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段取り八分、仕事二分――現場で覚えた「順番を決める習慣」が、AIへの指示でもそのまま効いた

AIを使い始めた頃は、「どんなプロンプトを書けば、うまく答えてくれるのか」に意識が向きがちで、私自身もAIを使うようになってから、指示の書き方についてずいぶん考えるようになりました。

ところが使い続けているうちに、少し違うことに気づきました。

AIへの指示で役立っているのは、AIを使い始めてから覚えたことだけではなく、昔から仕事でやっていたことが、そのまま使える場面もかなりあるのです。

その一つが「段取り」です。


忙しいときほど、目の前の仕事から始めない

飲食店の現場では、忙しくなればなるほど仕事が一気に増えます。あれもやらなければならない、これも終わっていない、といった状況に次々と仕事が重なっていきます。そんな状況で、目についた仕事から順番に手を出していくと、かえって全体が崩れやすくなります。

だから大事になるのが、

「何をやるか」

だけではなく、

「何からやるか」

です。

先に優先順位を決め、作業の前後関係を考えながら進める。複雑な仕事なら小さく分けるなど、そうした細かな判断の積み重ねです。

長い間こうしたことをやってきましたが、当時は特別な能力だとは思っておらず、仕事を進めるための、ごく普通の段取りだと思っていたからです。

AIに丸ごと仕事を渡すと、ズレやすい

AIを使っていると、これとよく似たことが起きます。

例えば、「この記事を作って」とだけ頼むこともできます。AIは何かしら答えてくれますが、自分が考えていたものとは違う。

すると、「もう少しこうして」「そこじゃない」といった修正のやりとりが、何度も続いていきます。

AIの能力が足りない場合もありますが、仕事そのものが整理されないまま渡されているケースも少なくありません。

これは、人に仕事を頼む場合と似ています。

ゴールも順番もはっきりしないまま、

「いい感じにやっておいて」

と言われたら、受け取る側は迷います。

AIも同じです。

私が先に整理するようになった4つのこと

今はAIへ仕事を渡す前に、少なくとも次の4つを考えるようにしています。

1.何を完成させたいのか
記事なのか、企画案なのか、そうした具体的な形を思い描きながら、まずゴールを決めます。

2.何から始めるのか
いきなり完成品を求めるのではなく、必要なら調査や構成といった工程に分けて進めます。

3.どんな順番で進めるのか
前の工程が決まらないと次へ進めない仕事なら、その順番も伝える。

4.どこまでできたら完成なのか
完成条件が曖昧だと、AIも延々と改善を続けることになります。

こうして見ると、特別なプロンプト技術ではありません。

ほとんど「仕事の段取り」です。

AI時代になって、昔の経験に別の名前がついた

ここが、私には面白いところでした。

長く仕事をしていると、自分が普通にやってきたことを能力だとは思わなくなります。段取りを考え、優先順位を決め、人が動きやすい形に仕事を分けていく。そうしたことを、当たり前のようにやってきました。

昔は、それをわざわざ言葉にする必要がありませんでした。

ところがAIを使うようになって、初めて気づきました。

これまで仕事で身につけたものは、AI時代になったから価値がなくなるのではない。使う場所を変えると、別の武器になることがある。

AIを学ぶというと、新しい知識を増やすことばかり考えがちですが、もちろんそれも必要です。一方で、自分の中にすでにあるものを探すことも同じくらい大切だと思っています。

「AIが苦手」の前に、自分の仕事を振り返ってみる

AIへの指示が苦手だと感じている人は、一度プロンプトから離れてみてもいいと思います。

普段の仕事で、

「複雑な仕事をどう整理しているか」

を振り返ってみる。

優先順位を決めていたり、人に分かりやすく説明していたりする、そうした場面が誰にでもあるはずです。

そこには、すでにAIへ仕事を頼むための材料が眠っています。

私自身、長年やってきた「段取り」が、今になってAIへの指示につながりました。

だから最近は、新しいAI技術を覚えるだけではなく、

「自分がこれまで当たり前にやってきた仕事の中に、まだ名前を付けていない能力はないか」

という見方も大切にしています。

昔の経験は、過去のものとは限りません。

使う場所が変われば、これからの武器になることがある☺️

――

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