秋休みに読んだ本|「自衛隊最高幹部が明かす 国防の地政学」折木良一 編著
まだまだ暑い日々が続きますが、秋はちょこまかと祝日がありうれしいですね。この「秋休み」も、少しずつ色んな本を並行して読み漁り、印象に残ったことをメモして行こうと思います。
ここのところ、ちょっとハードな、現代における現実を、お勉強しています。
関心のキーワードは、「インテリジェンス」「諜報」「スパイ」「情報機関」「地政学」「地経学」「経済安全保障」「安全保障」「台湾有事」といったあたりです。
どんな本か?ー自衛隊幹部が語る地政学=戦略の要衝が伝わってくる。
まず紹介するのは、こちら。
「自衛隊最高幹部が明かす 国防の地政学」折木良一 編著 PHP研究所 2025年3月刊行。
いつものように、オビを見ていきます。表には、
==
・「地理×政治×軍事」の集大成
・戦争の構造と守るべき最重要拠点を知る
・自衛隊の最強OBたちが結集!
==
とあります。力強いですね。裏表紙のオビには、
”憂国の志士たち”による渾身の戦略論
とあり、目次が紹介されています。引用しますと、
序章:防衛省・自衛隊が実践する地政学
第1章:東アジアの地政学 南西諸島、中国、台湾、朝鮮半島
第2章:インド太平洋の地政学 東南アジア 南シナ海 インド 南太平洋
第3章:米国の地政学
第4章:欧州の地政学 NATO1 NATO2 ロシア
第5章:中東の地政学 イスラエル 海賊対策
第6章:新しい地政学 北極海 核問題 サイバー 宇宙
で、それぞれの執筆者名が添えられています(略)
カバーイラストはアンティークな世界地図(海図のよう)が大きくあしらわれ、地政学らしさを醸し出しています。
印象にのこったエピソード
すべて、軍事(自衛隊)組織の幹部や元幹部、ふだんから密接に関係のある研究者らの論文なので、どれも読みごたえがありました。
どこかの新聞やネット上の論説記事など巷間で言われている内容とほぼ重なるものもあれば、それら巷間の言説との「ズレ」というよりは、「らしさ」「深さ」を感じるものもありました。
そういう意味では、どの項目も、読んで安心することができました。へんに、異常な軍事プランとかを考えているわけではないのだなと(もちろん、なにか軍事的な秘策について、ここで明かすことはないでしょうけど)。
ここでは、かなりマニアックで、「他では読めない知識だな」というものもについてご紹介すると、
■インドと中国の国境紛争の詳細について知ることができたこと。
かなり入り組んでいて、ネパールやブータン、チベット、パキスタンなどとの国情も絡んでいる。
■ソマリア沖の海賊対策の実際のオペレーション。
船団の先頭と末尾で護衛すること、実際にどのように感謝されているかなど。
■北極の氷が溶けだし北極海まわりのアジアー欧州航路が開拓される。
その時に起きること。ロシア、中国が主張をし始めていること。その時、再びオホーツク海と北方領土付近に焦点があたる。
■欧州、バルト海、東欧、ロシアの飛び地
すでに国籍不明ドローンの領空侵犯が報じられているが、ウクライナの次に警戒せねばならないエリア。
■太平洋の島しょ国と、海底ケーブル
ウクライナ戦争や台湾有事で、海底ケーブルの切断などの事案が注目されている。日本には房総半島などに重要なケーブル陸揚げ地があるし、重要な防護対象。
また太平洋の島しょ国に中国は資本や国際援助をしているが、ここをとられると米国と豪州は分断される。
このエリアが戦略的な要衝となっているのは、実は太平洋戦争の構図の再現とも言える。日本軍は当時、ラバウル、ガダルカナルを取りにいった。同じような発想で、中国はいま、太平洋の島しょ国家にくさびを打ちに行っている。
(読んでやや時間がたってしまい、かなりラフなまとめとなってしまった)
なぜ読んだのか。地政学やら経済安全保障やら
地政学。
ここ5年ぐらいで、あちこちで見聞きするようになった気がします。
地政学とは、個人的なざっくり定義では、地理と国際政治、軍事をまぜたような学問、です。
本書でも出てきますが、マッキンダー、マハンら数人の地政学の学者らが古典的な学説を確立。その後、時代時代において、それぞれ実務家に近い人たち(政治家や外交官、軍略家ら)がそれぞれの論を展開するーーそれが地政学というイメージがあります。
学問というより時事論説に近いというか。。
また、ふだんはホコリをかぶっているくせに、世界がキナ臭くなってくると召喚される学問、というイメージ。
いま、世界中がキナ臭くなっていますよね。だから地政学は現代の必須教養のひとつだろうと、私は思います。
また別の回でとりあげたいと思いますが、地政学の延長上に、いま「経済安全保障」も脚光を浴びている最新の分野があります。
自民党の総裁選でも、脚光を浴びています。
そんな経済安全保障の背景知識として欠かせないのが、地政学という関係にあると思っています。
そんなわけで、地政学を、学者ではなく、国防の専門家=自衛隊の気鋭の幹部やOBが本音トークしているのは珍しいなと思い、手に取ったのでした。
だんだんキナ臭くなる日本周辺の安全保障環境ですから、彼ら自衛隊幹部ら国防の専門家が、書斎ではなく、国防の現場感覚のなかで、どのような戦略眼をもって、何が戦のポイントだと認識して国を守ろうとしてくれているのか?を知っておきたいと思いました。
だって、もし、彼ら国防の現場責任者の地政学的なセンス~戦略眼~、がどこか現実とズレていたら、本当に、この国の暮らしを守ってもらえるのか、と不安になりませんか?
読んだ動機の二つ目。
国防については私たちは素人ですから、プロの彼らに丸投げし「あとはお願い」ということもできる。実際、軍事の細かいところまで詳しくないし。
しかし、ひとりの納税者の態度として「お任せすぎるのもどうかな」と思っています。国防なんだから、素人の出る幕ではないことは承知しつつも、少なくとも「知れるところまでは知っておこう」と。そんな動機です。
もちろん、有事など何も起きないことを祈っています。でも、どういう緊張が起きているかを知っておくこと、心の中で、国防に従事いただいている皆さんに感謝し、応援することぐらいはできたらな、そのためにも知っておきたいな、という思いもあります。
※このあたりの心の持ちようは、ホント人それぞれだと思います。ので、私の場合は、というだけですので、適当にスルーしてくださいw
