ETFとは?初心者にもわかりやすく、仕組み・メリット・リスク・選び方を解説
以前の記事「株だけじゃない!投資にはこんなに種類がある」では、株式以外にもさまざまな投資商品があることを紹介しました。
今回は、その中の一つである**ETF(上場投資信託)**について、詳しく解説します。
ETFとは、証券取引所に上場している投資信託です。
日本では1995年にETFの上場が始まり、2025年で30周年を迎えました。2025年末時点では、東証に上場するETFは約400銘柄に達しました。また、2025年には東証上場ETFの純資産残高が100兆円を突破しました。
株式と同じように市場でリアルタイムに売買できる一方、1つの商品で複数の銘柄や資産に投資できるため、分散投資にも活用できます。
この記事では、ETFの基本的な仕組みから、種類、価格の決まり方、コスト、リスク、選び方まで、初心者にもわかりやすく解説します。
ETFとは?
ETFは「Exchange Traded Fund」の略で、日本語では「上場投資信託」といいます。
* Exchange → 取引所
* Traded → 取引される
* Fund → 投資信託
つまり、「取引所で取引される投資信託」という意味です。
ETFは、株価指数などの値動きに連動することを目指して運用される商品が多くあります。
また、ETFにはインデックス型だけでなく、運用会社が独自の判断で銘柄を選ぶアクティブ型もあります。
株式だけでなく、債券、REIT、金などのコモディティなど、さまざまな資産を対象としたETFがあります。
ETFの3つの特徴
① さまざまな資産に投資できる
ETFには、日本株、外国株、債券、REIT、金など、さまざまな資産を対象とした商品があります。
また、業種別、高配当、テーマ型、PBR1倍以下の銘柄を集めたものなど、投資対象や運用方針もさまざまです。
② 分散投資ができる
1つのETFで複数の銘柄に投資できるため、個別株に比べて分散投資がしやすいという特徴があります。
例えば、S&P500に連動するETFなら、S&P500を構成する500社の株式を組み入れ、銘柄数や組入比率をS&P500に合わせることで、指数への連動を目指します。
このように、ETFを1つ購入するだけで、複数の企業にまとめて投資できます。
③ 少額から投資でき、コストも比較的低い
ETFは数千円〜数万円程度から購入できるものもあり、少額から始められます。
また、運用コストが比較的低い商品も多く、長期投資にも利用されています。
以下は、インデックス型とアクティブ型のETFにおける信託報酬の一例です。

このように、ETFは比較的低コストで運用できる商品が多い一方、信託報酬などのコストは商品によって異なります。
そのため、ETFを選ぶ際には、信託報酬だけでなく、その他の費用も含めて確認することが大切です。
NISAでETFに投資できる
ETFには、NISAの対象となっている商品があります。
NISAの仕組みや非課税になる条件については、こちらの記事で詳しく解説しています。
NISAでは、対象商品をNISA口座で購入すると、一定の投資枠の範囲内で売却益や分配金が非課税になるメリットがあります。
ただし、すべてのETFがNISAの対象になるわけではありません。購入する前に、NISAの対象商品かどうかを確認しましょう。
個別株・ETF・投資信託の違い

※個別株には信託報酬はありません。個別株・ETF・投資信託では、商品や証券会社によって購入・売却時の手数料などがかかる場合があります。
※個別株、ETF、投資信託のすべての商品がNISAの対象になるわけではありません。NISAで購入できる商品には一定の条件があります。
まとめると、
* 個別株 → 自分で企業を選んで投資
* ETF → 株のように売買できる投資信託
* 投資信託 → 少額・積立で始めやすい投資商品
という違いがあります。
ETFの仕組み
ETFは、運用会社(管理会社)が投資対象や運用方針を決め、ETFを組成・運用します。
ETFは証券取引所に上場しているため、一般の投資家は株式と同じように市場で売買できます。
ETFの組成では、証券会社などの**「指定参加者」**が、株式などの現物資産や金銭を拠出してETFの設定を行います。また、一定の条件のもとで、ETFと株式などを交換することもあります。
簡単にいうと、
運用会社がETFを組成する
↓
ETFを証券取引所に上場する
↓
投資家が株式と同じように売買する
という仕組みです。
ETFの2つの市場
ETFには、大きく分けて「流通市場」と「発行市場」があります。
流通市場
一般の投資家が、証券取引所でETFを売買する市場です。
株式と同じように、取引時間中はリアルタイムで売買できます。
発行市場
指定参加者と呼ばれる証券会社などが、ETFの設定・交換を行う市場です。
指定参加者が株式などの現物資産や金銭を拠出してETFの設定を行ったり、ETFと株式などを交換したりします。
こうした仕組みが、ETFの流動性や市場価格の形成を支えています。
流通市場=一般投資家がETFを売買する市場
発行市場=指定参加者がETFの設定・交換を行う市場
ETFにはどんな種類がある?
