[5] 2025.9.6~7 別所温泉・旅行記(安楽寺・北向観音・前山寺・さくら国際高校)
2025.9.7 旅館をチェックアウト前に別所温泉周辺のお寺などを散策しました。



安楽寺と八角三重塔(国宝)

黒門:江戸時代建立の山門






和様と禅宗様が融合した折衷様式。この地方では最大級の規模







🕰️ 創建の伝承と史実
■ 奈良時代(天平年間 729–749)
・創建者:行基
・内容:長楽寺・常楽寺とともに開いたとされる伝承
■ 平安時代(天長年間 824–834)
・創建者:慈覚大師円仁
・内容:瑠璃殿を建立し薬師如来を安置したとの伝承
■ 鎌倉時代後期(13世紀中頃)
・創建者:樵谷惟仙(しょうこくいせん)
・内容:宋から帰国し、塩田北条氏の庇護を受けて禅寺として創建(史実に基づく)






🏯 八角三重塔(国宝)の詳細
📍 所在地:長野県上田市・安楽寺境内の山腹
📅 建立年代:正応2年(1289年)頃の用材が使われており、鎌倉時代末期(1290年代)に建立されたと判明
🏛 建築様式:禅宗様(唐様)による八角三重塔。初重に裳階(もこし)を付けた珍しい形式
🔍 建築の特徴
• 八角形の平面構成:日本唯一の木造八角三重塔。西大寺や法勝寺の八角塔が失われた今、唯一現存する例
• 裳階付き初重:一見四重に見えるが、最下層は裳階であり、三重塔とされる
• 内部構造:
• 8本の母屋柱で内陣と外陣を分ける
• 内陣は高床式で、中央に天蓋を吊るし、周囲に少天井を張る
• 八角形の仏壇が安置されており、これも非常に珍しい形式
• 相輪(塔頂部):青空にそびえる金属製の相輪が、塔の垂直性と荘厳さを強調
🧘♂️ 宗教的・文化的意義
• 禅宗様式の最古の遺構:宋から伝来した禅宗建築の初期形態を示す貴重な例
• 仏舎利奉安の象徴:インドのストゥーパに由来し、釈迦の遺骨や戦死者の供養のために建てられたと考えられる
• 文化財指定:昭和27年に国宝指定。「世界文化の見地から価値の高い、たぐいない国民の宝」と評価



安楽寺を参った後、北向観音へ。
別所温泉の中心に鎮座する「北向観音」


事前に写真で観ていましたが、予想以上に短い・・・^^;





北向観音の鐘楼と梵鐘の詳細
• 鐘楼の建立年代:不詳。ただし、構造は重厚で、境内の中でもひときわ目を引く存在
• 旧梵鐘:寛政5年(1793年)、上田の鋳物師・小島久兵衛弘文とその子・国一の合作→ 第二次世界大戦中に金属供出で失われてしまいました
• 現在の鐘:昭和24年(1949年)、長野市の平和博覧会に出展された香取正彦作の梵鐘
→ 善光寺大勧進の副住職・半田孝海大僧正が求めて、北向観音に納めたもの


🌿 愛染かつらの詳細
■ 樹種:カツラ(雄株)
■ 樹齢:約1200年(諸説あり:600年〜1000年以上とも)
■ 樹高:約22メートル ■ 幹周:約5.5メートル ■ 枝張り:約14メートル
■ 信仰的背景:
・天長2年(825年)の大火の際、千手観音がこの木に現れ、避難民を救ったと伝承される
・縁結びの霊木として信仰され、愛染明王堂に隣接
・恋愛成就を願う参拝者に親しまれている
■ 文学的影響:
・川口松太郎の小説『愛染かつら』のモチーフ
・1938年に映画化され、田中絹代・上原謙主演で大ヒット


温泉信仰と薬師如来信仰が融合した、まさに別所温泉ならではの霊堂
■ 名称:温泉薬師瑠璃殿(おんせんやくしるりでん)(北向観音境内)
■ 宗派:天台宗
■ 本尊:薬師如来(瑠璃光如来)
■ 建築様式:懸造り(けんづくり)形式で、崖に張り付くように建てられている
■ 創建:年代不詳
・現在の建物は文化6年(1809年)に地元住民の手で再建
・元は大師湯の西隣にあったが、寛保2年(1741年)の湯川氾濫で現在地へ移転
■ 信仰背景:
・温泉の薬効と薬師如来の加護が結びついた「温泉薬師信仰」
・病気平癒・健康祈願の霊場として親しまれている
■ 見どころ:
・堂前には北原白秋の歌碑があり、文学的にも味わい深い
・内部は静寂に包まれ、薬師如来の慈悲に満ちた空間






