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【エッセイ】ごめんがほしいわけじゃないのに

人の心は、どうしてわからないのだろう。

同じように目があって、
耳があって、
口があって。

同じ形をしているのに。

どうして、こんなにもわかりあえないのだろう。

「こうじゃない」

そう思う。

言葉を重ねるほど、
少しずつ遠ざかっていく。

相手の言葉の意味を考える。

自分の言葉がどう伝わったのかを考える。

考えて、考えて。

それでも、わからない。

今じゃない。

そう言われた。

でも、いつならいいのだろう。

何を待てばいいのだろう。

何を変えれば、
人の心に届くのだろう。

できることなら、
一度だけ頭の中をのぞいてみたい。

何を考えているのか。

何を怖がっているのか。

何を望んでいるのか。

そして、
自分のことをどう思っているのか。

けれど、
きっと向こうも同じことを思っている。

どうしてわかってくれないのだろう。

どうしたら理解してくれるのだろう、と。

人の心は、
同じ形をしているからこそ、
わからない。

自分の心を基準にして、
相手の心を想像してしまうから。

だから、今日も考える。

どうしたら理解できるのだろう。

どうしたら理解してもらえるのだろう。

けれど。

ただひとつだけ。

わからないからこそ、
わかろうとすることを
やめてはいけない気がした。

人の心は、どうしてわからないのだろう。

私のパターンがある。
あなたのパターンがある。

難しくない。

観察して、
合わせればいい。

完全に合致しなくてもいい。

少しくらい違っていても、
かすりはする。

その「かすり」があればいい。

ほんの少しでも、
触れてくれればいい。

なのに。

今日もあなたは上の空。

何を言っても、
どこか遠くを見ている。

そして最後には、

「ごめん」

そればかり。

また「ごめん」。

違う。

謝ってほしいわけじゃない。

そうだ。

それが嫌なんだ。

私はあなたを責めたいわけじゃない。

ただ、
どうしてそう思ったのか知りたい。

何を考えているのか知りたい。

どうして今なのか。
どうして今じゃないのか。

頭の中をのぞいてみたい。

そうすれば、
こんなに言葉を探さなくても済むのに。

あなたを責めなくてもいいのに。

私の心と、
あなたの心。

同じ人間なのに。

どうしてこんなにも、
遠いのだろう。

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