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その戸籍の束を、窓口のたびに出していませんか!?



前回、

仏壇とお墓の話を書きました。

今日は、それとは別の話です。

——

もっと地味で、

——

もっと多くの人が、そこで止まっている話です。

茶封筒が、だんだん厚くなります

最初は、市役所の窓口でした。

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——

「お父様の、出生から亡くなるまで、続けて全部です」

——

そう言われて、

——

意味が、すぐには分かりませんでした。

——

——

一枚ではないのです。

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——

結婚して、本籍が動いていれば、その前のもの。

——

制度が変わったときに作り直されていれば、その古いほう。

——

生まれた土地の役場に、まだ残っているもの。

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——

窓口を、いくつも越えて。

——

郵送で、取り寄せて。

——

返信用の封筒を、書いて。

——

——

そうやって、

——

茶封筒が、少しずつ厚くなっていきます。

——

輪ゴムで、留めるようになります。

「原本は、お預かりします」

やっと、束ができました。

——

銀行へ行きます。

——

——

窓口の方は、丁寧です。

——

一枚ずつ、めくって、確認して。

——

そして、こう言います。

——

——

「原本は、お預かりします」。

——

——

——

その瞬間に、

——

次の窓口へ行く手立てが、なくなります。

——

——

戻ってくるまで、待ちます。

——

戻ってきたら、次のところへ持っていきます。

——

そこでも、預かられます。

——

——

——

一つ終わるのに、何週間か。

——

まだ、四つか五つ、残っています。

——

——

その途中で、

——

多くの人が、いったん、やめます。

それは、段取りが悪いからではありません

やめた方を、私は何人も見てきました。

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——

だらしないからでは、ありません。

——

面倒くさがったからでも、ありません。

——

——

同じ束を、行く先々で出して、そのたびに手放す。

——

その構造が、そもそも重いのです。

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——

しかも、行く先は、

——

銀行や証券会社だけでは、ありません。

——

土地の名義を動かす手続も、

——

その先で、待っています。

——

——

だから、

——

土地の話が始まる前に、力が尽きます。

——

——

止まっているのは、あなたではなくて、

——

束の使い方のほうかもしれません。

一枚にまとめて、登記所に預けておく道があります

ここが、今日の核です。

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——

不動産登記規則という省令に、

——

こういう条文が置かれています。

——

——

表題部所有者、登記名義人又はその他の者について相続が開始した場合において、当該相続に起因する登記その他の手続のために必要があるときは、その相続人……又は当該相続人の地位を相続により承継した者は、被相続人の本籍地若しくは最後の住所地、申出人の住所地又は被相続人を表題部所有者若しくは所有権の登記名義人とする不動産の所在地を管轄する登記所の登記官に対し、法定相続情報……を記載した書面(以下「法定相続情報一覧図」という。)の保管及び法定相続情報一覧図の写しの交付の申出をすることができる(不動産登記規則247条1項)。

——

——

長い条文です。

——

大事なところだけ、取り出します。

——

——

「法定相続情報一覧図」。

——

それを登記所に保管してもらい、

——

その写しを交付してもらう。

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——

その申出が、

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**「できる」**と書いてあります。

「できる」と書いてあります

ここは、読み違えたくないところです。

——

——

しなければならない、とは書かれていません。

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——

やらなければ叱られる話ではないのです。

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——

使える道が、置いてある。

——

それだけです。

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——

使わずに、束を持ち歩き続けることも、できます。

——

——

ただ——

——

知らないまま持ち歩いているのと、

——

知ったうえで持ち歩いているのとでは、

——

疲れ方が、違います。

順番だけ、間違えないでください

ここを飛ばすと、かえって止まります。

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——

戸籍を集めなくてよくなる制度では、ありません。

——

——

申出のときには、添付するものがあります。

——

条文には、こう書かれています。

——

——

被相続人(代襲相続がある場合には、被代襲者を含む。)の出生時からの戸籍及び除かれた戸籍の謄本又は全部事項証明書(同条3項2号)。

——

——

あの束です。

——

——

つまり、順番はこうです。

——

——

一度だけ、集めて、出す。

——

そのあとは、写しを使う。

——

——

束を集める苦労が、消えるわけではありません。

——

消えるのは、

——

その束を、行く先々で手放すほうです。

何枚要るかは、こちらが書きます

申出書に書く事項の中に、

——

こういう一項目があります。

——

——

交付を求める通数(同条2項4号)。

——

——

——

一枚ではありません。

——

何枚要るかを、申し出るほうが書きます。

——

——

そして、登記官が確認をして、

——

こうなります。

——

——

登記官は、第三項第二号から第四号までに掲げる書面によって法定相続情報の内容を確認し、かつ、その内容と法定相続情報一覧図に記載された法定相続情報の内容とが合致していることを確認したときは、法定相続情報一覧図の写しを交付するものとする。この場合には、申出に係る登記所に保管された法定相続情報一覧図の写しである旨の認証文を付した上で、作成の年月日及び職氏名を記載し、職印を押印するものとする(同条5項)。

