【TEA】曇りの日のお家ティータイム
コポコポコポ……。
小さな音がぼんやりと耳に届く。
IHコンロにかけた小鍋が沸騰しはじめたのだ。
しばらく眺めてから、のろのろと手を伸ばす。
電源に触れると、ピーという音がやけに甲高く響いて、思わず眉をひそめる。
すぐに静けさが戻った。
やわらかな湯気が、ゆっくりと立ちのぼっていく。
窓の外は曇り空。
なんとなく体が重くて、何をするにも億劫だ。
引き出しを開け、ティーバッグをひとつ取り出す。
カップに落とし込み、そのままお湯を注ぐ。
目分量で沸かしたはずなのに、ちょうどぴったり一杯分だった。
それだけで、ほんの少し気分がましになった。
冷蔵庫を開けて、チョコレートを二粒だけ取り出す。
椅子に腰を落とすようにして座る。
壁に背を向け、窓の方へ斜めに体を向けるのが、いつもの定位置だ。
カップを両手で包む。
じんわりとした熱が、ゆっくりと手のひらに広がっていく。
ふわり、茶葉の香り。
ひと口飲むと、内側から少しずつ体がゆるんでいく。
チョコレートはカカオ50%のビター。
ストレートティーのあとに口にすると、思いのほか甘く感じられる。
外は相変わらずの曇り空。
出かける気にはなれないけれど、不思議と悪くない気分だ。
カップを置く音が静かに響く。
せっかくだから、作りかけの裁縫の続きでもしようか。
そう思って、すくっと立ち上がり、椅子を丁寧に戻してから、そっとダイニングをあとにした。
いいなと思ったら応援しよう!
読んでいただきありがとうございます♪
小さな応援のお気持ちが大きな支えとなります。
いただいたチップは、活動と暮らしに役立てさせていただきます。