借りた本——栞の位置

返却期限は今週の金曜日。あと三日か、と思いながら、本棚の端に立てたままの背表紙を見る。
読み終えていない。半分くらいまでは読んだ気がするけれど、栞を挟んだページを開いてみると、内容をほとんど覚えていない自分に気づく。もう一度最初から読み直すべきか、それとも続きから読むべきか、少し迷う。
貸してくれた人の顔を思い出す。「面白いから」とだけ言って渡してくれた。その「面白い」がどのあたりを指していたのか、まだ自分にはわかっていない。
借りた本は、自分の本棚に並べても、どこか違う顔をしている。背表紙の並び方も、紙の匂いも、自分の持っている本とは少し違う。一時的に自分の生活の中に置かれているだけなのだと、そのたびに思い出す。
返す日が近づくと、読むスピードが少しだけ上がる。焦っているわけではないけれど、期限があることで、読むという行為に輪郭がつく気がする。
読み終えたら、どんな顔で返そうか。面白かったですと言うつもりだけれど、それだけでは足りない気もする。何かもう少し、自分の言葉で伝えられたらいいのだけれど。
まだ半分残っているページを、指でそっと押さえる。
