お母さん、ごめんね。そしてありがとう。 ─ 第二章─伝えきれなかった愛と、いま手渡す言葉
母は保育士だった。
現役の後半は園長もしていて、当時には珍しい、
フルタイムで働くお母さんだった。
私がまだ小さかった頃、
ふとこんなことを言ったことがある。
「なんでお母さんは、他人の子どもばかり見てるの?」
ただただ、さみしかっただけだった。
でもその感情を「さみしい」と伝えることも、
素直に甘えることも、
当時の私はまだできなかった。
今になって思う。
あの一言が、母の心にどう響いたのか。
記憶にはないけれど、
ふと浮かんだ母の“さみしそうな顔”が、
それを教えてくれた。
たぶん、あの瞬間から、
母の中に「わたしなんて」が
始まってしまったのかもしれない。
たくさんがんばっていたのに。
「これしかなくてごめんね」
なんて言うようになったのも、
自分を小さくしようとしていたのも、
ほんとは、
ずっと愛してくれていた証だったのに。
そして今、気づいたことがある。
母は、フルタイムで働きながら家庭を支えていた。
がむしゃらに、懸命に。
思えば、
母も誰かに「ありがとう」と言われたかったの
かもしれない。
でも、私たちはその気持ちを、
うまく言葉にして届けることができなかった。
母の日が近づくたびに思う。
あの頃の私も、あの頃の母も、
どちらも一生懸命だったんだなと。
今なら、わかる。
あの時のごはん、美味しかったよ。
「これだけ」じゃなかった。
むしろ、
あったかすぎて感謝しきれなかったくらいだった。
だから、今伝えたい。
お母さん、ごめんね。
そして、心からありがとう。
── これは、母と私の周波数再調律の記録。
愛は、ちゃんと、循環してる。
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