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Organization論 #3

Functionという考えかた

前回、ボクは最後にこんな問いを立てた。
Organizationはどう動くのか

Organization(組織)が動くためには、各々のJobを担う人が(その責務を果たすために)組織の中で実際に機能していなければならない。

それを「Function」と呼ぼうと思う。


例えば、GeneralのJobの人であれば「情報を集める→分析する→選択肢を作る→戦略を設計する」という一連の働きが成立し、Helmsmanの意思決定の精度を高めていて初めて「Functionしている」と言える。が、単にHelmsmanから指示されたことを資料化しているだけであれば、それは「Functionしている」とは言えない。

それはExecutionも同様で「戦略を理解する→Operationの制約を把握する→翻訳する→実装する→Feedbackを拾う→Generalに戻す
という一連の働きが成立して初めて「Functionしている」と言うことができるのだ。

循環と展開

ボクは、Organizationには二つの異なる動きがあると考えている。
それが「循環」と「展開」だ。

循環 = 価値を生み、Organizationを存続させる運動
展開 = Knowledgeを生み、つなぎ、広げる運動

1. 循環(Jobが担う)

各JobがそれぞれFunctionしていくと、最終的にOperationが価値を生む。そして営利企業はその価値を販売し、その対価として「Cash(お金)」を得る

Cashが増えると選択肢が拡がるだろう。ということは、Operationが生んだ価値(Cash)はHelmsmanのFunctionである舵取りに影響を与えるのだ。

つまり、各Functionが正しく機能すれば、Helmsman(舵取り)→General(戦略の策定)→Execution(翻訳と実装)→Operation(価値の創造:Cashの創出)、から→Helmsman(新しい方向への舵取り)と戻ってくる。これが循環だ。

だから、4つのJobは上下関係を表しているのではなく「Organizationを循環させるために必要な異なるFunction(責務を果たすための機能)」と考えるべきだ。

2. 展開(Behaviorが担う)

「循環」にはある程度決まった経路があるが「展開」に経路はない

例えば、Aさんが作業を繰り返している中で「このやり方のほうが速いぞ」という新しいKnowledgeを発見したとしよう。きっとそんな発見をするAさんのBehaviorは「Innovator」だ。だけど、往々にしてInnovatorはそういったKnowledgeを自分だけのものにしたがるものだ。

そこに「Niquist」のBehaviorのBさんが現れる。
Niquistはつなぐことが得意だ。彼はなにげない会話と鋭い観察眼によって、AさんのKnowledgeを(Aさんの気分を害さないように)「これCさんのところでも活用できそうだよね?」「あ、あとDさんもこの会話に入れとこう」と言って接続する。Bさん自身にはなんのメリットもないのにだ。

CさんはOperationのJobを担う「Traditionalist」だ。
再現可能なKnowledgeであれば、ACKを返して受け継いでいき、これまでよりも高い価値を生み出していく。しかし場合によってはNAK(例えば「このKnowledgeではスケールできない」など)を返すかもしれない。

ー ここで「展開」が「循環」に接続する ―

そのNAKは、GeneralのJobを担うDさんに戻され、スケールできるような形に練り直されて、Executionを経由して翻訳され、再びOperationに伝達される。

そんな風に「展開」は筋書きなく拡がっていき(各Jobが正しくFunctionしている限り)概ねポジティブな結果を生むわけだ。

組織は循環と展開でCashを生む

それが、Organization(組織)の動きだ。
組織はそうやって循環し展開し、価値を高め、Cashを生むのだ。

そう考えると「循環はある程度設計できる」と言える。
各Jobに人員を配置し、FormatとProtocolを設計すればいい。そして、各JobがFunctionしているかどうかも、ある程度評価することができるだろう。

だけど「展開は設計できない」。
人と人とのつながりは偶発的なものであり、且つ無数の見えない張力によって結ばれている。それによってOrganization全体の形は常に変化していく。

そういったUncontrolableな環境下で、Organizationがより良い方向に展開していくために重要となるのは「Autonomy(自律性)」と「Mastery(熟達)」だろう。

仕事を「やらされる」のではなく、自ら選び、自ら決めること。そして、自らの能力や技術を磨き続けること。それが内発的な動機によって行われる環境を用意しなければならない。

T君のお話に戻ろう。
ボクの見立てでは、T君はJobとしては「Execution」であり、Behaviorは「Niquist」だ。

Organizationは循環によってCashを生み、Cashの大きさと連動してOperationの人数が増えていく。しかし、Organizationが大きくなると、Knowledge共有のためのFormatやProtocolがフィットしなくなるので、Behaviorにばらつきが生じ、Organizationとしての再現性が低下する。

多くの経営者はそれを嫌がる。
なぜなら、経営者はCashが増えればポジティブな舵取りがしやすくなり、Cashが減るとネガティブな舵取りをせざるを得なくなるからだ。だから、経営者がOrganizationの再現性を維持(もしくは維持以上に)したいなら、定期的に「循環」と「展開」を点検すべきだ。

「循環」を立て直したいなら、まずはFormatとProtocolを整備し直すことだ。それはGeneralのFunctionだが、その会話にT君も加えるといい。設計はGeneralが得意だが、Protocolを隅々まで知っているのはExecutionなのだ。

そして、T君にはもう一つ仕事を担ってもらいたい。
それは「展開」を立て直すことだ。
先ほど書いた通り、展開は設計できない。だけど、横方向のコネクトなくしてOperationの「Mastery(熟達)」が進まない

そのために経営者は、T君が「Autonomy(自律性)」を発揮できる環境を作ってあげてほしい。その判断基準は「T君が毎日いきいきと働いているかどうか」だ。決してKPIなどで縛ってはいけない。

Cultureは作ることができるのか

では、こうした「展開」が長期間繰り返されると、Organizationに属する人たちのBehaviorはどうなるのだろう。

Innovatorが試したKnowledgeをNiquistがつなぎ、Traditionalistが受け継ぐ。それを見た別の人が、また同じようなBehavior(Knowledgeに対する行動特性)を取る。そう考えていくと、組織の人々のBehaviorには、少しずつある種の「偏り」が生まれてくるように思う。

その偏りこそが、ボクたちが普段「企業文化(Culture)」と呼んでいるものなのではないだろうか。


↓ #4へ続く

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