【なっとく(Ti-Fe)型の親の子育て】親子の「わからない」を心理機能で翻訳する
親だからといって、すべての子どもの気持ちが自然にわかるわけではないと思います。
もちろん愛しているし、大切に思っている。
それでも、
「この子だけ、なぜか理解しにくい」
「ちゃんと話を聞いているのに、噛み合わない」
「きょうだいの中でも、この子には妙にイライラしてしまう」
そんなことはあるのではないでしょうか。
それは愛情の問題ではなく、親と子で「物事を判断するときのスタート地点」が違うからかもしれません。
このシリーズでは、そんな親子の「わからない」を、MBTIの心理機能を使って少しだけ翻訳してみます。
今回は、Ti-Feを使う親について考えます。
※実際の親子関係には、年齢、発達、環境、経験など、さまざまな要因があります。ここではあくまで、心理機能という一つの視点から考えてみます。
まずは、4つの「考え方タイプ」について
Ti-Fe、Fe-Ti、Te-Fi、Fi-Te。
心理機能に慣れている人にはわかりやすいのですが、ずっと記号で書いていると少し読みづらい。
そこで、このシリーズでは4つの判断機能の組み合わせに、私なりの名前をつけてみました。
Ti-Fe=「なっとく型」
INTP・ISTP・ENTP・ESTP
Ti(内向的思考)がまず、「なぜ?」「どういう仕組み?」と、自分の中で筋が通るところまで考える。そこからFe(外向的感情)を使って、「じゃあ、人との関係ではどうだろう?」と考えていきます。
まず自分の中で「なるほど、そういうことか」と理解できることを大切にしやすいため、このシリーズでは「なっとく型」と呼ぶことにします。
Fe-Ti=「なかよし型」
ENFJ・ESFJ・INFJ・ISFJ
Fe(外向的感情)で、「みんなはどう感じている?」「人との関係はどうなっている?」を見るところから始まり、そこからTi(内向的思考)で、「じゃあ、自分はどう考える?」と整理していきます。
人とのつながりや、その場にいる人たちが気持ちよく過ごせることを大切にしやすいため、「なかよし型」と呼びます。
Te-Fi=「かいけつ型」
ENTJ・ESTJ・INTJ・ISTJ
Te(外向的思考)で、「じゃあ、どうする?」「どうすればうまくいく?」と、現実を動かす方法を考える。その奥にはFi(内向的感情)による、「自分は何を大切にしたいのか」という価値観があります。
まず現実的な方法を見つけ、物事を前へ進めようとしやすいため、「かいけつ型」と呼びます。
Fi-Te=「きもち型」
INFP・ISFP・ENFP・ESFP
Fi(内向的感情)で、「私はどう感じる?」「私はどうしたい?」から考え始めます。
そこからTe(外向的思考)を使って、「じゃあ、それを現実にするにはどうする?」と外の世界へつなげていきます。
まず本人の気持ちや価値観が判断のスタート地点になりやすいため、「きもち型」と呼びます。
つまり、とてもざっくり言えば、
なっとく型:「どうして?」から考える
なかよし型:「みんなは?」から考える
かいけつ型:「どうする?」から考える
きもち型:「私は?」から考える
という違いです。
どれが正しい、優れているという話ではありません。物事を考え始める場所が違うだけです。
今回はこの4つの名前を使って、「なっとく型」の親から、それぞれの子どもがどう見えるのかを考えてみます。

「なっとく型」の親の特徴
なっとく型(Ti-Fe):INTP・ISTP・ENTP・ESTP
なっとく型の親は、子どもに何か問題が起きたとき、
「何があったの?」
「どうしてそうしたの?」
「あなたはどう考えたの?」
と、まずその子なりの理由を理解しようとします。
そのうえで、
「相手はどう思ったと思う?」
「じゃあ、どうすればよかったかな?」
と、人との関係へ視点を広げていきます。
つまり、「本人なりの理屈を理解する」→「人との関係を考える」という順番で、子どもを理解しようとしやすい親です。
(1)強み――子どもなりの「理由」を考えられる
なっとく型の親の大きな強みは、子どもの行動をすぐに「良い・悪い」で判断せず、その子なりの理由を理解しようとしやすいことです。
一見理解できない行動でも、「この子の中では、どういう理屈になっているんだろう?」と考えられる。
さらにFeによって、「本人には本人の理由がある。でも、相手にはどう見えたのだろう?」と、人との関係にも目を向けられます。
そのため、自分で考えることと、人と一緒に生きること。その両方を子どもに教えやすい親とも言えそうです。
(2)弱み――「理由がわかれば理解できる」と考えやすい
一方で、この強みはそのまま弱みにもなります。
なっとく型の親は、「理由がわかれば、その子を理解できる」と考えやすい。
そのため、子どもが感情だけを訴えていると、
「それはわかったけど、どうして?」と理由を探したくなります。
また問題が起こると、「まず状況を整理しよう」と考えやすいため、
