晩酌で一日を締め括る。
【「飲むよぉ~」のひとこと】
お酒は「ここだけの話しだけど・・・」ととっておきのネタをもらす効果がある。。本音を吐露させる潤滑剤の役目もある。
銀座・新宿界隈では昭和の頃から続く文壇バー、近頃は投資家バーが密かに人気です。
認知症が進行している高齢者に、貼ってはいけない余計なレッテルがある。だって、思いもしなかった表現力で意思表示するから。
ぽつりとこぼす一言一言が、じんわりと伝わってきます。
ちょっとした何気ない“せりふ”が、周囲をほっこりさせてくれる。安心のきっかけを創出してくれるのです。
介護施設に通われているひとりのおばあさんと、その息子さんとのやり取りに平和なひとときを感じたのです。
適量のお酒はからだに有益です。善玉(HDL)コレステロールを増やしてくれたり、血液を固まり難くしてくれる。そんな効果があるためです。(*)
ワインは抗酸化作用に期待できるし、焼酎から漂って来る香りも一役買ってくれます。
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身体の他にこころのサポートも担っていると思える、気持ちが通う場面に遭遇しました。
通所介護施設の送迎業務に就いている最中での出来事でした。
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介護施設をご利用になっていらっしゃる「裏千家さん」(若かりし頃茶道を習っていて、某有名婦人雑誌でも写真付きで紹介されたというおばあさんの愛称)にまつわるおはなしです。
裏千家さん親子は2人住まいです。日頃身の周りの面倒を見ているのはひとり息子さんです。送迎の車の中での裏千家さんのおはなしを聴いていると、どうもおふたりともお酒が好きなようです。
息子さんは飲食店に勤めていらっしゃるので、お酒に合い、栄養バランスの取れたおつまみをこしらえてくれるそうです。
ある日裏千家さんの体調が思わしくなく、少々めまいもする。なので施設の居室で横になる日がありました。ご帰宅する頃は気分も良くなった様子でひと安心。ご自宅に到着してから、玄関まで迎えに出て来た息子さんに施設での様子をお伝えした。
すると、それまで息子さんの上がっていた口角が下がり始め、曇った表情に変わってしまったのです。
心配になった息子さんは、「それじゃあ、今晩はお酒飲まないね!?」と心配そうに尋ねます。送迎の車中で、「今晩は何がおつまみかなぁ~」と、今宵の晩酌を楽しみにしていた裏千家さんにとって、落ち込んでしまう投げ掛けだった。
なので、私としても何と言って慰めたらいいのか?裏千家さんとともに肩を落として、ため息を付きたくなってしまったのです。
玄関に脱ぎっぱなしの履物を揃えようと、足元を見ながら前屈みになっていた裏千家さん・・・。
すると、その問い掛けにおもむろに顔を上げて、「飲むよぉ~」の一言を返したのです!
「あんたは何を言っているんだ!」と言わんばかりの、少々ドスの効いた低い声で、さらりと言い退けたのです。
それを聞いた息子さん。いつもの母親が帰ってきたと安心したのでしょう。口角が再び持ち上がって来て、満足げに「うんうん」とうなずいた。きっと今日の夕げは、平穏な親子団欒のひとときが待っていることでしょう。
そう思わせる、あたたかい一場面でした。
介護施設で休肝日を過ごし、帰宅してから低カロリーのおつまみで適量の晩酌を迎える。お互い別々に過ごした時間を埋めるかのように、個々の出来事を報告し合うのでしょう。きっとストレス発散にも効果的でしょうね。
裏千家さんご家庭にとって、晩酌は健康的な一日の締め括り方なのでしょう。
ほっこりした気持ちになりながら、裏千家さんのご自宅を後にしたのです。
【出典】
(*)健検公式テキスト増補改訂版 よいお酒、悪いお酒
