この本には値段が付きません
ボクは不定期に「逆積読」を売るためにブックオフに行く。
先日も、コストコバッグに30冊くらい詰め込んで、最寄りのブックオフに立ち寄った。
買取の応対をしてくれたのは40代くらいの男性店員だったが、その奥には「アルバイト」のネームプレートを付けた子たちが何人か働いている。このあたりのコンビニは外国人のアルバイトが多いが、ここのブックオフは全員日本人のようだ。
「結構アルバイト先として人気なんだなあ…」などと思いながら受付を済ませる。そこからは店内をうろついて、(買おうと決めた本の)7冊目を小脇に抱えたところで呼び出しがかかった。
応対してくれたアルバイト君は、茶髪で背が高かったが、オドオドした様子で「4冊ほど値段が付かなかったんですけど、お持ち帰りになりますか?」と聞こえないくらいの小さな声で言った。
見ると、4冊とも新品同然の本だ。
っていうか、ボクは本に付箋は貼るけれど、書き込みやドッグイヤーはしない人で、ちょっと神経質なくらい丁寧に本を扱うので、なんで値段が付かなかったのか疑問に思った。
聞いてみると、アルバイト君は「いや、理由は… わかりません…」「ボクが値付けしてないので…」との回答。まあ、新品同様(実は2冊はダブって買った本だったので本当に新品)だから、ちょっともったいないなと思って持ち帰ることにした。
さて、今ボクの手元にその4冊がある。
これはなんで値段が付かなかったんだろう。その理由が知りたい。
だが、ブックオフに問い合わせたからと言って教えてくれるはずもないだろう。となると、自分で推察するしかない。
古本の買取はブックオフにとって「仕入れ」だ。
当然、売価よりも低くなければならない。
そして、仕入れた商品は売れるまで棚卸資産として計上される。
在庫は原則店舗の棚に保管されるだろう。パッと見た感じ、大きなバックヤードがある感じはしない。しかし、確か横浜あたりでブックオフの倉庫を見かけたことがある。そこでは大量の古書をフォークリフトで運んでいたように思う。
そう考えると、回転の速い本は店頭に置き、ロングテールの本は倉庫に持っていく、というような振り分けをしているのかもしれない。すぐ売れる本なら高めの買取価格を提示しても、それ以上の価格で売れれば素早くキャッシュを回収できる。
一方で、期末まで売れなかった本は棚卸資産として貸借対照表に残ることになるが、そこで「0円」で買い取ったことが効いてくる。キャッシュが棚卸資産に固定されるということが起きないからだ。
しかも本の倉庫の占有面積なんてしれたものだ。
店舗間の輸送費も(まとめて送るのであれば)一冊当たりに割り込めばさほど大きな金額にはならない。ロングテールの本がたまたま売れたら、倉庫⇔店舗の定期便に載せて、店舗に届いたタイミングで注文主に知らせればいいのだ。
あ、もうひとつ…
大量持ち込みする人は優良顧客なのかもしれない。
何十冊も持参するとその労力がコストになる。せっかく持ってきた本を、また持って帰るのも面倒だ。まあ、そんな心理が働くだろう。だから、多少思ってなかったような値付けをされたとしても(あくまでも「だったとしても」だからね)、売ることを選ぶだろうと思う。
そして(ボクもそうだが)大量に本を持ち込む人は、間違いなく「売れそうにない本」を持っている。だから、持ち込んだ本の中に数冊「値段が付かなかったんですが、お持ち帰りになりますか?」の本が混じっているはずだ。そして、概ね「あ、じゃあ(0円で)引き取ってください」の回答になるだろう。
そうすると、仕入れ価格「0円」で、さほど在庫コストのかからない商品が、仕入れ資金を棚卸資産として固定することなく、キャッシュに換わる日を待つことになる。
これは、古本を売るビジネスというより、キャッシュを膨らませていくビジネスなのかもしれないな。
