チェリージュース、飲むだけで筋力の戻りが違った
練習後の疲労回復、何かしていますか。今回は「タートチェリージュース」という、あまり知られていないけれど研究の多い食品を紹介します。
どんな研究か
2026年4月、Sports Medicine - Open 誌に掲載された最新のメタ解析です(Daab et al., 2026)。PubMed・ScienceDirect・Web of Science・SPORTDiscusを2025年12月25日まで検索し、19件の試験を統合しています。対象は、運動によって筋肉にダメージを負った(EIMD)、訓練された選手たちです。
わかったこと
① 筋力の回復には、全時点で有意な効果
最大随意収縮(MVC、筋力の指標)の回復は、運動直後・24時間後・48時間後・72時間後・96時間後の全ての時点で、タートチェリージュース摂取群が有意に良好でした(効果量はそれぞれ0.63、1.12、1.29、2.14、4.82)。ただし、研究間のばらつき(異質性)はかなり大きいとされています(I²=69〜93%)。
② 跳躍力は48時間後から改善
カウンタームーブメントジャンプの高さは、運動直後・24時間後には有意差がありませんでしたが、48時間後には有意な改善が見られました(効果量1.41)。
③ 炎症マーカー(CRP)も低下
C反応性タンパク質(CRP、炎症の指標)は、運動直後から48時間後まで有意に低下していました。
④ 一方で、効果が確認されなかった指標も
筋肉痛そのもの、クレアチンキナーゼ(CK、筋損傷の指標)、IL-6、TNF-α、可動域(ROM)については、全体としては有意な効果が確認されませんでした。
他の研究との整合性
半マラソンを対象にした別の研究では、タートチェリー粉末(CherryPURE、480mg)を10日間(レース前後)摂取した群が、プラセボ群より平均13%速くタイムを縮めたと報告されています。
一方で、非レジスタンストレーニング者を対象にした別の研究では、タートチェリージュースにもザクロジュースにも、筋損傷からの回復効果が見られなかったとする報告もあり、対象者や運動の種類によって結果が変わる可能性が示唆されています。
この研究の限界(著者ら自身が述べていること)
著者らは、タートチェリージュースが特定の機能的・炎症マーカーの回復を助ける可能性があるとしつつも、結果には研究間で大きなばらつきがあり、エビデンスの確からしさは「非常に低い〜中程度」にとどまるため、慎重な解釈が必要だと結論づけています。
対象は様々なスポーツの訓練された選手全般であり、陸上競技の短距離選手を対象にしたものではありません
「効果あり」の指標(筋力・CRP・跳躍力)と「効果なし」の指標(筋肉痛・CK・炎症性サイトカイン)が混在しています
まとめ
タートチェリージュースの摂取は、筋力の回復・跳躍力・一部の炎症マーカーについて、統計的に有意な改善と関連していた
一方、筋肉痛そのものやクレアチンキナーゼには、全体としては有意な効果が見られなかった
エビデンスの確からしさはまだ高くなく、研究間のばらつきも大きい
「筋肉痛が消える魔法の飲み物」ではありませんが、少なくとも筋力の戻りに関しては、複数の研究にまたがるデータの裏付けがある、という話でした。
参考文献
Daab, W., Bouzid, M. A., Nassis, G. P., Arumugam, A., Ammar, A., Pojskić, H., & Abaïdia, A. E. (2026). Effects of Tart Cherry Juice Supplementation on Recovery from Exercise-Induced Muscle Damage in Athletes: A Systematic Review and Meta-Analysis. Sports Medicine - Open, 12, 40.
https://doi.org/10.1186/s40798-026-00993-3
