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私は「猫いるし」で立て直す


私の三人の子どもは、
それぞれ自分なりに今を楽しく生きている。
……と、思う。

私の子どもではあるが、世間ではもうとっくに「大人」と言われる歳になっているのだ。
 
そんな“大人子ども”たち。

私の前では、いつでも楽しそうに笑ってくれている。

きっと私が知らないだけで、いろいろな悩みを抱えているのだろう。

親に心配をかけまいと、無理に笑っている日もあるだろう。

私と夫は、学生時代を器用に渡り歩いてきたつもりでいた。
けれど大人になるにつれ、
自分たちが「生きることに器用ではない人間」
だと気づいた。

そんな二人が、全力投球で育てた子どもたち。

やはり、誰一人もれなく、
器用ではなかった。

学生時代は、誰でもどの家庭でも、悩みや苦悩はあったと思う。

私たち家族も、そうだった。

今日楽しかったのに、明日はもう……別世界。
なんてことも。

思う通りにならないこと。
思いが通じないこと。
理不尽なこと。
押し付けられること。
間違ったこと。

自分の進む道。
将来への不安。

その他にも、たくさんのモヤモヤ。

もちろん、楽しいこともいっぱいあったと思うが、三人の学生時代は、悩むことのほうが多かった気がする。

"学生時代は楽しいもの"という印象があると思うけど、実際にはどうか?

過ぎ去って初めて、しかもだいぶ大人になってから、
今に比べて、学生時代がいかに楽しかったかと思える。

それは多分、時間と共に塗り変えられているからかもしれない。

もしくは、責任の無いその時代を懐かしく、愛おしく思えるのかも知れない。

ところが、学生のど真ん中にいる当の本人たちは、大人が言うほど楽しいのか?

あの頃の三人を見ている限りでは、判断がつかなかった。

小学生時代、中学生時代、高校生時代、大学生時代。

せっかくの学生時代を、楽しんでもらいたいという気持ちは、
親としてはもちろんあった。

でも、いずれかの時代の、
たとえば、ひと学年、ひと学期でも、
一ヶ月でも、一日でも、
「楽しかった」と思えたなら——
学生時代は、それで○。

恩師と思える先生に、一人でも出会えたら、
それもまた○。

気を許せる友人に一人でも出会えたら、
何個でも○をつければいい。

そんなカウントでいいじゃないか。

たとえ、学生時代に○がつかなくても、
いつかどこかで、自分なりの○がきっとつけられる。

そんなことを、伝えた気がする。

子どもたちに、どの時代に○がつけられたか?とは聞いてはいないけど、
きっと、それぞれあの時代だろうなというのは、想像がつく。

少ない数の○ではあるだろうけど、上出来だったと思う。

それから三人は、それぞれに合ったバイトをしたり、趣味によるコミュニティに参加したり、旅行に行ったりと、
自分で稼ぎ、責任と共に自由というものを手に入れていった。

そんな中でも、人との関わり合いは必ずある。

私の知らないところで、三人はきっと、
いろいろな経験をしたのだろう。

ポロポロと、こんなことがあったんだぁと、
過ぎた後に笑って話しをしてくれる。

「うわー!
私だったら泣いてる。
完全にパニックだ!」

「そんなことあったの?
ウソだろう?
私、何も知らなかったじゃん。」

「大丈夫だったの?」

そりゃ大丈夫だったから、今笑って話をしてるんだけどね。

後から知る事が多くなって、
しかも、年齢が上がると共に結構パンチの効いたやつがくる。

それでも、どうにか対処してきている。
そして今、笑って話してる。

三人とも、立派な大人になったな。

いつの間にか、三人から教わることが増え、励まされることが多くなってきた。

もう、すっかり逆転だ。

私は、猫を愛でながら穏やかに、
『平らな生活』を今後の目標としている。

それには、もちろん三人の協力が必要で、

三人が、穏やかに健やかに、生きていってくれないと、
私の目標は成り立たない。

若く、可能性を秘めた三人。
そして、器用ではない三人。

これから先も悩み苦しみ、そこから抜け出すのに、時間がかかる時もあるだろう。

大人になった三人に、もう私が教えられることは、数少ない。

自分で自分を、どうか立て直してほしい。

私はいつも、「猫いるし」と思って立て直す。

嫌なことがあっても、
どうせ、うちに帰れば「猫いるし」と思えば、
なんとか乗り切れる。

実際に、うちに帰って猫をさわれば、
おさまることが多い。

参考にはならない。
そして、ぜんぜん簡単ではないが、

三人それぞれが、
「猫いるし」を見つけてほしいと思っている。

好きなもの。
大切なもの。

何だっていい。

自分なりの……自分だけの……
「猫いるし」

それが見つかれば、何より強さが増す。
力も湧いてくる。
そして、楽しいことがもっと見つかる。

この先も、ずっと笑っていてほしい。

楽しいと思える人生を、
後悔のない人生を、
ぜひ、見つけていってほしい。
 

私は、猫と一緒に、ずっとここにいます。


















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