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イヤホンが繋いでいたもの、切り離していたもの

みなさん、おはようございます😊
現役工業高校教員のシュガー先生です。

先週末、散歩をしていたときのことでした。

耳に入れていたイヤホンが、
ふとした拍子に地面へ落ちた。

拾おうとしゃがんだ、その一瞬。
生徒とのある出来事を思い出しました。

そして、フラッシュバックするように
3年間担任として向き合った、
ある一人の生徒の姿が浮びました。

イヤホンをきっかけに、
最後に分かり合えた生徒。

是非、ご覧ください。



🏗 何でも持っているように見えた生徒


彼は、
勉強ができた。

スポーツ万能。
中学時代、県選抜クラス。

将来は「建築士になりたい」という、
はっきりした夢も持っていた。

一見すると、
すべてを持っているように見える生徒だった。

でも、彼には一つだけ
どうしてもうまくいかないことがあった。

それは、人間関係だった。

口数が多いわけでもなく、
最初は「人見知りなのかな」と思っていた。

けれど、時間が経つにつれ
それだけでは説明できない
“違和感”を感じるようになった。


📱 別人のような、あの表情


定期考査期間中、
彼と何気ない雑談をする機会があった。

そのとき彼は、
他校の友達とLINEをしながら、
勉強を教えていた。

画面越しの彼は
驚くほど、イキイキしていた。

教室で見ている姿とは、
まるで別人だった。

その瞬間、思った。

「この子は、人間関係が苦手なわけじゃない」
「ただ“ここ”に居場所がないだけかもしれない」


🧑‍🍼 心に突き刺さった、母の一言


後日、保護者面談で
お母さんがぽつりと、こう言った。

「今日も、誰とも喋らなかったって言って
帰ってきました」

胸の奥に、
ずしんと重たいものが落ちた。

本人は、困っていないかもしれない。
でも親としては、
笑って学校の話をしてほしい。

その気持ちが、痛いほど伝わってきた。


🎧 彼と世界の間にあったもの


改めて彼の行動を観察した。

すると、一つの共通点が見えてきた。

教室でも。
休み時間でも。
移動中でも。

彼はいつも、イヤホンをつけていた。

しかも、有線のイヤホン。

それは音楽を聴くためだけじゃなく、
世界と距離を取るための壁のように見えた。


🗣 伝えるか、迷った言葉


高校1年生の終わりに
私は彼に、こう伝えた。

「学校では、イヤホンを外せ」
「人と話せ」

今でも覚えている。
言う直前まで、ものすごく迷った。

押しつけじゃないか。
彼の安心できる場所を、奪ってしまわないか。

でも
見てしまったから。
彼の、本当の表情を。


🌱 少しずつ、変わっていった日常


それ以降、少しずつ変化が起きた。
二年生の初め頃には、

クラスメイトが声をかけるようになり、
会話が生まれた。

無理に明るくなったわけじゃない。
ただ、確実に
「一人じゃない時間」が増えていった。


🎓 卒業式の日に、もらった答え


卒業式の日
教室で一人ひとりに、一言ずつ話してもらった。

彼は、こう言った。

「2年生までは、人と関わることが
ありませんでした。

でも、人と関わるきっかけをくれたのが
先生でした。」

『イヤホンを外せ』
『人と話せ』

「そう言われて、多くの人と
関わることができました。

ありがとうございました。」

その言葉を聞いた瞬間、
胸の奥が、静かにあたたかくなった。

ああ、
ちゃんと届いていたんだ、と。

あなたの学校生活を救った言葉は何ですか?



🌸 分かり合えたのが、卒業の日でも


今でも彼は、
後輩の部活指導で学校に来てくれる。

あの頃と同じように、
イキイキとした表情で。

地面に落ちたイヤホンを拾いながら、
彼との出来事を振り返った。

分かり合えたのが、卒業の日でもいい。
遅すぎることなんて、ない。

もし今、
誰かとの間にイヤホンがあるなら。

あのイヤホンは、
彼を孤独から守っていたのかもしれない。

でも同時に、
世界と距離を取らせてもいた。

外すのは、ほんの一瞬。
でも、その一瞬が、
人の人生を少しだけ変えることがある。

分かり合えたのが、卒業の日でもいい。
言葉が届いたのが、最後でもいい。

人との距離は、
勇気ひとつで、ちゃんと縮まる。

もし今、
あなたと誰かの間にも
外せずにいるイヤホンがあるなら。

それはきっと、
今日じゃなくてもいい。
でも、いつか外せる日が来る。

その時、世界は、
思っているよりずっと、あたたかい。


シュガー先生

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