「帰ってきてくれた」と「私を選んでくれた」は同じではない――待ち続けた彼女は、本当に「選ばれた」のか?【ラブロマンス派のあなたへ】
好きな人を待ち続ければ、いつか愛は報われるのでしょうか。
ずっと何年も思い続けた。
誰よりも心配した。
ずっと帰りを信じていた。
だから最後には、自分が選ばれるはずだ。
恋愛物語では、そう描かれることがあります。
では、物語『Lost Light 失われた光』(最終話・第12話より)はどうか?
高校生の小春の恋は、それほど単純ではありません。
同級生の壹真(かずま=いっしん)は帰ってきました。
けれど、小春を選ぶために帰ってきたわけではないのです。
「帰ってきたことと、あなたを選んだことって……同じなのかな。」
「IYO'S VOICE #01を見る」
待っていたから愛されるわけではない
小春が待った時間は尊いものです。
しかし、恋は努力に対して与えられる報酬ではありません。
何年待ったから。
どれほど傷ついたから。
誰よりも一途だったから。
それだけで、相手が自分を愛さなければならない理由にはならない。
もし壹真が「待ってくれたから」という責任だけで小春を選ぶなら、それは小春の望む愛ではないでしょう。
小春が求めるのは、感謝でも同情でもありません。
壹真が、自分の意思で小春を見つめることです。
小春は、記憶の中の女性と争えない
壹真の心には、小春の知らない過去の人がいます。
日向姫(ひむかひめ)と“禁断の恋”の末に生まれた子供の壹與(いよ)です。
その人と小春は、直接会って争うことも、問いかけることもできません。
しかも、失われた人との記憶は、時間がたつほど美しく残ります。
小春がその人に勝とうとすれば、終わりのない戦いになります。
だから小春に必要なのは、誰かより上に選ばれることではありません。
小春として愛されること。
それだけです。
本当に選ばれるとは、未来をともに選ぶこと
小春が選ばれる瞬間は、壹真が過去から帰還した瞬間ではありません。
壹真が過去を抱えたままでも、小春とこれからを生きたいと思ったときです。
同時に、小春も選ばなければなりません。
昔の壹真ではない。
自分の知らない記憶と悲しみを持つ壹真。
その人と、それでも生きるのか。
一方が一方を選ぶだけでは、関係は始まりません。
二人が互いに選び直す必要があります。
この感情を聴くなら――「Return」
帰ってくることと、元に戻ることは違います。
「Return」(OST)という言葉は、帰還を意味します。
けれど、帰還した人は、旅立つ前と同じ人ではありません。
壹真が戻ってきたあと、小春の本当の物語が始まります。
帰ってきた壹真を迎えるだけではない。
変わってしまった彼と、新しい関係を作れるのか。
その問いがこの曲「Return」の奥にあります。
本編へ
小春は、待ち続けたから選ばれるのではありません。
待つだけの少女をやめ、自分自身の未来を選んだとき、初めて壹真と対等に並ぶことができます。
彼女は「選ばれた女性」なのか。
それとも、「自分から未来を選んだ女性」なのか。
その違いに注目して本編を読むと、小春の姿がこれまでとは違って見えるかもしれません。
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