコート。

「それらが掛け合わさったArchらしいコンチネンタルな1着ができないか」

そんな構想の元、"KLASICA" × "Arch"によって実現させたコートが2026/01/31(Sat) "Arch SAPPORO" , "Arch 南青山" , "Arch STELLAR PLACE"の3店舗でのお披露目が決定。

その名もKLASICA / GHOST Ⅱ -Arch EXCLUSIVE-

BLACK , NAVY , GREYの3カラー展開だが、今回はその中でも個人的にGREYに注目したい。

それにはまず、私が思うKLASICAというブランドへの想いを綴る必要がある。

「私はKLASICAが大好きだ」

洋服のシルエットやディティールなどのデザイン性がArchで扱う数多のブランドと比較すると、一線を画す雰囲気や空気感があり、ひと目見た時の「この服かっこいい」と思わせる"奇抜さ"が個人的なツボなのだ。

冒頭の話に少し戻るが、KLASICAというブランドの洋服をより楽しむには、それらの洋服のルーツを知ること。少しの知識があることでKLASICAの洋服たちはより深く、鮮やかに、愛くるしく見えてくる。

ひと目で分かる奇抜さの中には、「名品」と謳われるヴィンテージや、知る人ぞ知るニッチなヴィンテージなどのディティールが、時に大きく主張されたアイテムもあれば、ルーツを愛する洋服好きにしか気付かないようなさりげなさを含んだアイテムも存在する。

KLASICAの洋服をもっと深く知りたくて。

なんて想いでKLASICAのアイテムを見るや否やデザインを構築するヴィンテージを探しては調べ、知見を得るのと同時に、ますますKLASICAが好きになる連鎖の中に私はいる。

しかし最もテンションが上がるのが、デザインの糧となっているヴィンテージをたまたま先に知っていた時。

そして今回のGHOSTの様に、国や洋服のジャンルの垣根を超えて様々なディティールが要所に散りばめられ、1着の洋服としての姿を形成していると知った時。

これまで私が得た洋服への知識、知見が大好きなブランドの洋服と繋がるあの瞬間こそ、私の中の洋服への楽しさが爆発する時なのかもしれないとすら思う。

その中でも今回"GREY"というカラーに着目したのは、3色の中で最も解釈の幅が広いと感じたからである。

私の悪い癖で、1度その洋服に対しての解釈やイメージが固まってしまうと抜け出すのにかなりの時間を要してしまう…。固定概念みたいなものが自分の中であって、良く言えばマイルールみたいな。

時折、それ故にルーツなどの知識にがんじがらめになってしまい、楽しいはずの洋服を理屈で選んで着てしまうことがしばしばあった。

GREYのコートを目の前にした時、私がKLASICAに抱く奇抜さをどこかにしっかりと感じながら、その中に潜むルーツを3色の中で最も感じた。

きっと、私が知る中でヴィンテージや他ブランドでGREYのコートを見たことがあまり無かったというのが大きな要因かもしれない。

例えば、「NAVYはU.S.NAVYの某コートに見立てて着ることができるな」みたいな想像ができない、底が見えない様な見た目が個人的なツボに入ったのかと思う。

デザインの種明かしをした時に「確かに言われてみればそうかも?」って言われるより、「それでも全然アメリカ軍のコートに見えないな!」って一緒に楽しめるカラーだなと。

暗すぎず、明るすぎない絶妙なGREYの発色。

コットン100%が故の化繊には無いマットさの中に、ギアとしての機能を兼ね備えた今っぽさというか都会的というか。

トラディショナルなアイテムはもちろん、化繊などのモダンなアイテムとの組み合わせも試したくなる懐の深い1着に思う。

生地の関係もあって生産数が少ないので、お早めに…。

洋服の楽しさをこのコートを介して皆様と共有できる日を楽しみにしております。

ご精読感謝いたします。

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