見出し画像

ある日記「大きな仕事」

 とても大きな仕事が決まったんだ。大きいというのは報酬の金額がじゃないよ。責任と意義が大きいのさ。それも自分だけじゃなく大勢の大人を巻き込むような、組織が関わるような大きさなんだ。といっても、ぼくが鼻息を荒げているだけかもしれない。社会にいればよく見かけるような、指についた鼻くそをぴんと弾いて飛ばすくらいの遊びかもしれない。それでもぼくは人生を賭けてみたいと思っている。ベルリンの壁を崩す最後のきっかけになった鼻くそ(そんなものがあればの話だけど)になってやる気持ちでいっぱいなんだ。
 仕事をするにはまず、仕事に見合った人にならなきゃいけないよね。過去に自分がやってきたことを振り返ってみたら、自分がいかに気の向くままに歩いてきたのか身に沁みたよ。まあそんな自由さが自分のいいところだって信じてきたんだけどさ。そしてその方針を変えるつもりがないことも正直な話なんだ。でも、大きな仕事をするなら、しっかりと体を温めておくべきだろ。ぼくを世に送り出してくれる大人たちが納得するような振る舞いをしたい。この人に任せてよかったと安堵してもらえるような毎日を送りたいんだ。
 とすると、どうだろう。ぼくはもっと刺激的な言動をしなくちゃいけない。そう思って今まで手を伸ばしてこなかったものに触れてみたんだ。日々喧嘩が起きているようなジャンルにも興味を持つようにした。戦いこそ最高のエンタメであることは間違いないから。やっぱり世の中って面白いね。
 あんまり得意じゃないって避けてたことでも楽しんで鑑賞できる日はくるんだね。たぶん歳を重ねるごとに、価値観の枠組みがいくつか増えて、冷静に受け取れる範囲が広がったからだ。でも、戦ってる人たちを見聞きして、自分も戦いのなかに投じてみたら、ぼくという人間がいかに平和主義で、それゆえに日和見主義なのかがわかった。基本的にいい顔がしたいんだ。そして、疲れたらぼーっとしていたいんだ。頭をゆるゆると動かしているうちに、感じ取れる微細な変化が好きなんだ。むしろ、なんてことないことしか要らないとすら思う瞬間もある。とにかく不意に心が動くのを何より気に入ってるのさ。
 好きなものは全体を把握してとっぷり浸かれたらそれで最高なんだ。ジャンルのなかで漂っていたいのさ。メインがどこにあって、オルタナティブはこれで、ラディカルなのはこっちで、なんて議論はどうしても気が滅入ってしまう。でもさ、そんな話をしないと知ってもらえないことばかりなんだよね。
 だから、ぼくは少し追い詰められている。「やばい」って感覚が寝ても覚めても抜けない。やらなきゃいけないことが山積みで、しかも今を逃したらもう一生チャンスが巡ってこない気もしてるんだ。とにかく銃に弾を込めて、発射してってサイクルを手首が腱鞘炎になるまでは続けてみたいと思ってるよ。そんな日が来ることを望んでいたのもまた事実だからね。なんせぼくはしあわせさ。

「さぼうる2」のナポリタンは山盛り

【短歌と小説】さっきからみょんみょん触っているカエル正真正銘毒ガエルだよ

ここから先は

592字

メンバーシップ ¥ 1,000 /月

新書といっしょの活動を応援してくれる方々をお待ちしております。経済的な余裕が生まれたら、生配信の回数…

いっしょプラン

¥1,000 / 月

よろしければサポートお願いします。新書といっしょに暮らしていくために使わせていただきます。