SOMEOFTHEM OF PODCAST 第60回『お父さんのためのヒップホップ・エボリューション』特集(前編)
カンノアキオとオノウエソウによるSOMEOFTHEMのポッドキャスト番組『SOMEOFTHEM OF PODCAST』を配信しています。こちらではその書き起こしを前編、後編に分けて掲載します。第60回はオノウエのお父さんがNetflixのドキュメント『ヒップホップ・エボリューション』にハマったので、この番組の概要を踏まえながらお父さんの反応を楽しむ『お父さんのためのヒップホップ・エボリューション』特集(前編)をお送りします。ポッドキャストは下記リンクから。
カンノ:今回はオノウエ君に企画を考えてもらいました。
オノウエ:はい。
カンノ:noteで連載しているSOMEOFTHEMでこの放送も書き起こしをアップしていますが、それとは別企画で『サムオブ井戸端話』という音楽駄話を連載しています。そこでオノウエ君から出た話がすごくおもしろかったので、それをこちらでもやってもらえたらと思うんですが、なにやらオノウエ君のお父さんはハマってるものがあると。
オノウエ:ハマったものがあるんですよ。
カンノ:それはスピ系かなにかですか?
オノウエ:いえ、「氣」という字とかは関係ありません。
カンノ:大丈夫ですか?投票先になにか違和感を感じたことはないですか?
オノウエ:大丈夫です、有機農法にもハマっていません。
カンノ:あぁ、ならよかった。安心安全なものにハマってるんですね。
オノウエ:それが安心安全のものじゃないんです(笑)。
カンノ:えぇ?じゃあ、なににハマってるの?ということで、ここからはオノウエ君仕切りでお願いします(笑)。
オノウエ:井戸端話で話したことと被る部分はあるんですが、父親と最近見ているYouTubeとかNetflixの話になるんですよ。そのなかで、「Netflixでおもしろい番組があるんだよ」と紹介されたのが『ヒップホップ・エボリューション』なんです。
カンノ:来たぞ、来た来た(笑)。
オノウエ:父親がヒップホップにハマりました。
カンノ:お父さんがヒップホップにハマった!
オノウエ:『ヒップホップ・エボリューション』という番組はアメリカのリアルなヒップホップシーンが当時どういう状況で、どういう進化を遂げていったかということを辿る番組なんだけど。
カンノ:ドキュメンタリー?
オノウエ:ドキュメンタリーというよりは、当時を知る人にインタビューして、それをつなぎ合わせてストーリーをつくっていく感じなんだけど。
カンノ:証言を基に歴史を紡いでいって、こういう流れがあったということを紹介していくんですね。
オノウエ:そういう番組です。で、日本に住んでいたらあまりわからないかもしれないですが、リアルなヒップホップの現場というのは本当にリアルでございまして。
カンノ:フフッ。
オノウエ:それを父親がハマって見ているという。それにビックリしたという話を井戸端話のほうでしています。
オノウエ:それで、改めてポッドキャストのほうでも、その話をさせてもらえたらと思い、今回は「お父さんのためのヒップホップ・エボリューション」特集。
カンノ:やった~!
オノウエ:「お父さんのため」というよりは、「俺の父親はこうなった」特集なんですが(笑)。
カンノ:今日はそのあたりを詳しく聞けたらと思いまして、曲を紹介しながら、「こういう歴史があったんだよ」ということと、その歴史を知ったときのお父さんの反応が聞きたい。
オノウエ:そのあたりを話したいと思うんですが、最初にかけたい曲なんですが、もともとうちの父親は音楽は好きなほうで、その影響があって僕も音楽を聴くようになっていくんですが。
カンノ:だって、お父さんはギター弾くもんね。
オノウエ:そうそう、父親のギターから楽器を始めたからね。そんな父親はブラックミュージックも好きなんです。R&Bとかブラックコンテンポラリーとか好きで、僕が中学生のときに父親のCD棚を漁って聴いてたりもしていたんですが、僕の知っていた父親のラップに対する理解というのはこうだったという。つまり、『ヒップホップ・エボリューション』以前の父親の楽曲を聴きたいと思います。
カンノ:もともとのお父さんね(笑)。
オノウエ:そうそう。では、お聴きください。クインシー・ジョーンズで「Back On The Block」
カンノ:この人はどんな人ですか?