ETFには、運用方法や組成方法、投資対象などによって、さまざまなタイプがあります。
インデックス型
TOPIXやS&P500など、特定の指数に連動することを目指すタイプです。
アクティブ型
運用会社が銘柄を選択し、特定の指数を上回る運用成果などを目指すタイプです。
日本では2023年9月7日からアクティブETFの売買が始まりました。国内初のアクティブETFとして、2080、2081、2082、2083、2084、2085の6銘柄が上場しました。
代表的な銘柄には、PBR1倍割れ解消推進ETF(2080)やNEXT FUNDS 日本成長株アクティブ上場投信(2083)などがあります。
その他のタイプ
ETFには、組成方法や仕組みによって、以下のようなタイプもあります。
* ファンド・オブ・ファンズ(FOFs)型
* リンク債型
* デリバティブ型
* 商品現物型
商品現物型では、金などの実物資産を保有し、その価格への連動を目指す商品があります。
ETFの投資対象はさまざま
ETFは、単純な株価指数に連動するものだけではありません。
例えば、
* 国内株ETF
* 外国株ETF
* 債券ETF
* REIT ETF
* コモディティETF
* 高配当株ETF
* 業種別ETF
* テーマ型ETF
* PBR1倍以下の銘柄を集めたETF
* レバレッジ型ETF
* インバース型ETF
など、さまざまなタイプがあります。
そのため、自分の投資目的に合わせて商品を選ぶことができます。
株価指数とは?
株価指数とは、株式市場の動きを分かりやすく数値で表したものです。
代表的なものにTOPIX(東証株価指数)があります。
TOPIXを見ることで、日本の株式市場が全体として上昇しているのか、下落しているのかを大まかに把握できます。
代表的な指数
日本株
* TOPIX
* 日経平均株価
* JPX日経インデックス400
米国株
* S&P500
* NYダウ
* NASDAQ100
世界株
* MSCI ACWI
* MSCI World
債券
* FTSE世界国債インデックス
* Bloomberg Global Aggregate Index
REIT
* 東証REIT指数
* S&P Global REIT Index
また、金価格や原油価格など、商品価格への連動を目指すETFもあります。
株価指数には計算方法の違いがある
株価指数には、さまざまな計算方法があります。
時価総額加重平均型
企業の時価総額が大きい銘柄ほど、指数への影響が大きくなる方式です。
株価平均型
構成銘柄の株価をもとに指数を算出する方式です。
指数によって計算方法が異なるため、同じ「株価指数」でも値動きや特徴は異なります。
ETFには、通常の指数連動型とは異なる値動きを目指す商品もあります。
レバレッジ型
指数の日々の値動きの2倍など、指数より大きな値動きを目指すタイプです。
インバース型
指数とは反対方向の値動きを目指すタイプです。
例えば、指数が下落したときに利益が出ることを目指す商品があります。
ただし、これらの商品は通常のETFとは異なるリスクがあるため、仕組みを理解してから投資することが重要です。
ETFの価格はどう決まる?
ETFには「基準価額」と「市場価格」という2つの価格があります。
基準価額
ETFが保有している資産の価値から計算した、ETFの価値です。
市場価格
証券取引所で、投資家同士の売買によって決まる実際の取引価格です。
つまり、
基準価額=ETFが保有する資産から計算される価値
市場価格=市場で実際に売買されている価格
となります。
市場価格は需要と供給によって動くため、基準価額と完全に一致するとは限りません。
インディカティブNAV(iNAV)とは?
