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経営者が失敗を認める理由

経営をしていれば、判断を間違えることがある。

人事。
採用。
お金の使い方。
新しい取り組み。
組織の動かし方。

その時は正しいと思って決めたことでも、後になって、「これは違ったかもしれない」と思うことがある。

前回、「経営者が自分の判断を疑う理由」という話を書いた。
経営者は最後には自分で決めなければならない。
でも、「自分が決めたから正しい」と思い込んではいけない。

反対意見を聞く。
自分が知らない情報はないか考える。
感情で判断していないか考える。
そして、決めた後の結果を見る。
必要なら修正する。
そんなことを書いた。
でも、実際にはその先がある。

自分の判断が間違っていたと気づいた時に、「自分が間違っていた」と認められるかどうか。

これは経営者にとって、意外と難しいことだと思っている。

自分が決めたことだから。
職員に説明したから。
すでに会社として動き始めているから。
ここまで時間やお金を使ったから。

今さら変えれば、「社長の判断が間違っていた」と思われるかもしれない。

そう考えると、もう少し続けたくなる。
まだ結果が出ていないだけかもしれない。
やり方が悪かっただけかもしれない。
もう少し待てば、うまくいくかもしれない。

もちろん、本当にそういう場合もある。
だから、結果が出ないからといって、すぐに失敗と決めつける必要はない。

でも、「間違っていたと認めたくないから続ける」のは違うと思っている。

ここが難しい。

経営者の判断には、会社のお金も、人の時間も使われる。
間違った判断を続ければ、その分だけ損失が大きくなることもある。

お金だけではない。

現場が疲れる。
仕事が増える。
職員が振り回される。
本来やるべきことに時間を使えなくなる。

最初は小さな判断ミスだったものが、認めるのが遅れたことで、大きな問題になることもある。

だから、自分は思う。
経営者にとって怖いのは、失敗することだけではない。

失敗したことを認められなくなることの方が、怖いのかもしれない。
経営者も人間だから、間違える。
自分も、これまですべて正しい判断をしてきたわけではない。
良かれと思って決めたことが、思ったような結果にならなかったこともある。
「あの判断は違ったな」
と思ったこともある。

でも、そこで大切なのは、誰が悪かったのかを探すことではなく、これからどうするのかだと思っている。

間違っていたなら、止める。
やり方が悪かったなら、変える。
自分の判断が原因なら、認める。
必要なら謝る。
そして、もう一度決める。

経営者が一度決めたことを変えると、
「言っていることが変わった」
「判断がブレた」
と思われることもあるかもしれない。

でも、自分は、間違っていると分かっているのに続けることと、状況を見て判断を変えることは違うと思っている。

最初に持っていた情報と、今持っている情報が違うこともある。
会社の状況が変わることもある。
実際にやってみなければ分からなかったこともある。
それなら、その時点で改めて判断すればいい。
一度決めたことを守り続けることが、責任ではない。
会社にとって必要な判断をし続けることが、経営者の責任なのだと思う。

そして、失敗した時には、もう一つ大切なことがある。
その失敗を、そのまま終わらせないこと。
なぜ間違えたのか。
何を見落としていたのか。
どの段階なら気づけたのか。
次に同じような判断をする時、何を確認すればいいのか。

そこまで考える。
失敗した事実を消すことはできない。
でも、次の判断材料に変えることはできる。
成功した経験だけが、経営者の経験ではないと思っている。

失敗する。
認める。
考える。
修正する。
そして、次の判断を少し変える。


その積み重ねも、経営者としての経験になる。
自分は、失敗しない経営者になれるとは思っていない。
これからも判断を間違えることはあると思う。
だからこそ、間違った時に認められる自分でいたい。

必要なら止められる。
必要なら変えられる。
必要なら謝れる。
そして、また決められる。


失敗を認めることは、経営者としての弱さではないと思っている。
むしろ、自分がした判断に、最後まで責任を持つために必要なことなのかもしれない。

失敗したことは過去のこと。
でも、その失敗を認めた後に何をするかは、これからのこと。
経営者が見るべきなのは、そちらなのだと思う。

今日はここまで。
次は、「経営者が失敗を恐れすぎてはいけない理由」について書こうと思う。

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