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「技術は動いた。でも事業は動かない」実証実験が失敗する5つの理由✍️

「技術は動いた。でも事業は動かない」


実証実験の最終日。
試作機は、予定していた条件で動きました。
取得したデータにも大きな問題はなく、研究者と技術担当者は手応えを感じています。成果報告会では、関係者から前向きなコメントが並びました。
「技術的な可能性を確認できた」
「今後の展開に期待したい」
「非常に有意義な取り組みだった」
ところが、報告会が終わって数か月後。
次の予算は決まっていない。導入部門も決まっていない。誰が事業化を担当するのかも分からない。
立派な報告書だけが残り、プロジェクトは静かに止まってしまう。
科学技術を起点とした新規事業の現場では、珍しくない光景です。
技術実証には成功した。しかし、事業は一歩も前へ進んでいない。
なぜ、このようなことが起きるのでしょうか。

PoCが止まる原因は、技術力だけではない

PoCは「Proof of Concept」の略で、日本語では概念実証と呼ばれます。
新しい技術やアイデアが、本当に成立するのか。小さく試し、可能性を確かめるための取り組みです。
本来は、不確実性を減らし、次の判断をするために行います。
しかし実際には、

  • 技術が動くこと

  • 実証実験を実施すること

  • 成果報告会を開くこと

  • 報告書を完成させること

が目的になってしまうことがあります。
実証実験が始まる前に、実証後の判断が決まっていないからです。
「どの結果なら次へ進むのか」
「どの結果なら条件を変えるのか」
「誰が、いつ判断するのか」
「次の予算と担当者をどうするのか」
ここが曖昧なままでは、技術が期待通りに動いても、その結果を事業へ接続できません。

実証実験の成果は、技術が動いたことではなく、次の意思決定ができるようになったことです。

私が現場で重視してきたこと

私は株式会社リバネスで、科学技術を起点とした新規事業創出、研究開発支援、産学官連携、スタートアップ支援、地域イノベーション創出に携わってきました。
大学・研究機関の技術シーズと企業・自治体の課題を結び、共同研究や実証実験、事業連携へ落とし込む仕事です。
この仕事では、研究者、スタートアップ、製造企業、自治体、地域金融機関など、立場も評価基準も異なる人たちが一つのプロジェクトに参加します。
研究者にとっては、技術的な新規性や再現性が重要です。
企業にとっては、費用対効果、導入負担、供給体制、責任分担が重要です。
自治体にとっては、地域への波及効果、公共性、継続性が重要になります。
同じ実証実験でも、見ている「成功」が違うのです。
だからこそ、実験を始める前に、技術だけでなく事業と社会実装の判断基準まで設計する必要があります。

前回の記事から、もう一歩先へ

前回の初回記事|「正解探し」をやめると、新規事業は動き出すでは、不確実性を減らすために、仮説をつくり、最小単位で実験し、結果から次の仮説へ更新する方法を整理しました。
ただし、実験をすれば自動的に事業が進むわけではありません。
実証実験そのものが目的になると、技術は動いても事業は止まります。
この記事では、PoCを次の意思決定へつなげるために必要な5つの設計を解説します。

  1. 実証後に行う意思決定を先に決める

  2. 技術・事業・社会実装の3層でKPIを置く

  3. 成功条件だけでなく、修正・中止条件を決める

  4. 次の判断に必要な関係者を最初から入れる

  5. 実証後の担当・期限・予算まで設計する

さらに、有料部分には、会議でそのまま使える次のテンプレートを付けました。

  • 実証実験・事前設計シート

  • PoC終了後の振り返りシート

  • 90分で設計を固める会議アジェンダ

次のような方におすすめします。

  • 実証実験を行ったのに次の展開が決まらなかった

  • 技術KPIは達成したが、社内の導入判断が進まない

  • 共同研究と事業化の間にある壁を越えたい

  • 自治体・大学・企業を巻き込むプロジェクトを設計している

  • PoCを始める前に、何を決めるべきか整理したい

実証実験を「実施した実績」ではなく、次の行動を選ぶための装置へ変える。
ここから、その設計方法を具体的に見ていきます。


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