海外ドラマの感想「メア・オブ・イーストタウン ある殺人事件の真相」(2021)
原題: Mare of Easttown
主演: ケイト・ウィンスレット
あらすじ
ペンシルバニア州郊外の田舎町イーストタウン。全員が顔見知りの平穏な町で、ある日突然、シングルマザーの少女が惨殺された。刑事メア・シーアンは事件の調査に当たるが、誰もが容疑者となりうる状況で捜査は難航。少女を取り巻く住民たちの想いは絡み合い、やがて事件は思いもよらない展開を見せていく。犯人は誰なのか?なぜ少女は殺害されたのか?物語が加速し緊張感が最高潮に達するラスト、待ち受ける衝撃の真実とは―。
とても評価が高いドラマなので、気になっていました。
ペンシルベニア州の田舎町Easttown。主人公は、そこの女性刑事Marianne “Mare” Sheehan。

メアの家庭は複雑そのもので、13歳の時に刑事だった父がうつ状態で亡くなっている。おそらく彼女は、母親とよりも父親と仲が良いタイプの子供だったから、父親亡き後、母親と二人きりの生活は辛かっただろうなと思う。メアは、Daddy’s girlらしく、父親と同じ道(刑事)を選んだ。
しかし、夫フランクとの間に生まれた第一子ケビンは、子供の頃から不安定で、成長してからは薬物に溺れた。同じく薬物中毒のガールフレンド、キャリーとの間に若くして息子ドリューをもうけるも、精神不安定なままケビンはメア宅の屋根裏部屋で自殺した。
息子ケビンの人生と自殺という最期がメア一家に重くのしかかっている。その後、メアは夫フランクと離婚し、第二子シボーンと孫ドリュー、自分の母親ヘレンと暮らしている。
シボーンは本当に良い子で、兄が遺した甥ドリューの面倒をよく見ているし、高校生らしくバンドをやったり、ちゃんとUC Berkleyにも合格して、最終話でメア一家に見送られながらカリフォルニアへと旅立つ。
母メアは仕事で忙しいし、兄ケビンが家族に暴力を振るったり、薬物中毒になってからは家から金品を盗んだりと散々な家庭環境だったのに、よくここまでちゃんと育ってくれた。
しかも、兄ケビンの遺体を最初に発見したのは、妹シボーンであることが作中で語られた時は、本当にシボーンはずっとケビンに振り回されてきたんだなと、ケビンに対して観ているこちらがイラッとした。
母メアでも、ケビンは手に負えていなかったようだし、特に、シボーンが生まれてからも両親はずっとケビンにかかりきりだった。メアも、「ケビンは私や妹をぶっていた」とカウンセラーに話していたしね。
このEasttownでは、薬物中毒や若いカップルの間に生まれた子供が当たり前のように登場する。
第一話では、メアの同級生が薬物中毒の兄弟に家から物を盗まれたとメアに通報してくる。メア自身の息子ケビンとそのガールフレンド、キャリーも薬物中毒で、キャリーは施設に出たり入ったりを繰り返しているから、ドリューは祖母であるメアと曽祖母ヘレン(メアの母親)、叔母シボーンと一緒に暮らしている。作中での会話から察するに、4歳のドリューは生まれてからずっとメアの家で暮らしているようだ。
ケビンの死後、メアと離婚したフランクは、お買い得だったからとメア宅の裏の家を購入して、婚約者フェイ(作中で結婚式を挙げる)と住んでいる。
本当に、これでもかというぐらいに、登場人物たちの関係性を複雑にしていくドラマですよ。
まとめると、メア家は、4世代同居(メアの母親ヘレン→メア→メアの娘シボーン→メアの孫ドリュー)。そして、メア家の裏の家には、元夫と婚約者が住んでいる。
さて、ここまで、主人公の家庭について書いた上で、このドラマは刑事モノなので、事件の話もしないといけませんね。
ざっくり言うと、地元で少女連続失踪事件が起きていて、行方不明になっているのが、なんと、メアの同級生ドーンの娘ケイティ。
このように、メアの同級生、しかも、かつて同じ高校の女子バスケ部で州大会を戦った元チームメイトたちの家族が関わってくる。しかも、メアもドーンも、自分の子供が若くして子供をもうけ、その子を祖母として育てているという家庭環境は同じだ。
作中で殺害された少女エリンもまた若くして息子DJを産み、自身の父親の世話になっている。この女の子たちは皆、10代後半(エリンは17歳)だから、彼氏との子供を妊娠して、高校を中退している子たちなんだろうな。まぁ、妊娠するより前に高校を中退している可能性も全然あるけどね。彼女たちは高校を中退しても、まだ子供が幼くて働けないから、自分の親の世話になるしかない。エリンの彼氏ディランも、息子DJを自宅で預かる時は、自分の両親に世話をさせてたし。そして、彼氏(子供の父親)との仲も微妙だから、結婚して二人で協力して育児をするわけでもない。未婚の母として、自分の親を頼りながら生活していくしかない。
子供が子供を産むってこういうことなんだな。結局、祖父母が中心となって子供を育てていっている。祖父母の側からしても、この年になって、また一から子育てをするなんて、そんなの私たちの人生プランに入っていない、って感じだよな。
赤ちゃんを産んだ子供たち側は、自分たちの親は、自分たち親子を見捨てることはできない、とたかをくくってたのかな?少なくとも、Easttownの若者たちは若くして子供を産んでも、当然のように実家に住んでいるよね。育児を自分の親に手伝ってもらいながら。
地元で起きている事件を追うメアの刑事としての仕事もあるけど、さらにメアを悩ませるのが、ドリューの母キャリーが、ドリューの親権を要求してきて、育ててきた祖母と産んだ母という立場でバトルになっていることだ。今まで施設を出たり入ったりで、施設から出てきている期間しかドリューと一緒に暮らせないキャリーの今回のインターバルがどれだけ長続きするかもわからないのに、ドリューを簡単には渡せないよね。
生みの親であるという血縁関係の強さを根拠に親権を主張するよりも、今までドリューの養育にどれだけ携わってきたか、これから、ドリューに安全な環境を用意できるか、メンタルが安定した大人であるかを証明できてからにすべきだと思う。作中だとキャリーはリハビリ施設から出てきて数ヶ月ぐらいしか経ってなさそうだし。
というわけで、ドリューの母キャリーには終始イライラしました。メア一家がいなければ、息子ドリューは養護施設に送られていてもおかしくなかった。メア一家がいるおかげで、ドリューは肉親に愛されて育っている。キャリーはこのことに気づいているのかな?
田舎特有の人間関係もそうだけど、家族の関係性についても考えさせられるドラマでした。
