今週のお題:信号機ぶどう味 (2)


青から黄色へ、季節がほどける音がした。
アスファルトに沈む影が、急に幼さを取り戻す。

街角に吊るされた三つの灯火は
夜の淵で静かに脈動し、
やがて僕の喉の奥を伝う、あの日と同じぶどう味の記憶を呼び覚ます。

人工的な甘さが、舌の上で紫色のインクのように滲んでいく。
冷えた街灯の滴が、信号機という名の果実から零れ落ち、
僕たちの歩みを止めては、また突き放す。

赤信号の向こう側で、世界はとろりと溶け出し
誰もいない交差点が、果汁を含んだ夜に満たされていく。

待ち時間は、ただの熟成。
僕らは少しずつ甘やかされ、毒を含み、
信号が青に変わるたび、何かの諦めを噛み潰して前に進む。

空には、まだ名前のない紫色の風が吹いている。
甘い痺れを抱えたまま、僕はただ、次の点滅を待っていた。



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