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左利きはうらやましい

小学4年の時、隣の席の男子は両手利きだった。小さいころ親に右手を使うように直されたけれど、今でも右と同じように左手も使える。もし右手をケガしても左手で何でもできるから便利なのだと聞いて、とてもうらやましかった。
当時流行っていた水森亜土ちゃんも元々左利きだったのを矯正させられて両利きになり、左右同時にイラストを描ける(しかも歌いながら)!というのを見てますますうらやましくなった。
両手利きでなくても、左利きの人が横書きする時に手首をくるんと曲げるのは、大人になった今見てちょっともかっこいいなと思う。

台北が舞台の映画、「左利きの少女」は、5歳のイージンの左利きが原因で起こるある出来事を中心にストーリーが進む。

食事中、イージンの祖父は「左手は悪魔の手だから使うな」と厳しく孫を叱責する。母親以下の世代は古くさいととり合わないが、イージンは祖父の言葉の呪縛から逃れられない。
こういうの、あるよねー。
親やその上の世代が躾と称して意見すると、幼い子どもは理不尽だとうっすら思っても言い返せない。さらに時にはそれが深い心の傷になる。
日本も以前は左利きは矯正させられるものだったけれど、左利き用の文具や調理器具も普通にある今は別に直す必要もなくなったのかな。

イージンの左利きはこの映画ではあくまで象徴的なエピソードで、登場人物たちはもっと複雑で深刻な問題を抱えているし、日本にもそのまま置き換えられるような台湾社会の負の部分も炙り出される。
それでも台北の夜市の雑踏をちょこちょこすり抜けるイージンを追うiPhoneでの撮影や、食事風景、不思議な間取りの部屋、危なっかしく街を疾走する原付バイクなど台湾の魅力も覗けてけっして暗い作品ではない。

監督のツォウ・シーチンは「フロリダ・プロジェクト」のショーン・ベイカー作品のプロデューサーをしていて、この映画ではショーン・ベイカーは脚本や編集の共同制作者となっている。
そのせいか「フロリダ・プロジェクト」との類似点を挙げている映画評もあるけれど、そうかなー?
この先に仄かに見える光明という点では、香港映画「星くずの片隅で」を思い出した。

いつもイライラしている長女イーアン役のマー・シーユエンがいいなと思っていたら、この作品で台湾の最優秀新人賞を獲っていた。どう見ても不安定なハイティーンなのに、実際は26歳というのにもびっくり。

映画見たのは2週間前だけれど、以来ずっと台湾の屋台メシが食べたいなーと思っている。

*ヘッダーの写真は水森亜土ちゃんサイン入りミニ手鏡。今やヴィンテージだけど現役。

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