見出し画像

「上の子はもっと話していた気がする」と感じたとき

よくある原因と気づいたその日から家庭でできる工夫

下のお子さんのことばを見ていて、ふと「上の子はこの時期、もっと話していた気がする」と感じたことはありませんか。この記事では、その成長の違いのよくある原因と、気づいたその日から家庭でできることをお話しします。最後に、心配が続くときの、相談の目安にも触れます。



言語環境の違い

第一子が生まれてから数年のことを想像してみてください。
お子さんに語りかけるときの言葉選び、文の長さ、話すスピードやトーン、すべて、お子さんの発達の段階に合ったテーラーメイドのことばかけをしていたと思います。
第二子・第三子が生まれてから数年はいかがでしょうか。第一子にかけていた言葉かけと同じでしょうか。下のお子さんに言葉かけをしつつ、上のお子さんへの言葉かけも必要。その言葉かけは、語彙も文の長さも話すスピードもトーンも異なります。すなわち、言葉かけの100%がテーラーメイドされたものだった第一子の時とは違って、下のお子さんは、理解が難しい表現も耳にしながら育つことになるのです。

もうひとつは、言葉かけの時間と密度が、知らないうちに減っていくこと。上の子の送り迎えや宿題に加えて、家事も重なると、親はいつもマルチタスク。子どもが一人だった頃とは比べものにならないほど、注意はいくつもの方向に分かれます。その中で、下のお子さんと一対一で向き合える時間は、どうしても少なくなりがちです。

どちらも、親の愛情や努力の問題ではありません。きょうだいがいる家庭なら、自然に起きることです。

18か月児1000人以上を対象にしたスウェーデンの大規模研究(Berglund ら 2005)では、下のお子さんは、ことばの「産出(表出)」だけでなく「理解」の両方で、わずかに低い傾向が見られました。しかし、こうした差は小さく、時間とともにすぐ縮まる傾向があり、上のお子さんに比べて、下のお子さんの言語発達に遅れが生じやすいわけではないという研究結果があります(Hanen Centre のまとめ)。

気づいたその日から、家でできること

一対一の時間は、どうしても減ります。でも、減った時間は、関わりの「質」で補えます。親の時間にもエネルギーにも限界がありますが、その中でできる工夫を、ここからお話しします。

セルフトーク
幼いお子さんのお世話もあるし、上のお子さんのお迎えもある。
料理や掃除・・・そういった家事はパパッとすませたい。
わかります!私もそうでした。
ただ、ちょっと想像してみていただきたいのですが、料理をしている間、掃除をしている間、無言ではありませんか?下のお子さんが静かに遊んでくれている少しの間を狙って家事を片付ける・・・その時こそ、おしゃべりをしていただきたいのです。
「今日は何を作ろうかな?」「冷蔵庫を開けて・・・あ、そうそう、お肉があるから、今日は肉じゃがにしようかな」「玉ねぎの皮をむいて」
遊んでいるお子さんは、聞いていないようで、こういう実況中継のことばを耳にすることができるのです。

パラレルトーク
お皿を洗いながらでも構いません。おもちゃで遊んでいるお子さんがしていること、考えていることをことばにしてあげてください。
「あ、積み木があるね」「積み上げてみよう」「1つ、2つ・・・あ、できた!」「たかーくたかーくなったね」
お子さんは、今その瞬間に起きていること、感じていることが言語化されるため、行動・気持ちと言葉がつながるだけでなく、ママに見てもらっている、理解してもらっている安心感にもつながります。

比べるより、「その子の変化」で
上の子と並べると、下のお子さんはどうしても「遅い」に見えてしまいます。ものさしを、きょうだいから、その子自身へ。先月は言えなかったことが、今月は言えている。それが、その子のペースです。

個性、そして、心配がつづくとき

同じ家庭の中で育っても、お子さん一人一人、性格も違えば好みも成長の様子も異なります。「その子らしさ」「その子のペース」を、そのまま大切にしてあげてください。
しかし、それでも、気になる状態がしばらく続くことがあります。そのときは、待ちすぎず、一度専門家に相談しましょう。日本では「もうしばらく様子を見ましょう」と言われることが少なくありません。様子を見ること自体は悪いことではありませんが、見ているあいだにも育ちは進んでいます。だからこそ、「何をいつまで見ているか」を分かっている目が必要です。

見つけることは、ゴールではなく入口です。もしつまずきが見つかれば、そこから支援の道があります。専門家は、親御さんとお子さんが一歩一歩前に進んでいけるように寄り添う、そんな存在です。

それから、もうひとつ。親だからって完璧じゃなくてもいいんです。
第一子が生まれた時、親も初めて親になったんです。子育ても初めて。
そして第二子が生まれたときは、初めて二人の子どもを育てることが始まりました。親も子どもと一緒に成長しているんです。
もし不安や心配があれば、どうぞ一人で抱えず、誰かに頼ってくださいね。

あわせて

ひとりで抱えないための、次の一歩に。
「うちの子は遅い?」という不安との向き合い方を、ニュースレターでお届けしています。ご登録いただいた方には、無料の「ことばを育てるチェックリスト」(PDF)をプレゼント。
▶ ご登録はこちら:https://suzukispeech.kit.com/82d0582c2c

もっと詳しく知りたい方へ。著書『子どもをバイリンガルに育てたい親のための バイリンガル育児 理論と実践』(彩図社)でも解説しています。
https://suzukispeech.com/book-bilingual-parenting/

記事が役に立ったら、フォローしていただけると嬉しいです。ご質問・ご感想もお待ちしています。

いいなと思ったら応援しよう!