——

——

ただの写しではなく、

——

認証文と、職印がついたものが出てきます。

出した戸籍は、返ってきます

これも、条文に書いてあります。

——

——

登記官は、法定相続情報一覧図の写しを交付するときは、第三項第二号から第五号まで及び第四項に規定する書面を返却するものとする(同条6項)。

——

——

——

「第三項第二号から第五号まで」。

——

——

あの戸籍の束は、ここに入っています。

——

——

預けたまま、ではありません。

——

返却する、と書かれています。

——

——

——

ただ、条文が返却するとしているのは、

——

ここに挙げられた書面です。

——

出したものが全部そのまま戻る、という書き方は、

——

条文はしていません。

使える先までは、この条文には書いていません

正直に、書いておきます。

——

——

その写しを、

——

どこの窓口が受け取ってくれるか。

——

——

それは、この条文には書かれていません。

——

——

金融機関のことも、

——

証券会社のことも、

——

この省令は定めていません。

——

——

だから、

——

「これ一枚で、どこでも通る」とは、

——

私は書きません。

——

——

行く先ごとに、扱いは違います。

——

そこは、聞いてください。

今日の、一つ

集めなくて、いいのです。

——

作らなくても、いいのです。

——

どこにも、行かなくて、いいのです。

——

——

今日することは、一つだけです。

——

——

紙を一枚、出してください。

——

——

そして、

——

これから相続の手続で行くことになりそうな先を、

——

思いつくまま、書き出します。

——

——

銀行。

——

もう一つの銀行。

——

証券会社。

——

登記所。

——

——

——

書けたら、

——

数えてください。

——

——

——

それで、今日は終わりです。

——

——

——

その数が、

——

いつか、

——

さっきの**「交付を求める通数」**を決めるときの、出発点になります。

——

——

不思議なもので、

——

——

数が分かると、束は少しだけ軽くなります。

——

——

終わりが見えないから、重いのです。

最後に

あの茶封筒は、

——

——

あなたが、一人で作ったものです。

——

——

窓口を回って、

——

郵送の封筒を書いて、

——

輪ゴムで留めて。

——

——

——

誰も、褒めてくれなかったと思います。

——

——

でも、あれは、

——

進んでいない証拠ではありません。

——

すでに、いちばん重いところを越えた証拠です。

——

——

——

そのあとの進め方は、案件ごとに違います。

——

一人で抱えなくて、いいのです。

——

整理を手伝う人は、います。

——

——

——

その束を、

——

——

あと何回、鞄に入れるつもりでしょうか。

※本記事は、不動産登記規則247条(法定相続情報一覧図)の一般的な考え方を示すものです。同条は申出を「することができる」と定めるものであり、申出の義務を定めた規定ではありません。申出をすることができるのは、条文上、相続人(同条3項2号の書面により確認することができる者に限る)又はその相続人の地位を相続により承継した者で、申出先も被相続人の本籍地・最後の住所地、申出人の住所地、被相続人名義の不動産の所在地を管轄する登記所に限られます(同条1項)。代理人による申出には別の制限があります(同条2項2号)。手数料の要否、申出書の様式、一覧図の書き方、保管される期間、再交付の取扱いについては、同条に定めがないもの、または本記事で扱っていないものが含まれます。登記所(一般に法務局と呼ばれています)の案内で確認してください。また、交付された写しを個々の金融機関等の窓口がどのように取り扱うかは同条の定めるところではありません。被相続人の戸籍をどこで、どの範囲まで請求できるかについても、同条の定めるところではありません。戸籍の請求の取扱いは制度改正により変わっており、請求できる人・窓口・対象となる戸籍に条件があるため、すべてを一か所で請求できるとは限りません。最新の取扱いは市区町村の戸籍担当窓口で確認してください。相続放棄の有無や遺産分割の結果が手続にどう影響するか、相続した不動産の名義をどう動かすかは、相続関係や個別の事情によって変わります。必要に応じて登記所の案内を確認し、個別の法的な判断については司法書士・弁護士などの専門家に確認してください。

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