子どもがすでに解決を求めている場面でも、分析や話し合いを続けてしまうことがあります。
(3)こんな言葉を使いやすい
なっとく型の親が自然に使いやすいのは、
「どうして?」
「何があったの?」
「あなたはどう考えたの?」
「相手はどう思ったと思う?」
「じゃあ、どうすればよかったと思う?」
といった言葉です。
これで非常によく話が通じる子もいます。
一方で、この問いかけがあまり響かない子もいます。
① なっとく型の親 × なっとく型の子
なっとく型(Ti-Fe):INTP・ISTP・ENTP・ESTP
同じなっとく型の子は、「自分の中で筋が通っているか」を考え、それを人との関係へつなげていくという、親とよく似た判断の仕方をします。
(1)理解しやすいこと――考える道筋が似ている
たとえば友達とケンカしたとき。
親「どうして怒ったの?」
子「○○って言われたから。私はこういう意味だと思った」
親「向こうはどういうつもりだったと思う?」
子「たぶん冗談。でも私は嫌だった」
というように、
出来事 → 自分の解釈 → 相手の立場
を一緒に整理できます。
また、
「なんでゲームは9時までなの?」と聞かれても、「決まりだから」
ではなく、そのルールが必要な理由を説明して話し合えます。
同じ意見だから理解しやすいのではなく、答えにたどり着くまでの道筋が似ている。
ここが大きいのだと思います。
(2)すれ違いやすいこと――親子で分析しすぎる
一方で、同じタイプだからこその弱点もあります。
子どもが傷ついているときにも、
親「何が嫌だったの?」
子「自分でもよくわからない」
親「じゃあ、一緒に整理してみよう」
と、親子そろって感情を分析する方向へ進みやすい。
でも本当は、「今日はもう考えたくない」「ただ悲しい」
という時間が必要なこともあります。
また、お互いに自分なりの理屈を持つため、「どちらの考えのほうが筋が通っているか」という議論が延々と続くこともありそうです。
(3)対応のポイント――理解しなくても、受け止めていい
「理解すること」と「受け止めること」を分ける。
理由がまだわからなくても、「今日は嫌だったんだね」で終えていい場面があります。
また議論が長くなったときには、「どちらの理屈が正しいか」ではなく、「じゃあ、この問題を親子としてどうするか」へ戻ることも大切です。
②なっとく型の親 × なかよし型の子
なかよし型(Fe-Ti):ENFJ・ESFJ・INFJ・ISFJ
なかよし型の子は、
まず人の気持ちや関係性を見て、そこから自分なりに考えを整理する
タイプです。
親と同じTiとFeを使っていますが、順番が逆になります。
(1)理解しやすいこと――見ている材料は共有できる
「○○ちゃん、悲しそうだった」
「クラスのみんなが嫌がってる」
「これを言ったら空気が悪くなりそう」
といった人間関係の話は、Feを持つ親にも理解できます。
さらに子どもが、
「でも、本当に私が悪かったのかな?」と考え始めれば、
「じゃあ、あなたはどう考える?」と一緒に整理できます。
何を判断材料にしているのかは、比較的わかりやすい親子です。
(2)すれ違いやすいこと――「あなた自身は?」と言いたくなる
違うのは、何を先に見るかです。
親「あなた自身はどう考えたの?」
子「○○ちゃんが悲しそうだったから……」
親「それは○○ちゃんの話でしょ。あなたは?」
子「だから、○○ちゃんが悲しそうだったから嫌だったの!」
なっとく型の親からすると、「周囲に影響されすぎている」ように見えることがあります。
しかし、なかよし型の子にとっては、人との関係そのものが重要な判断材料です。
自分で考えていないのではなく、考え始める場所が「人との関係」なのです。
(3)対応のポイント――「人との関係」から入る順番を尊重する
いきなり、「周りはいいから、あなたはどう考えるの?」と切り離さない。
まず、「みんなが嫌そうだったから、あなたも気になったんだね」と、その子が見ている人間関係を受け取ります。
そのうえで、「じゃあ、あなた自身はどうしたい?」と考えていく。
「みんなは?」→「私はどう考える?」
という、その子の順番を尊重すると話が通りやすくなります。
③なっとく型の親 × かいけつ型の子
かいけつ型(Te-Fi):ENTJ・ESTJ・INTJ・ISTJ
かいけつ型の子は、
「どうすれば現実がうまくいくか」を考え、その奥に自分なりの価値観を持っている
タイプです。
なっとく型の親とは判断機能そのものが異なります。
ただしTiとTeはどちらも思考機能なので、一見すると話が通じやすいこともあります。
(1)理解しやすいこと――一緒に問題について考えられる
かいけつ型の子は、問題が起きると、
「じゃあどうする?」「何を変えればいい?」
と考えます。
たとえば、
「宿題を忘れるなら、玄関にチェック表を置こう」
「○○ちゃんと揉めるなら、明日は少し距離を置く」
など、具体的な方法を考える。