インディカティブNAV(iNAV)は、ETFが保有する資産の価値をもとに、ETFの現在の理論的な価値をリアルタイムに近い形で示すものです。
ETFの市場価格が、資産の価値から大きく離れていないかを確認する際の参考になります。
価格の乖離と裁定取引
ETFでは、市場価格と基準価額などの理論的な価値との間に、価格の乖離が生じることがあります。
この価格差が大きくなると、機関投資家やマーケットメイカーなどが裁定取引を行うことがあります。
こうした取引により、市場価格がETFの理論的な価値に近づくように働きます。
ETFの設定・交換の仕組みも、こうした価格形成を支えています。
マーケットメイカーとETFの流動性
マーケットメイカーとは、ETFの売買がスムーズに行われるよう、買い注文や売り注文を提示している業者です。
これにより、投資家が「買いたい」「売りたい」と思ったときに、取引相手が見つかりやすくなります。
流動性とは、ETFを買いたいとき・売りたいときに、どれだけスムーズに取引できるかということです。
マーケットメイカーなどの存在は、ETFの流動性を支える重要な役割を担っています。
ただし、ETFだから必ず流動性が高いわけではありません。売買が少ないETFでは、希望する価格で売買しにくい場合があります。
そのため、ETFを選ぶ際には、実際の売買状況や売買高なども確認することが大切です。
ETFの積立と分配金
ETFでも、商品や証券会社によっては積立投資が可能です。
また、株式累積投資(るいとう)などに対応している商品もあります。
定期的に一定額を購入することで、ドルコスト平均法を活用した投資もできます。
例えば、毎月1万円ずつETFを購入すると、価格が高いときには少ない口数を、価格が安いときには多くの口数を購入することになります。
ただし、積立の対応状況は商品や証券会社によって異なるため、事前に確認することが必要です。
分配金の再投資
ETFの分配金は、一般的な投資信託のように自動的に再投資される仕組みではなく、基本的には自分で再投資する必要があります。
そのため、分配金を再投資して複利運用したい場合は、自分で買い付ける必要があります。
ETFのコスト
ETFを選ぶときには、コストも重要なポイントです。
ETFには信託報酬などの保有コストがあり、商品によって異なります。
信託報酬の差
信託報酬は、ETFを保有している間にかかる運用コストです。
例えば、先ほど紹介したS&P500に連動するインデックス型ETF「iシェアーズ S&P 500 米国株 ETF(1655)」と、アクティブ型ETF「PBR1倍割れ解消推進ETF(2080)」を比較してみます。
* 1655:信託報酬 年0.066%程度
* 2080:信託報酬 年0.99%
※信託報酬等の情報は2026年8月31日時点の
情報です。
その差は、
0.99% − 0.066% = 0.924%
です。
100万円を投資し、資産額が変わらないと仮定すると、年間では、
100万円 × 0.924% = 9,240円
の差になります。
10年間では、
9,240円 × 10年 = 92,400円
となります。
実際には資産価格が変動するため単純計算にはなりませんが、コストのわずかな差でも、長期間では影響が大きくなることがあります。
ETFのコストと情報開示
ETFには信託報酬以外にも、ファンドの運用に伴ってさまざまな費用が発生する場合があります。
例えば、
* 指数ライセンス料
* 上場維持費用
* 監査費用
* 印刷費用
などがあります。
そのため、信託報酬だけではなく、その他の費用を含めた総経費率を確認することが重要です。
ETFは情報開示が充実しており、投資対象や運用状況などを確認しやすく、透明性が高いという特徴があります。
ETFを選ぶ際には、目論見書を確認することも重要です。
目論見書では、
* ファンドの目的
* 商品の特徴
* 投資リスク
* 運用方針
* 信託報酬などの費用
* 総経費率
などを確認できます。
「信託報酬が安い」という理由だけで選ぶのではなく、投資対象やリスク、コストなどをまとめて確認しましょう。
ETFの選び方とリスク
ベンチマークとは?
ETFや投資信託の運用成果を見るときには、ベンチマークとの比較も重要です。
例えば、
* Aファンド → +50%
* Bファンド → +30%
という運用成果だったとします。
一見すると、+50%のAファンドの方が優秀に見えます。
しかし、ベンチマークとなるTOPIXが+40%上昇していた場合、
* Aファンド → +50%
* TOPIX → +40%
* Bファンド → +30%
となります。
この場合、Aファンドはベンチマークを上回っていますが、Bファンドはベンチマークを下回っています。
このように、単純なリターンだけではなく、ベンチマークに対してどのような運用成果だったのかを見ることが大切です。
ETFの選び方
ETFは、自分の投資目的や考え方に合わせて選ぶことができます。
定期的な収入を得たい
→ 高配当株ETF
特定の成長分野や好きな分野に投資したい
→ テーマ型ETF・業種別ETF・TOPIX-17など
株価の下落局面で利益を狙いたい
→ インバース型ETF
運用会社の銘柄選択や運用判断に期待したい
→ アクティブETF
また、同じ高配当株ETFやテーマ型ETFでも、インデックス型とアクティブ型があるなど、運用方法は商品によって異なります。