オノウエ:クインシー・ジョーンズはミュージシャンでプロデューサーなんですが、マイケル・ジャクソンのプロデューサーとして有名ですね。
カンノ:なるほど。
オノウエ:父親はもともとこういう感じの音楽が好きなんです。
カンノ:もちろんラップのアプローチなんだけど、あくまでポップスだよね。
オノウエ:そうそう、もともとはそのラインなの。それが、ブロンクスの抗争とか。
カンノ:語り出した(笑)。
オノウエ:興味を持ち始めたんです(笑)。父親はちょっとダーティーな音楽、ヒップホップだったりパンクスだったりがあんまり好きじゃないと思ってたんです。
カンノ:ストリートカルチャーみたいなものね。
オノウエ:そう思ってたんですけど、その番組に興味を持ち始めて、あるラッパーにハマりまして。で、数ヶ月前に家族4人で旅行に行ったんです。その日に『ヒップホップ・エボリューション』でハマった曲を旅行に行く車の道中で流したんです(笑)。
カンノ:すごい話だよ(笑)。
オノウエ:そのラッパーはもともと麻薬の売人だったんです。
カンノ:家族団らんと一番かけ離れた(笑)。
オノウエ:箱根に向かう車のなかではこんなラッパーの曲が流れていました。お聴きください、ノトーリアス B.I.G.で「Notorious Thugs」
カンノ:いいタイトルですね。これが家族旅行の車のなかで流れていた曲。
オノウエ:父親がとくに好きだと言っていた曲です。
カンノ:アハハハハッ!
オノウエ:タイトルを日本語訳すると「悪名高い凶悪犯」
カンノ:アハハハハッ!
オノウエ:僕らは30代半ばですが、その父親世代というのは、おそらくヒップホップというものが本当に悪い人たちがやっていた音楽ということを知らないと思うんです。
カンノ:それはそうだろうね。
オノウエ:父親が言っていたのは「本当にこの人たちは悪いやつらなんだな」っていう。
カンノ:感心しちゃった(笑)。
オノウエ:「いやぁ、知らなかったよ、こいつら、こんなに悪いやつらなんだな」って(笑)。
カンノ:この話、おかしすぎるんだよな~(笑)。逆なんだよね。
オノウエ:そう、ヒップホップのことはわからなくても、こいつらが悪いやつらなのはなんとなくわかるはずなんだよ(笑)。
カンノ:それは、ヒップホップが国民的になったとも言えるのかな?誰でもラップはできるし、トラックメイクができるなかでの逆説的な話なのかもしれない。
オノウエ:そうだと思う。父親の話を聞いてると、そもそも父親はラップが好きじゃなかったの。とくに日本語ラップは「お経みたいじゃん」という、かなりステレオタイプな。
カンノ:よくある批判だよね。
オノウエ:あと、トラックメイクがどういうことなのかいまだに理解してない。「だってこいつら、楽器弾けないんだろ?」っていう。
カンノ:そうだよね~。
オノウエ:「楽器弾けないのに音楽をやるってどういうことだ?」っていう。その世代の人なので。
カンノ:「が、楽譜が読めない!?」
オノウエ:「レコードから音を取るってどういうことなんだ?」
カンノ:サンプリングっていう概念がわからない。
オノウエ:僕は父親と『ヒップホップ・エボリューション』を見ながら解説しました。
カンノ:お父さんのための!
オノウエ:「サンプラーっていうのがあってね」
カンノ:「音が取れるんだよ」
オノウエ:「サンプラーが出る前はどうしてたんだ?」「ターンテーブルの2枚使いをして…」「人間はそんなことができるのか!」みたいな。
カンノ:これって編集っていう考え方だよね。編集という概念が音楽のなかに存在することの意味不明さというか。
オノウエ:そうだね、よくわかんないんだと思う。
カンノ:コピペ的な考え方だから。
オノウエ:サンプラーとかカットアップとか、いまだにわかってないんだと思う。
カンノ:楽器の身体性で考えると全然わかんないのかもね。
オノウエ:「DJって偉そうだけど、あいつらはなにをしているんだ?」
カンノ:アハハハハッ!
オノウエ:「後ろでひたすらレコードを漁っているだけじゃないか?なにをしているんだ?」って言ってました(笑)。
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