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364.エッセイ∶都市風景∣神戸・三宮─Bar Grand Pa─紫煙なき夜にて─

旧友が神戸に戻って来ている。

彼希望の焼鳥を平らげ、2軒目に。

北野のMusic Barで、ビリー・ジョエルのレコード盤を聴きながら、ウィスキーをロックで飲みたい。

そんな希望をもらったが、残念ながら目当ての店は、休みだった。

さて、困った。

海外暮らしも長く、今もシドニー在住の彼は、喫煙に関しては、中々厳しい。
(世界一の煙草会社からのスカウトを真剣に考えたあの頃が、もはや嘘のようだ。)

煙草を吸わない私だが、Barでの酒と煙草はセットのイメージがある。薄暗い店内、仄かなライトに照らされる、紫煙のゆらめきは魅力の一つでもある。

とはいえ、久々の帰郷の彼への接待。紫煙のゆらめきを熱く語って、煙に巻くわけには行かない。

禁煙Bar探しでの新規開拓。

東西に走る、生田新道。
南北に走る、北野坂と東門筋。

神戸三宮は、その数百メートル四方に幾つもの飲み屋が密集している。

その店は、そんな飲み屋街に佇む旧いビルの2階にあった。

店の名前は、『Bar Grand Pa』。

【禁煙】とは名ばかりのお店も多いが、店に入った瞬間、ここは、空気感が違った。

少しシトラスの混じった爽やかな空気。会話の邪魔にならない、柔らかな指引きギターの音色が心地良い。そして、そんな静かな店内にマッチした、上品な客層も良い。

何より圧巻の壁一面のボトル。
ライトで煌めく光景は、山側から見る、神戸の夜景の様で美しい。

ANAクランウンプラザホテル
Level36(36階)の夜景に近い

そして、『モヒート』。
この頃は、良いミントが無いと断られる事が多いが、自家製ミントのモヒートは嬉しい味だった。

自家製ミントは中々貴重
暑さで枯れるケースも多い

旧友も、数多くのウィスキーラベルを見ながら、店主とのウィスキー談義で盛り上がる。

久々に、良い店を見つけたなと思う。

どうやら彼の中では、神戸の“2軒目”は、しばらくここに決まったらしい。

嬉しそうに、彼はジョニー・ウォーカーの人形の頭を優しく撫でた。

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