商品を選ぶ際には、投資対象だけでなく、運用方法、値動き、コスト、リスクなども確認することが大切です。
代表的なETF
具体的なETFには、以下のようなものがあります。

ETFには非常に多くの商品があるため、銘柄コードだけで判断せず、連動する指数や投資対象、コストなどを確認しましょう。
ETFの主なリスク
ETFにも、株式や投資信託と同じように価格変動などのリスクがあります。
価格変動リスク
株価指数や金など、ETFが連動する対象の価格が下落する可能性があります。
為替変動リスク
外国資産に投資するETFでは、為替の変動によって損益が変わります。
価格の乖離リスク
ETFには、「市場価格と基準価額の乖離」と「ETFの基準価額と連動対象指数の乖離」という2つの価格差があります。
市場価格は投資家の需給によって決まるため、ETFの基準価額と完全には一致しないことがあります。
また、ETFは連動を目指す指数と完全に同じ値動きになるとは限らず、運用コストや配当、売買コストなどの影響によって、基準価額と指数の値動きに差が生じることがあります。
分配金による乖離
配当や分配金の影響によって、指数とETFの値動きに差が生じることがあります。
流動性リスク
売買が少ないETFでは、希望する価格で売買しにくい場合があります。
信用リスク
ETFの仕組みや投資対象によっては、発行体や取引相手などの信用リスクが生じる場合があります。
ETFの税金とETN
ETFの税金
ETFの売却益や分配金には、原則として税金がかかります。
日本の上場株式等にかかる税率は、所得税・復興特別所得税・住民税を合わせて20.315%です。
また、外国資産に投資するETFでは、外国で税金が差し引かれたうえで、日本でも課税される場合があります。
外国で納めた税金については、外国税額控除などによって二重課税を調整する仕組みがあります。
さらに、外国資産に投資するETFでは、為替変動による損益も投資成果に影響します。
ETNとは?
ETFと似た商品に「ETN」があります。
ETNは「Exchange Traded Note」の略で、ETFと同じように証券取引所で売買できます。
大きな違いは、ETFがファンドとして資産を保有して運用するのに対し、ETNは金融機関が発行する債券型の商品である点です。
そのため、ETNには発行体である金融機関の信用リスクがあります。
ETFとETNは名前が似ていますが、仕組みが異なるため、購入する際には違いを理解しておくことが大切です。
まとめ
ETFは、株式のようにリアルタイムで売買できる一方、1つの商品で複数の銘柄やさまざまな資産に投資できる便利な金融商品です。
日本株、外国株、債券、REIT、コモディティ、高配当株、テーマ型など、非常に多くの選択肢があります。
一方で、ETFなら何でも良いわけではありません。
投資対象・ベンチマーク・市場価格と基準価額の乖離・流動性・コスト・税金・リスク
などを確認したうえで、自分の投資目的に合った商品を選ぶことが重要です。
ETFの特徴を理解し、自分に合った商品を選ぶことで、長期的な資産形成にも活用できます。
終わりに
この記事では、初心者向けとしては少し細かいところまでETFについて解説しました。
なぜ、ここまで詳しく説明するのか。
それは、ETFの仕組みや特徴を理解したうえで、自分自身で判断する習慣を身につけてほしいからです
投資を始めたばかりの頃は、
「誰々さんがおすすめしていたから」
「今、話題になっているから」
「AIに聞いたから」
という理由で商品を選ぶこともあると思います。
それで最初はうまくいくこともあるでしょう。
しかし、相場はいつまでも同じようには動きません。
大きな下落が起きたとき、自分がなぜその商品を持っているのかを理解していなければ、不安になって慌てて売ってしまったり、逆に根拠のないまま持ち続けてしまったりすることがあります。
だからこそ、「誰かが言っているから」ではなく、「自分はこう考えるから」という理由で投資を判断できるようになることが大切だと私は考えています。
これは投資に限った話ではありません。
どんな仕事でも、どんな物事でも、自分で判断するためには、まずその対象を理解する必要があります。
最初からすべてを理解する必要はありません。
少しずつ知識を身につけ、自分で考え、選択し、決断する。
そうした経験を積み重ねることで、投資だけでなく、さまざまな場面での判断力や決断力も身についていくのではないでしょうか。
経済的に自立している人や、FIREを実現している人を見ても、自分で考え、自分で選択し、自分で決断している人が多いと私は感じています。
もちろん、他人の意見を参考にすることは悪いことではありません。
大切なのは、参考にすることと、誰かの判断をそのまま自分の判断にしてしまうことは違うということです。
この記事をきっかけに、ETFについて知識を身につけるだけでなく、「自分で理解して、自分で判断する」習慣を身につけてもらえればと思います。
それが、長く投資を続けていくうえで、とても大切なことだと私は考えています。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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