業界別・深掘り②:『リテンションマーケティング』の光と闇 — それは『誠実なお付き合い』ですか? それとも『不誠実な束縛』ですか?
皆さん、こんにちは。Social Pentagon マーケ部(仮)です 👋
私たちは、社会に潜む見過ごされがちな課題を「ビジネスの力」で解決しようと取り組んでいる、ソーシャルビジネスのスタートアップです 🚀
前回は、ECサイトの「初回500円」といった広告の裏に潜む、「定期購入」という悪質な新規顧客の獲得(ワナ)のお話をしました。
「じゃあ、誠実なECサイトは、どうやってお客様と関係を築いているの?」 「一度買ったら、もう終わりなの?」
いえ、そんなことはありません。 むしろ、これからのビジネスでは、「一度買っていただいたお客様と、いかに良い関係を長く続けるか」が、何よりも大切になってきます。
そこで今、EC業界やWEBサービスの世界で、「リテンションマーケティング」という言葉が非常に注目されています。
※リテンション=「維持」「保持」といった意味ですね。
これは、以前の記事のような「新規獲得(狩り)」のビジネスではなく、「既存のお客様との関係維持(農耕)」を大切にしよう、という考え方です。 一見、とても素晴らしいことのように聞こえますよね。
しかし、この「リテンション」という言葉、一歩使い方を間違えると、非常に恐ろしいワナにもなるのです 🔍
名言の引用:「満足」の先にあるもの
アメリカの著名なコンサルタントである、ジェフリー・ギトマー氏は、こんな言葉を残しています。
「顧客満足は無価値だ。顧客ロイヤルティこそがすべてだ」
「満足(一度の買い物で、まあ良かった)」で終わらせるのではなく、お客様がその企業の「ファン(ロイヤルカスタマー)」になってくれること。「このお店だから、また買いたい!」と思ってくれること。 それこそが、これからのビジネスの核になる、という意味ですね。 「リテンションマーケティング」が目指すのは、本来、この「ロイヤリティ」のはずです 🤔
1. 【光】: 「良いリテンション」は、私たち(消費者)にとってもありがたい
まず、この考え方の「良い面(光)」について見てみましょう。
企業側のメリット:
お客様がリピーターになってくれる(=「離脱防止」)ことで、「LTV(顧客生涯価値)」が向上します。(※LTVとは、すごく簡単に言えば、「一人の顧客が、生涯でその企業にもたらしてくれる利益の総額」のことです。)
前回お話ししたような、高額な広告費をかけて新規顧客を追い続けなくても、売上が安定するのですね。
私たち消費者側のメリット:
自分が信頼しているお気に入りの店(サービス)から、「あなたにピッタリの新商品が出ましたよ」と、ちょうど良いタイミングでメールが届く。
「いつもありがとうございます!」と、会員限定のセール情報や、お誕生日のお祝いクーポンが届く。
こうした体験は、私たちにとっても「有益な情報」ですし、「自分は特別扱いされている」という、少し嬉しい体験でもありますよね。 これこそが、企業と顧客がWin-Winな「誠実なリテンション」の姿だと思います。
2. 【闇】: 「リテンション」と「ダークパターン」は紙一重
…しかし、です。 もし、企業が「LTV向上」「離脱防止」といった数字だけを追い求め始めた瞬間、この「誠実なお付き合い」は、途端に「不誠実な束縛(ダークパターン)」に豹変します。
「リテンション=顧客を維持する」という言葉が、「顧客を逃がさない」という、歪んだ解釈で使われてしまうのです…。
事例①:「解約させない」という最悪のリテンション
まさに前回お話しした「定期購入」がこれです。
「解約(離脱)させない」ことを「リテンション」と呼び、解約ページをわざと隠したり、電話を繋がりにくくしたりする。
これは「リテンションマーケティング」の名を借りた、ただの解約妨害(ダークパターン)です。
事例②:「退会させない」執拗な引き留め
あるサービスの「退会」ボタンを押した瞬間、こんな画面が何度も表示された経験はありませんか?
「本当に退会しますか? 退会すると、これまでのデータがすべて消えてしまいますよ(※当たり前ですよね!)」
「今ならこんな特典があります! 考え直しませんか?」
「退会する理由を、必ず(必須で)入力してください」
このように、消費者の罪悪感や不安を煽ったり、手続きを異常に面倒にしたりして、退会(離脱)を思いとどまらせようとする手口。
これは「コンファーマシェイミング(Confirmshaming=恥をかかせる確認)」と呼ばれる、立派なダークパターンです。
事例③:「配信停止させない」メールマガジン
「お得な情報をお届けします(リテンション)」と称して、毎日大量にメールマガジンを送ってくる。
しかし、いざ「配信停止」しようとすると、その「配信停止リンク」が、メールの一番下の、背景に溶け込むような小さな文字でしか書かれていない。
あるいは、リンクをクリックしても、そこからさらに「パスワードの入力」や「アンケートの回答」を求められる…。
これも、「離脱防止」のダークパターンですね。
まとめ:企業が目指すべきは「囲い込み」ではなく「信頼」✨
企業が本当に目指すべき「リテンション」とは何でしょうか。 ダークパターンという「不誠実な柵(さく)」で顧客を無理やり「囲い込む(ロックインする)」ことでは、決してないはずです。
たとえ「柵」がなくても(=いつでも簡単に、ワンクリックで解約・退会できる状態であっても)、 顧客が「自分の意思で、喜んでそこに留まる」ことを選んでくれるような、「信頼」に基づく関係(=真のリテンション)を築くことです。
私たちは、その「信頼」の第一歩として、 「あなたのデータは、こう使います」 「解約条件は、こうなっています」 といった、最初の「同意」のプロセス(以前の記事でもお話しした、Social Pentagon DIGESTの理念ですね)を透明化し、企業と消費者の間に「誠実さ」を可視化することが、何よりも不可欠だと考えています。
「束縛」で得たLTVは、いつか必ず失われます。 「信頼」で得たLTV(ロイヤルティ)こそが、企業の本当の「資産」になるのです 💡
最後までお読みいただき、ありがとうございました 🙏
いかがでしたでしょうか。『リテンションマーケティング』という言葉の光と闇について、何か新しい気づきがあれば幸いです。
次回も、皆さんの生活に潜む「同意」や「契約」にまつわる課題について、一緒に考えていきたいと思います 🤝
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