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【読書記録 -166】ZERO to ONE

競争は資本主義の対極にある

企業が成長するためには、競争に勝たなければならない。

競合よりも良い商品を作り、競合よりも安く提供し、競合よりも多くの顧客を獲得する。ボクたちは、それが資本主義における企業の姿だと考えがちだ。

しかし、本書『ZERO to ONE』の著者 ピーター・ティールは、まったく逆のことを言う。

― 競争は資本主義の対極にある ー

本書は、競争に勝つ方法を説いた本ではない。
競争そのものから抜け出し、まだ誰も知らない「真実」を見つけるための本なのだ。

著者のピーター・ティールは、起業家であり投資家だ。PayPalを共同創業してCEOを務め、その後Palantir Technologiesを共同創業。Facebookへの最初の外部投資家としても知られ、ベンチャーキャピタル Founders Fundのパートナーを務めている。

さて、すでに存在するものを複製し、広げていくのが「1→n」の水平的な進歩。一方、これまで存在しなかったものを生み出すのが「0→1」の垂直的な進歩だ。

ティールは、この垂直的な進歩のことを「テクノロジー」と表現する。

ただし、ティールの言う「テクノロジー」とは(コンピューターに限らず)「ものごとへの新しい取り組み方、より良い方法のすべて」を指している。

競争はイデオロギー

競争が激しい市場では、企業は競合他社を意識する。

他社より少し安くする。
他社より少し便利にする。
他社より少し品質を高くする。

しかし、それでは競合との些細な違いを作っているだけだ。

ティールは、起業家は自分たちの競争範囲を甘く見積もる傾向があると指摘する。自社だけの市場を定義し「自分たちは他社とは違う」と考えたがるのだ。

競争は一種のイデオロギー(主義・思想)だ。
競争に夢中になると、そこに本当は存在しないチャンスがあるかのような妄想を抱き、競争すること自体が目的になってしまう。そして、完全競争に近づくほど企業の利益は失われていく。

完全競争とは、経済学上の理想的な市場の形です。多数の売り手と買い手が自由に取引し、誰も価格を自分の都合で変えられない状態を指します。

だからティールは、競争に勝つことではなく、競争から抜け出して「独占」することを目指せという。

10倍の差を作り、小さな市場を支配する

独占企業には大きく以下の4つの特徴がある。

① プロプライエタリ・テクノロジー

プロプライエタリ・テクノロジー(独自技術)とは、他社が簡単に模倣することのできない、その企業独自の技術や仕組みのことです。

② ネットワーク効果

ネットワーク効果とは、ある製品やサービスの利用者が増えるほど、その製品やサービス自体の価値や利便性が高まる現象のことです。

③ 規模の経済

規模の経済(スケールメリット)とは、事業や生産の規模が大きくなるほど、製品1つあたりにかかるコスト(平均費用)が下がり、利益を出しやすくなる仕組みのことです。

④ ブランド

ブランドとは、商品やサービス、または企業に対して、顧客が心の中に抱く信頼感やイメージの総和のことです。単なる名前やロゴマークといった目に見える目印だけでなく、「この会社なら安心だ」「持っていると誇らしい」といった、体験や感情のつながり全体を指します。

①プロプライエタリ・テクノロジー(独自技術)によって本当の競争優位を作ろうとするなら、既存のものより少し良い程度では足りない

ティールは「10倍の改善が必要」だと説く。
それだけの違いがあれば、競合との比較そのものから抜け出すことができるからだ。

そして、②ネットワーク効果を狙う企業は、いきなり大きな市場を狙ってはいけない。まず小さな市場から始めるべきだ。大きな市場には多くの競争相手が存在するが、小さな市場なら支配しやすいからだ。

まず小さな市場を独占し、そこから徐々に隣接する市場へと広げていくことが重要だ。競争相手の多い場所へ飛び込むのではなく、競争しなくていい場所を作るのだ。

③と④は、①②のハードルを越えた先にあるんだろう。
まずは独自の価値を作り、小さな市場でネットワークを形成する。その先に「規模の経済」や「ブランド」が生まれてくるのだ。

まだ誰も知らない「真実」を探す

では、そんな「競争をしなくていい場所」をどうやって見つければいいのだろう。

ティールは、世の中にはまだ誰にも発見されていない「真実」が存在すると言う。現代では、そうした真実を探そうとする人が少なくなっただけなのだ。

本書は「漸進主義(急激な方法を避け、一歩一歩少しずつ物事や社会の改革を進めようとする考え方)」「リスク回避」「現状への満足」「フラット化」という4つを、その理由として挙げている。

少しずつ改善することに慣れ、失敗を恐れ、今の世界に満足し、「世界中の誰かがすでに発見しているだろう」と考える。

大事なのは「探求すること」だ。

自然がまだ語っていない真実
人がまだ語っていない真実

まだ知られていない「真実」があると信じ、それを探し続けた人だけがゼロからイチを生み出すことができるのだ。

そう、テクノロジー ―ものごとへの新しい取り組み方― を。

参考リンク

Founders Fund:公式ページ

Amazon『ZERO to ONE』

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