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“ありがとう”を言う家族と、言わない家族

相談室の窓から駐車場を眺めていると、
毎日いろんな「家族の言葉」に出会います。

面会の帰り際、深く頭を下げて
「本当にありがとうございます」と何度も言って帰られるご家族。

一方で、特に何も言わず、
静かに帰っていくご家族もいます。

世間一般で見れば、きっと前者は「感じのいい家族」、
後者は「冷たい家族」と思われてしまうかもしれません。

でも、この現場で働いていると、
少しだけ違う景色が見えてきます。



「ありがとう」が言える家族

「ありがとうございます」と言える人は、
きっとこれまでにたくさん悩んで、迷って、
そして“預ける”という決断に向き合ってきた人です。

その言葉の裏には、

「本当は自分で見たかった」
「でももう限界だった」
「どうかこの人をお願いします」

そんな、いくつもの感情が重なっています。

だからその「ありがとう」は、
ただの礼儀ではなくて、
“手放す覚悟”の言葉だったりします。



何も言わずに帰る家族

一方で、何も言わずに帰るご家族もいます。

職員として関わり始めた頃は、
正直、「冷たいのかな」と感じたこともありました。

でも、関わり続けていく中で気づきます。

言葉にしないだけで、
ちゃんと見ている人がいること。

無理に関わらず、
でも必要な時は必ず連絡が来ること。

そして何より、
“任せる”という選択を、ちゃんとしていること。

言葉にしない信頼も、
確かにそこにあります。



本当に見てほしいところ

「ありがとう」と言うか、言わないか。

そこに優しさの差があるわけではないと、
私は思っています。

大事なのは、

その人がどれだけ悩んで、
どれだけ向き合って、
どんな形で“手放したか”。

そこにしか、その人なりの愛はありません。



相談員として思うこと

だから私は、
言葉だけで家族を判断しないようにしています。

よく話してくれる家族も、
あまり話さない家族も、
どちらも同じようにしんどさを抱えています。

ただ、その出し方が違うだけ。

「言葉にできる人」と
「言葉にできない人」。

それだけの違いなのかもしれません。



正解なんて、なくていい

介護に関わると、
どうしても「こうあるべき」が増えていきます。

感謝すべき、とか
もっと関わるべき、とか。

でも本当は、

言ってもいいし、言わなくてもいい。
近くてもいいし、少し離れてもいい。

その人なりの距離でいい。

そうやって、自分を守りながら関わっていくことも、
ひとつの優しさなんだと思います。



(あとがき)

最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
「等身大の相談員|ゆるり」です。

ここでは、教科書には載っていない
「現場で見つけた本音」や「心が少し軽くなる考え方」を綴っています。

もし今、誰にも言えない思いを抱えているなら、
このままフォローしてもらえたら嬉しいです。

またここで、お会いしましょう。

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