なっとく型の親も、その方法が妥当かどうかを論理的に検討できるので、「それならいけそうだね」と話を進められます。
(2)すれ違いやすいこと――「なぜ?」と「どうする?」が噛み合わない
ただし、親と子では「考える目的」が違います。
なっとく型の親は、「そもそも、なぜこうなった?」を理解したい。
かいけつ型の子は、「で、どうすればいい?」を知りたい。
親「まず何があったのか整理しよう」
子「もういいから、明日どうしたらいい?」
親「それを考えるために聞いてるんだけど」
ということが起こります。
親からすると、「ちゃんと考えずに結論を急いでいる」ように見えるかもしれません。
しかし子ども側では、必要な情報はもうそろっているから、次へ進もうとしているだけかもしれません。
(3)対応のポイント――まず「どうしたい?」から始める
まず、
「あなたはどうしたい?」「じゃあ、それをするには何が必要?」
と、かいけつ型の得意なところから入ります。
そのうえで必要なところだけ、
「それを決めるために、ここだけ教えて」と情報を整理する。
親自身が完全に納得するために必要な情報を、すべて子どもに説明させる必要はありません。
「なぜ?」から考える親と、「どうする?」から考える子。
その違いを知っておくだけでも、会話はかなり変わります。
④なっとく型の親 × きもち型の子
きもち型(Fi-Te):INFP・ISFP・ENFP・ESFP
きもち型の子は、
「私はどう感じる?」「私はどうしたい?」から考え始め、それを現実へつなげていく
タイプです。
なっとく型の親とは、判断のスタート地点がかなり違います。
(1)理解しやすいこと――価値観が見えれば、意外とわかりやすい
その子が自分の価値観を言葉にできるようになると、
「私はこれが好き」
「これは嫌」
「こうしたい」
と、かなり明確に意思を示します。
なっとく型の親も、
「自分とは違うけど、この子の中では一貫しているんだな」
とわかれば、意外と尊重しやすい。
「本人の中で筋が通っているなら、それはそれで理解できる」
という部分では、相性がいいこともあります。
(2)すれ違いやすいこと――「嫌だから」が理解できない
問題は、その感情や価値判断がまだ言葉になっていないときです。
親「なんで行きたくないの?」
子「嫌だから」
親「何が嫌なの?」
子「わかんない。嫌なの」
親「理由がわからないと対応できないよ」
子「もういい!」
親は純粋に理解したい。
ところが、きもち型の子にとっては、
「私は嫌だ」という感覚そのものが、すでに重要な情報です。
人間関係でも、
親「でも○○ちゃんも悲しかったんじゃない?」
子「でも私は嫌だった」
親「相手の気持ちも考えないと」
子「なんで私の気持ちは聞いてくれないの?」
というすれ違いが起こることがあります。
親は双方の気持ちを考えている。
子どもは、自分の気持ちを後回しにされたように感じている。
(3)対応のポイント――感情に、すぐ理由を求めない
まず、「嫌なんだね」と、その感情を一度そのまま置きます。
そのあとで、
「理由は自分でもわかる?」
「話せそうなら教えて」と聞く。
ポイントは、理由を説明できるまで、その感情を保留にしないことです。
もちろん、「嫌だ」という感情を認めることと、要求をすべて通すことは別です。
「嫌なのはわかった。でも今日は行く必要がある」という結論でも構いません。
また、人間関係について考えるときも、
「あなたは嫌だったんだね。それとは別に、○○ちゃんはどうだったと思う?」
と、本人の気持ちと相手の気持ちを別々に存在させる。
「私は?」から始まるその子の判断を消さずに、そのあとで「相手は?」を足していくことがポイントです。
「わからない」の中身を、少しだけ翻訳してみる
こうして並べてみると、なっとく型の親にとっての「わからない」にも、それぞれ違う理由がありそうです。

同じ出来事を前にしても、
なっとく型は「なぜ?」から考える。
なかよし型は「みんなは?」から考える。
かいけつ型は「どうする?」から考える。
きもち型は「私は?」から考える。
だから、「この子とは相性が悪い」と一括りにするより、
「この子は、どこから考え始めているんだろう?」と考えてみる。
そして同時に、
「私は、どこから考えることをこの子に求めているんだろう?」
と、自分の側も見てみる。
子どもに対して感じる「なんで?」の中には、子どもの心理機能だけではなく、親自身が自然に使っている心理機能も現れているのかもしれません。
心理機能は、子どもを分類して「育てやすい・育てにくい」を決めるためではなく、
親からは見えにくい、子どもの考え方を翻訳するために使う。
「この子、どうしてこうなんだろう」が、
「ああ、この子はここから考えていたのか」
に変われば、それだけでも少し、親子の会話は楽になるのではないかと思います。
コメントにて、
子育てで実際に、思い当たったことがあれば教えていただけると嬉しいです。質問や相談などありましたらお気軽にどうぞ。