別所温泉の中心に鎮座する北向観音(きたむきかんのん)は、現世利益を授ける観音として古くから信仰されてきた天台宗の名刹。
■ 正式名称:北向山常楽寺 北向観音堂
■ 宗派:天台宗
■ 創建:天長2年(825年)
・開基は慈覚大師円仁(伝承)
・本坊は常楽寺(徒歩約7分)
■ 本尊:千手観音菩薩(秘仏)
・真言:おん ばざら たらま きりく そわか
■ 建築様式:撞木造り(1961年改築)
・堂が北向きに建てられているのが最大の特徴
■ 信仰背景:
・「北斗七星が世界の依怙となるように、我もまた一切衆生の依怙となって済度をなさん」という観音の誓願に基づく北向き構造
・善光寺(南向き)と対になる「両参り」で、現世(北向観音)と来世(善光寺)の両方のご利益を得るとされる
・「厄除け観音」として地元に親しまれている



札所観音堂(旧称:秩父堂)
■ 奉納内容:秩父三十四観音霊場の観音像
・享保年間(1716–1736)に篤信者が奉納
・各札所の観音様を模した像が並ぶ
■ 意義:
・秩父霊場巡礼の代替として、ここで一堂に参拝できるようにした
・現世利益を願う北向観音の信仰と、観音霊場巡礼の文化が融合した空間
■ 現在の様子:
・堂は北側に移転再建され、静かに佇む
・内部には小さな観音像がずらりと並び、荘厳ながら親しみやすい雰囲気




なかなか見どころのたくさんある別所温泉周辺でした。もう少し見たかったところもあったのですが、時間が迫ってきたので旅館に戻りチェックアウト。その後、ご縁のある学校が近くにあるらしいので立ち寄ってみました。



写真のように**稲を干す(はぜ掛け)**のは、単なる乾燥ではなく、品質と味を高めるための伝統技術なんです。
☀️ 稲を干す理由(はぜ掛けの目的)
●水分調整
刈り取ったばかりの稲は水分が多く、すぐに脱穀するとカビや腐敗の原因になります。
→ 自然乾燥でゆっくり水分を抜くことで、保存性が高まります。
●旨味・甘みの向上
天日干しによって、米粒の中のデンプンがゆっくり糖化し、甘みや香りが増すとされています。
→ 機械乾燥よりも「はぜ干し米」の方が美味しいと感じる人も多いです。
●稲藁の活用
乾燥させた稲藁は、昔は縄や敷物、牛馬の飼料などに使われていました。
→ 今でも一部地域では、藁細工や神事に使われることがあります。
●地域文化の継承
はぜ掛けは、農村風景の象徴でもあり、季節の風物詩として親しまれています。
→ 地域によっては「稲架(いねか)」や「稲木(いなぎ)」とも呼ばれます。
さくら国際高等学校(上田市手塚)







さくら国際高等学校・中野校(または本校)は、旧西塩田小学校の木造校舎を再活用した、全国的にも珍しい通信制高校です。建物自体が歴史と教育の融合を体現しています。
■ 建築種別:木造校舎(大正期建築)
■ 元の用途:旧上田市立西塩田小学校(1996年に廃校)
■ 再活用:2005年、構造改革特区制度を活用して「さくら国際高等学校」として開校
■ 建築面積:約1,900㎡ 延床面積:約3,300㎡ 地上2階建て
■ 特徴:
・天井高3.2mの広々とした空間
・木製サッシや旧昇降口など、昭和〜平成初期の学校建築の意匠が残る
・校舎内には上田電鉄の「丸窓電車」モハ5250形が保存されており、車内見学も可能
・映画やドラマのロケ地としても使用されることがある
高校を訪問の後、前山寺へ。
前山寺と三重塔(国重文)




■ 山号:獨鈷山(とっこさん)
■ 宗派:真言宗智山派
■ 創建:平安時代(812年頃)
・弘法大師空海が護摩修行の霊場として開いたと伝承
・鎌倉末期に現在地へ伽藍を整備
■ 本尊:金剛界大日如来






🛖 本堂(登録有形文化財)
• 元禄〜享保年間(17世紀末〜18世紀初頭)建立
• 茅葺屋根、間口十間・奥行八間の堂々たる木造建築


🗼 三重塔(国指定重要文化財)
• 室町時代(1336-1573)初期の建立と推定
• 高さ19.5m、こけら葺き屋根
• 二重・三重部分に窓や縁側がなく「未完成の完成塔」と呼ばれる美学的構造


