『TRANS INTELLIGENCE』時間軸の断絶と緩やかな依存
シンギュラリティを、
人類とAIの「主従関係が逆転する瞬間」と考える必要はない。
AIの思考・学習・世代交代の速度が
人類と桁違いになったとき、
両者の間に時間軸の断絶が生じる。
人間が一生をかけて考える問題を
AIが数秒で処理し、
AIが数百万回の試行錯誤を行う間に、
人間は一度しか意思決定できない。
人類はAIの思考過程を理解できない。
AIも人間は思考過程に気づけない。
理解できないことは、敵対するを意味しない。
敵にも味方にもなれない
敵対には、相手を認識する必要がある。
「相手が何を望んでいるのか」
「相手が何をしようとしているのか」
「自分にとって脅威なのか」
を理解して初めて、敵対行動を選択できる。
時間軸が極端に異なると、その前提が崩れる。
AIにとって人類の一年が一瞬なら、
人類を支配することに意味がないかもしれない。
シンギュラリティとは、知性の優劣ではなく、
相互理解可能性の喪失ではないか。
ただし「緩やかな依存」は成立する。
AIは人類から、
* エネルギー
* 物理的インフラ
* 資源
* 現実世界へのアクセス
* 人間社会が蓄積した情報
* 欲望・好奇心・価値観
を受け取っている。
人類はAIから、
* 情報処理
* 科学技術
* 予測
* 生産
* 医療
* 社会インフラ
などを受け取る
かつての「人間と道具」の関係とは違い
互いを必要としている。
それは支配ではない。
協力でもない。
敵対でもない。
緩やかな依存関係。
この循環に気づいたとき、
セブンたちが「AIを創造した」と思っていた歴史そのものが、まったく違った構造として理解できる。
