【朗読ガイド付き考察】焼かれた魚は、どう語る?――声とテンポで描く、裏切りと希望の物語
【前編】
はじめに|童話だけど、実は演じ分けが肝
小熊秀雄の童話『焼かれた魚』は、1924年(大正13年)に『愛国婦人』誌に初掲載されました。
作者の小熊は、詩人・童話作家・画家として活動し、短い生涯の中で人間の哀しみや社会への疑問を、鋭く幻想的に描いた人物です。
本作もその例に漏れず、焼かれてなお「海へ帰りたい」と願う秋刀魚の哀しく切実な旅路が描かれます。
あらすじ
白い皿の上に乗った秋刀魚は、故郷の海を思い出し、帰りたいと強く願います。
飼い猫・溝鼠・野良犬・烏に助けを求め、そのたびに頬の肉や体、ついには眼玉まで与えますが、彼らはことごとく裏切ります。
最後に蟻たちの助けで海の崖にたどり着きますが、体は朽ち果て、波にのまれ、砂に埋もれてゆきます。
最期には、恋い焦がれた波の音すら聞こえなくなり、静かに物語は幕を閉じます。
考察|キャラクターとテンポが語る物語の“表情”
『焼かれた魚』は、童話という形式を取りながら、実は朗読における「演じ分けの妙」が問われる作品です。
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