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薬剤師なのにIT?育児で退職した私が職業訓練を選んだ理由

「薬剤師なのに、なぜITなの?」

この質問は、これまで何度もいただきました。

私自身も、昔はそう思っていました。

薬剤師なら認定資格を取る。

専門薬剤師を目指す。

専門知識を深める。

それが、薬剤師として価値を高める一番の道だと信じていました。

実際、私も地域薬学ケア専門薬剤師の取得に挑戦していました。

でもその頃、長女の療育、下の子の妊娠、そして夫の転勤による引っ越しが重なりました。

資格も大切。

でも、娘の療育には「今しかない時間」があります。

資格は数年後でも挑戦できますが、子どもの成長を支えられる時期は限られています。

私は迷った末に、資格よりも娘との時間を優先することを選びました。

その結果、一度薬剤師の仕事を離れることになります。

当時は正直、

「キャリアが止まってしまった。」

「遠回りになってしまった。」

そんな気持ちでいっぱいでした。

退職して約2年間、育児にしっかり向き合いました。

少し落ち着いた頃、「この時間を無駄にしたくない」と思い、公共職業訓練に応募しました。

選んだのは、薬剤師とは全く違う世界

選んだのは、IT・Webデザインを学ぶ職業訓練でした。

WordPress。

Webデザイン。

Photoshop。

HTML・CSS。

JavaScriptなどのプログラミング。

これまでの薬剤師人生では、ほとんど触れることのなかった分野ばかりでした。

最初は戸惑うことも多く、「本当に私にできるのかな」と不安になることもありました。

でも学び始めると、不思議なくらい全部がつながっていきました。

薬局のホームページを改善できる。

患者さん向けの資料を、もっと分かりやすく作れる。

専門知識を「伝わる形」に変えられる。

薬剤師として働くことしか知らなかった私にとって、新しい世界が一気に広がりました。

そして職業訓練を修了した後も、「もっと伝える力を身につけたい」と思い、自分でお金を払ってマーケティングやAIについて学び続けています。

振り返ると、職業訓練はゴールではなく、新しい学びのスタートラインでした。

育児によるブランクが、結果的に最高のタイミングだった

そして、一度立ち止まったこのタイミングだからこそ挑戦できたこともありました。

退職後、育児のために失業保険の受給を延長していたため、職業訓練中は失業保険を受給しながら勉強に集中することができました。

さらに、前年度(育児に専念していた時期)の収入がほとんどなかったことで、国民健康保険料の負担も軽くなり、半年間じっくり学ぶ環境が自然と整ったのです。

もし働きながら副業の準備をしていたら、時間を確保するのは簡単ではなかったと思います。

逆に、仕事を辞めてすぐ職業訓練へ進んでいたら、前年度の収入の影響で固定費が高くなり、経済的な焦りを抱えながら勉強していたかもしれません。

公共職業訓練は募集時期も決まっています。

一見マイナスに思えた育児によるブランクが、結果として私にとってベストなタイミングになりました。

私が「ITを学ぼう」と思った理由

そんな頃、一冊の副業に関する本を読んで、とても印象に残った考え方がありました。

「異なる強みを組み合わせることで、自分だけの価値が生まれる」という考え方です。

その考え方に触れたとき、「なるほど」と思いました。

そして、ふと芸能人の姿が頭に浮かびました。

歌が上手い人はたくさんいます。

司会が上手い人もたくさんいます。

でも、歌も歌えて、司会もできる人は限られています。

だから仕事の幅が広がり、多くの人から求められる存在になります。

私は薬剤師も同じなのではないかと思いました。

現場で専門性を極め続けている先生方を、私は心から尊敬しています。

私自身もJPALSや認定資格に取り組み続けていますし、専門知識は医療人として欠かせない土台です。

ただ一方で、専門知識だけで患者さんから選ばれたり、働き方の自由度や評価が大きく変わる場面は、それほど多くないとも感じていました。

患者さんは、「専門薬剤師だから」という理由だけで薬局を選ぶわけではありません。

会社も、専門知識だけを理由に働き方や待遇を大きく変えてくれるケースは決して多くありません。

だから私は、「薬剤師としての知識」を深めるだけではなく、「その知識を伝える力」や「形にする力」を身につけたいと思いました。

ITやデザインは、そのための新しい武器になると考えたのです。

ITは、薬剤師を辞めるためではなく、薬剤師を広げるため

ITやデザインを学んだことで、

・薬局のホームページ制作

・患者さん向けの分かりやすい資料作成

・医療情報の発信

・業務改善の提案

これまでにはなかった仕事の選択肢が、少しずつ広がり始めています。

薬剤師だけでもない。

デザイナーだけでもない。

その両方を知っているからこそ提供できる価値があります。

だから私がITを学んだ理由は、薬剤師を辞めたかったからではありません。

薬剤師として、もっとできることを増やしたかったからです。

おわりに

あの頃は、「育児でキャリアが止まってしまった」と思っていました。

でも今振り返ると、止まっていたのではなく、土台を作っていた時間だったのだと思います。

娘と向き合い、自分自身とも向き合い、新しい武器を身につける準備期間でした。

あの経験があったからこそ、今のフリーランスという働き方につながっています。

もし今、

「子どもとの時間を優先したい。でもキャリアも諦めたくない。」

そう悩んでいる方がいたら、私は伝えたいです。

遠回りに見える時間にも、きっと意味があります。

私にとって育児期間は、キャリアのブレーキではありませんでした。

未来へ大きく踏み出すための、一番長くて、一番必要な助走だったのです。

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