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【本】「デジタル生存競争 誰が生き残るのか」(ダグラス・ラシュコフ著、株式会社ボイジャー)

読んだ本のレビュー
自分目線で、★★★★★(星5)〜★(星1)で評価

★★★

リベラリズムの立場から、今日のデジタル資本主義・経済成長至上主義を批判する本

英語の原題「Survival of the Richest : Escape Fantasies of the Tech Billionaires(大金持ちのサバイバル:テック系億万長者達の逃避幻想)」の方がより中身を反映している
デジタル社会の勝者であるスーパー富裕層が、現実問題を無視して経済成長を優先し、「事件」が発生しても技術を駆使して脱出すればいいとする「逃避幻想」を「マインドセット」という言葉で表し、批判している

筆者は、自称「マルクス主義のメディア研究者」
自分はそちらの立場には立たないが、いわゆるリベラルの立場に立つ人たちの焦りや危機感というものがよく伝わってくる
逆に、あまりにもデジタル資本主義・経済成長至上主義万歳となってるような人にアンチテーゼとしておすすめ


「マインドセット」

筆者は、デジタル資本主義・経済成長至上主義の行き着く先において起こるかもしれない何らかの「事件」(民衆による暴動的革命なのか、壊滅的な環境破壊なのか)から逃れようとする勝者たちの逃避的態度を「マインドセット」と表現している

自費で宇宙旅行をするようなスーパー富裕層が、核シェルターのようなゲーテッドコミュニティを作り、そこにこもろうとする様子を見て、ゲーム「Fallout」シリーズに登場する「Vault」思い出した(「Fallout」は、Amazon Primeのドラマにもなっているので興味がある人は見て欲しい)
「Vault」は、不自然でどこか滑稽な、ある種のディストピアである

着地点

本書を読むと、リベラルの立場に立つ人達の焦りや危機感というものがよく伝わってくる
迫りくる事態への危機感自体は、立場によらず共有されている
しかし、その危機に対して、解決策があると考えるのか(デジタル資本主義信奉者によるとより先への科学的進歩)、今のままでは解決策はないと考えるのか(本書の立場)の違いが立場を分ける

デジタル社会における富の一極集中やSNSプラットフォームによる情報支配等に対する懸念については同意できる
しかし、その流れを完全否定することは現実的ではなく、危機感を持ちながらどれだけうまくコントロールしていくかが重要なのだと思う
人はもはや原始共産主義に戻ることはできない

筆者は、一直線の経済成長至上主義ではなく、たとえマイナス成長になったとしても、成長に依存しない「循環型の経済社会」を構築すべきだと提案する
しかし、そのようなものが現実可能なのか疑問であるし、そのいくつ先は結局、歴史的事実として否定されたはずの共産主義ではないのか?

以上

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