子どもの頃に買ってもらえなかったもの
昨日、体力が限りなくゼロに近い状態でスーパーへ行った。
本当は家で寝ていたかったのだが、何か少しでも嬉しくなるものが欲しかった。
体調が悪いと、なぜかそういうものを探してしまう。
シュークリームとか。
プリンとか。
桃缶とか。
そして昨日、私が手に取ったのは練乳だった。
子どもの頃から憧れていた、あの練乳である。
私は子どもの頃、何度も母に頼んだ。
「練乳買って」
当時、庭の山イチゴは年に1〜3個しかならなかった。
宝石より貴重だった。
そして、ものすごく酸っぱかった。
イチゴに練乳をかけるのは私の夢だった。
しかし母は買ってくれなかった。
「高いから」
母は優先順位の高いものを買う人だった。
後から思うと、だいたい母の方が正しい。
それから半世紀。
私は大人になった。
練乳くらい買えるようになった。
スーパーへ行けば、何度も練乳のチューブを見かけてきた。
それなのに、一度も買わなかった。
なぜだろう。
実は一度だけ、買おうかと思ったことがある。
しかし買わなかった。
その時のイチゴが甘かったのである。
練乳をかけたら甘すぎる。
だからやめた。
最近のイチゴは本当に甘い。
品種改良ってすごい。
ところが今年。
私は久しぶりに酸っぱいイチゴに出会った。
ここのところ味覚がおかしい。
トマトは酸っぱすぎるし、卵焼きは甘すぎる。
だから本当にイチゴが酸っぱいのかはわからない。
それでも私には酸っぱかった。
そして昨日、私はとうとう練乳を買った。
240円だった。
驚いた。
イチゴより安かった。
子どもの頃、あれほど高級品に思えたのに。
今朝、イチゴに練乳をかけて食べた。
幸せだった。
本当に幸せだった。
酸っぱくて泣きそうだったイチゴが、ほんのり甘くなった。
私は感動した。
50年越しの夢が叶ったのである。
写真を撮ろうと思った。
本当はもう少しちゃんとした器を使いたかった。
でもその器は高い棚にあった。
体力ほぼゼロ、HP1くらいの私は、手を伸ばして取る元気がなかった。
そこで、いちばん近くにあった器を採用した。
素敵な写真は撮れなかったが、50年来の夢が叶った記念なので、思い切って公開してしまおう。

ところが、ここで変なことが気になった。
あのチューブ、結構大きい。
あれを使い切るには、相当な量のイチゴが必要なのではないか。
私は計算を始めた。
練乳は240円。
何パックのイチゴにかけられるだろう。
10パックはいく。
20パックもいきそうだ。
30パック?
いや、それは盛りすぎか。
間を取って25パックにしよう。
イチゴ1パック500円とする。
25パックなら12,500円だ。
なんと。
1万円を超えている。
私は青くなった。
50年越しの夢は叶った。
そして私は今、練乳より高いイチゴ代の心配をしている。
練乳を使い切る、良いアイディアはないものか。
トマトにかけるとか。
いや、色は似ているが、練乳をトマトにかけている人は見たことがない。
ということは、合わないのかもしれない。
メロンにかけてみるとか。
いや、メロンはたぶんイチゴより高い。
歯磨き粉の代わりにしてみるとか。
いや、それは。
虫歯が増えるだけのような気がする。
こうなることを見越して、母は買ってくれなかったのかもしれない。
母の先見の明に脱帽だ。
何十年も経ってから気づくとは、私もまだまだ修行が足りない。
P.S.
練乳のおすすめ活用法をご存じの方は、ぜひコメントで教えてください😄🍓🥛
