3つの国立博物館をつなげ!吉野・北野・加賀前田。
まずゴールデンウィークに、ずっと楽しみにしていた吉野の蔵王権現展を見に、奈良国立博物館へ。
山上の大峰山寺から、大切に大切に運ばれてきた6体の蔵王権現像。
5億7000万年後の弥勒の時代に向け、藤原道長が写経して埋納した紺紙金字経。
その時に共に運ばれたのかもしれない、蔵王権現が刻まれた鏡。
TOPPANのVR技術で、まるで目の前にいるように見える蔵王堂の巨大秘仏、3体の蔵王権現(私の推し)。
後醍醐天皇が身近に置いていたと言われる如意輪寺の蔵王権現や如意観音像。
そして、吉野で秀吉が開いた茶会の様子。
目眩くような展示の中に、日蔵上人が吉野で修行中に死後の世界を彷徨い、菅原道真を貶めたことで地獄で苦しむ醍醐天皇に出会った、という北野天神縁起の話が出てきた。
吉野の役行者と菅原道真は、どちらも出雲系の流れという繋がりがあるのは知っていたけれど、こういう縁起があったとは知らず興味を惹かれる。
というわけで、先週末訪れたのが、京博の北野天神展。
道真が太宰府に向けて出立する前に、叔母に預けたという遺物。櫛や鏡、硯などがきれいに残っていることに驚いた。
また、北野天神縁起絵巻は、紙を貼り合わせた広い大画面のようなところに絵が描かれていて、大迫力。
北野といえば秀吉の茶会のイメージが強いけれど、本殿を再興したり、長谷川等伯の絵馬を奉納したりと秀頼の存在感もある。
(実は吉野の蔵王堂も、その再建には秀吉・秀頼がずいぶん関わっている。)
そして・・・加賀の前田家が「菅原」と名乗り、北野天神への信仰が厚かったことを知った。
なるほど、梅の家紋だし、そうだったんだ……。
と、そこで思い浮かんだのは、東博でやっている加賀前田展。
どうやら、奈良博の吉野は、京博の北野につながり、その北野は東博の加賀につながっるという、同時期に3つの国立博物館で行われていた展覧会には、「つながり」の裏コンセプトがあったのではないだろうか。
わからないけれど。
もう時間もないし、行かれないかなと思っていた東博の加賀前田展。
今日、東京駅でぽっかり2時間の空白ができたので、「行くしかない!」と上野へ走った。
前田家のコレクション、圧巻すぎる。
水戸黄門様と血縁である5代藩主・綱紀(つなのり)は、本だけでなく、工芸品サンプル収集への執念が凄まじい。前田家には、あらゆる美のサンプルがあったと言ってもよいかもしれない。
漆や布地のサンプルがあるのはもちろん、蒔絵の地の部分だけでも何種類も取り揃えられている。襖の引手や、釘を隠す虫籠デザインまである。書の方も合わせて、まるでおもちゃ箱のようなコレクションだと言える。
書では、いろいろ素晴らしい国宝もあるが、足利尊氏・直義・夢窓疎石が3人で合わせて書いたというお経に見入ってしまった。3代利常の時から欲しかったものを、綱紀がついに手に入れたというもの。それほどまでに欲しかったお経なのに、尊氏の字が、現代の小学生が書く字みたいで、これまで写経の字としては見たことのない親しみやすさだった。笑
野心がない尊氏を直義がうまく乗せながらリーダーにしていったというが、字を見ると、さもありなん、という感じを受けた。
歴史の伏線に導かれるRPGみたいな国立博物館の連鎖。
何はともあれ、この3つの国立博物館の展覧会は、どれも素晴らしかった。
いずれも6月7日までなので、残り期間は少ないですが、本当におすすめです。
