信号機ぶどう味
小学校4年生の夏。
毎日近所の年上の友達と帰っていた。その子はいつもにこにこしていて優しいから好きだ。
でもKYだから友達が少なめっぽい。
だけどそんなの気にしてなそうで、いつも気楽に楽しそうだ。
その子といるとたまに自分の居場所が窮屈に感じる。
だからちょっとだけ羨ましい。
その日は暑かった。帰りの会では光化学スモック注意報がでてるから日陰を通るように、と言われた。
私は影を通ったところで意味ないし、馬鹿らしいと思っていた。でもその子は真剣に影を探して歩いていた。木陰とか電信柱の影とか、光を遮るには頼りないけど、その子にとっては意味があるらしかった。
私はそんなのはどうでもよかったけど、でも少しでも涼しくいたいから、一緒になって影を渡り歩いた。
それにしても暑い。私もその子もげんなりしていた。「暑い」、ふいに口に出した。
私の前を歩いてたその子はこっちを振り返り、にこっと笑った。「ついてきて」
私はいつも一秒でも早く家に帰りたいと思っている。なのにその日はなぜかその子についていった。
横断歩道を渡って商店街にでた。
「ここだよ」と彼女は立ち止まった。
「なにこれ?」私は困惑した。それは古い歩行者用信号機だった。
「違う、その下」その子はしゃがみこみじっとなにかを見ている。
私も一緒にしゃがんでみた。
塗装が剥げて紫と白がまだらに溶け合っている。
「ブドウ味のかき氷だよ」
彼女には本当にかき氷に見えるらしかった。
【追記】
とあるショートショートに参加しようと思い、創作したのですが、字数が超過してしまったためボツです。
