空想旅行からインスパイアされるなにか
新聞に出ていて、見たところとても興味深いものでした。その個所は
「きっかけとなったのはオリベッティ社のタイプライター「レッテラ32」の広告。黒い墨のペン画で、タイプのキーに24人の人物が腰をかけてキーを打っている、コミカルな構図である。」

というところ。そこで美術館には行けないけれど図録を購入しました。
芸術が与えてくれるのはそこからインスパイアされる何ものかだと思います。フォロンの絵から感じるのはそこに描かれたものだけでなく、そこから自分の心や頭に湧き上がってくる何ものか。そこにはかつての記憶もあるでしょう。
もちろん絵画だけでなく本も同様だと思います。読んだまま何を感じるかこそその本が与えてくれる価値。
先日図書館で借りてきて並行で呼んだ二冊が「BUTTER」(柚木麻子)と
「ブレイクショットの軌跡」(逢坂冬馬)でした。
それぞれ面白く読んだのですが、「BUTTER」が☆4.5,「ブレイクショット」が3というところでしょうか。逢坂氏の小説は最後が収まりがつく、予定調和的なのが減点ポイントかと、読後感はいいんですけどね。
この二つ「BUTTER」はリアルに対人する中でグングンと影響を及ぼすインフルエンサー、「ブレイクショット」はYouTubeを使い倒して特殊詐欺に引き寄せるインフルエンサーがそれぞれ登場します。
自分ではそうとは思わないうちに影響を与える人、「BUTTER」の方では崇拝者という言葉が出ますが、確かにネットのインフルエンサーとヘビー視聴者との関係はこの崇拝という言葉が良いのかなと思います。
それぞれ主人公や登場人物は、インフルエンサーの話の歪やヒビが引っ掛かり始め、その崇拝の罠から抜け出そうとするわけです。
結局のところ「そこからインスパイアされる何もの」かを、ただ言葉通り受け止めるのではなく、そこからどう感じるか(歪みやヒビを感じ取ることが出来るか、まあまあと見過ごすか)を自分の中で問うことが出来るかどうかにかかっていたように思います。
私は食いしん坊なので「BUTTER」の文中の食事や食材はとても表現豊かで刺激的、唾がたまりますが、その表現はグルメサイトの☆や点数、コメントと同様なのだとも思います。結局は自分の舌と胃袋でどう感じるか、インスパイアされて繋がるのは自分の記憶と経験で、そこから立ち上がるものこそが重要なのだとも思います。
