【あなたの2000年代を聞かせて】第7回ゲスト:姫乃たま(その②)
サムオブメンバー(今回はカンノ)が様々なゲストを招いて2000年代についてトークする連載。第7回のゲストは元地下アイドルでライターの姫乃たまさん。(その②)では、姫乃さんが生まれ育った下北沢での暮らしと、6歳まで東京に暮らし、その後郊外へ引っ越したカンノの東京への距離感についてお話しました。(その①)は下記リンクから。
姫乃:私は小学校、中学校が下北沢の学校で、小学校の職場見学みたいなやつでライブハウスに連れていかれたんですよ。
カンノ:すごい、本当の下北沢の話だ(笑)。
姫乃:今は下北沢近道ってライブハウスになってますけど、当時は下北沢GARAGEでした。学校で「いろんな職場の人たちを見に行きましょ~!」みたいなやつで行ったのがGARAGE。
カンノ:それはクラスの人がそれぞれ行きたい職場に分かれてですか?
姫乃:いや、クラス全員でいくつか回る方式だった気がする。
カンノ:下北沢の街で職場見学を回るうちの一つが下北沢GARAGE(笑)。
姫乃:そこで質問コーナーがあって、働いてるお兄さんに男の子が「給料はいくらですか~?」って無邪気に聞いてすごい空気になったのを覚えてる(笑)。
カンノ:アハハハハッ!
姫乃:あと、それは代々木上原にあったデザインスタジオだった気がするけど、そこでも「お給料いくらですか?」って質問した子がいて、すごい悲しい空気になったのを覚えてる(笑)。
カンノ:なんか、例年ありそうですけどね(笑)。
姫乃:そうだね、毎年悲しい空気になっていたのかもしれない(笑)。
カンノ:それにしても下北や上原へ職場見学に行く文化、すごいな~。
姫乃:ヴィレヴァンが近所にあるのも大きいですよね。
カンノ:下北のヴィレッジヴァンガードですね。
姫乃:子どものころは文房具を買いに行くお店っていう認識だった気がします。
カンノ:もう認識から全然違うんですね。子どものころからその街の空気感に触れていると。
姫乃:でも、子どもなのでお金がないから、「この街ではなにかが起きてるな」っていう気配は感じるんだけど、自分でなにか観たり買ったりできるわけではないので歯がゆかったですね。そのせいか下北沢の地元の子というか、同級生とかはあんまりカルチャーに興味がなかったような気もします。
カンノ:なんか、そんな気はしていて。僕の母親の親戚は調布、父親の親戚は狛江に住んでいたので、その中間地点のアパートに6歳まで住んでたんですよ。
姫乃:めっちゃいいところだ。
カンノ:で、家を買うっていうことで、神奈川県の大和市に引っ越すことになり、東京と距離ができるようになるんですけど、ここ最近考えるイフ的なことで、そのまま調布に住んでいたら。
姫乃:そのまま調布ボーイだったら。
カンノ:これは後々、母親に教えてもらったんですけど、幼稚園で同級生だった子のお父さんがTBSテレビのプロデューサーだったとか。
姫乃:へえ!
カンノ:どうやら二子玉川の良いマンションに住んでたどうとか聞いたりして。で、うちはカルチャー的な素養がない普通の家庭だったので、家にレコードがあるわけではない、蔵書があるわけでもない。普通にテレビと野球が好きな家。
姫乃:はっ、「家にレコードがない」って考えたことなかったかもしれない。
カンノ:そうですよね。このどうしても埋められない差はある気がしていて。で、そのまま東京で暮らしてたら、いろんな意味で絶望しちゃってた気がしていて。早い段階でカルチャー的なものに憧れることは諦めてた気がするんですよ。それが東京とちょっと距離ができたことによって、ちょっとクサい言い方をすると、夢への距離ができたから、未だに音楽やったりこういうふうに話を聞いたことを文章にしたりしてると思うんです。で、僕は高校生の終わりまで下北に行けなかったんです。
姫乃:えっ、なんで?
カンノ:怖くて。
姫乃:怖くて!
カンノ:夢すぎて。
姫乃:怖いところじゃないよ!(笑)
カンノ:で、その感覚を引きずりすぎて、結局一度も下北沢SHELTERに行ったことないんです。
姫乃:えっ!?いまだに?
カンノ:なんか取っといてる感じになっちゃってて(笑)。スペースシャワーTVで放送されていた2000年代前半のライブ映像を見すぎちゃって。邦ロックバンドはみんなSHELTERだったから。
姫乃:カンノさんが初めてSHELTERに行くとき、ついて行きたい自分がいる(笑)。
カンノ:「こんな顔するんだ~」とか(笑)。
姫乃:見たい、見たい! 大人が意外と経験してなかったことを初体験する瞬間に立ち会うのが好き。
カンノ:そこで演奏できたら最高ですけどね。
姫乃:あれですよ、アイドルカルチャーに則って、SHELTERで生誕祭やりましょうよ!
カンノ:出た!アイドル以外の人たちがやる生誕祭イベントに「うっ…」となる気持ち(笑)。
姫乃:そこはあえて踏んでいきましょう!
カンノ:話を戻しますが、僕は下北沢ってずっとそういう距離感なんですけど、生まれも育ちも下北沢だと全然感覚は違うだろうなと思うんです。
姫乃:下北沢っていうとカルチャーと若者の街っていう印象ですけど、あそこは世田谷区なので地元の子たちっておっとりしたお金持ちの家の子が多いんですよ。だから私の同級生に限った話ですけど、子ども時代に下北沢でカルチャーを浴びまくってた子ってあんまり思い浮かばないですね。
カンノ:そっか、なるほど。姫乃さんの同級生の親はどうでした?
姫乃:弁護士、医者、学者…。
カンノ:うぉ…。そうなると、姫乃さんのお家にはレコードが置いてあって、ある人の家には専門書がずらーっと置いてあって。
姫乃:そうそう。うちは団地だったんですけど、同級生の家は基本的に一軒家だった。あとだいたい犬がいたり、すごい家だとエレベーターがあったりメイドさんが住んでました。
カンノ:すごい!思ってた以上のお金持ちでした(笑)。
姫乃:むしろ団地が特別なんじゃないかと思うくらい(笑)、一軒家住まいの人が多かったんですよね。
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